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慢性腎炎、(特にIgA腎炎)の漢方治療15報

2013-01-09 08:57:59 | Marilyn Monroe マリリン モンロー

趙紹琴氏 医案 肝経欝熱、絡脈瘀阻案

30歳男性、1993年初診。患者は1988年に急性腎炎にかかり、入院治療を受け2ヶ月で全快して退院した。退院後2週後から、血尿が生じ、再び入院していた病院で検査を受けた。尿蛋白(2+)潜血(2+)顕微鏡下で赤血球10~15個毎視野。1ヶ月間入院治療を受けたが、効果は明らかではなく、腎生検の結果、増殖型IgA腎炎と診断を受けた。尿検査では軽快と悪化を繰り返した。

肉眼的血尿も出現することもあり、入院治療を繰り返したが、徹底的な治癒にならなかったので、友人が趙氏を紹介した。

趙氏の診察によれば、心煩夢多、腰痛、尿赤、舌紅苔白、脈弦滑であり数(さく)であった。尿検査:尿蛋白2+潜血反応2+、沈渣で赤血球5~7毎視野。

趙紹琴氏中医診断

証は肝経欝熱、血分に入り、絡脈瘀阻である。清瀉肝経欝熱、涼血通絡止血により治療する。

処方:柴胡6黄芩6川楝子6荊芥10g防風g地楡10丹参10g炒槐花10g茜草10白茅根10芦根10g小薊10g大黄1g

経過

7日間服用後、睡眠は安定し、尿の色も薄くなった。尿蛋白(プラスマイナス)潜血(+)沈渣で赤血球消失。さらに7日服用した。尿蛋白は陰性となったが、ただ腰痛と潜血(プラスマイナス)が残った。

活血通絡、涼血補陰法に改めた。

処方:荊芥10g防風6g赤芍10g丹参10g茜草10g絲瓜絡10g桑枝10旱蓮草10g女貞子10g小薊10g藕節10g

白茅根20芦根20g大黄1g

20日服用したところ、腰痛は消失、尿検査は異常が無くなった。さらに、3ヶ月治療を行い、再発無く、治癒したと告げた。

(趙紹琴臨床験案精選)

評析

中医理論によれば、出血の原因は3つある。①脾不統血②血熱妄行③血瘀出血である。

本症例の心煩夢多、腰痛、尿赤、舌紅苔白、脈弦滑であり数(さく)は全て肝胆湿熱深入血分の象である。

柴胡 黄芩 川楝子などは清瀉肝胆欝熱に、生地楡 炒槐花 丹参 茜草は涼血活血清熱に、白茅根 小薊は

涼血止  血に、荊芥 防風は疏調気機とさらに止血にも働く、

大黄は涼血活血に作用し、推陳到新(古い瘀血を除去 して新しい血を生むの意味)に働く。

初診7剤服用にて症状は顕著に改善した、さらに7剤を服用して尿蛋白は陰転し、腰痛、尿潜血だけが残った、

そこで涼血育陰の法に改め、20剤を服用して、諸症は消失した。検査結果も正常化した。

3ヶ月の更なる治療をもって寛解を固める治療とした。

生薬説明 追補

絲瓜絡(しからく)(甘平 肺、胃、肝、腎)

活血化瘀薬 出典 本草綱目

ウリ科のヘチマの成熟果実を腐敗させて得られる網状繊維束

昔の日本ではその束で入浴の際に体を洗ったり、器、食材の汚れなどを洗い落としていました。

糸瓜を小川などの流水につけておくと自然に網状繊維束だけが残ります。

効能:行血通絡
気血阻滞による胸脇部の疼痛、筋肉や関節の鈍痛、乳腺炎の腫脹疼痛などに用います。
胸脇痛には栝楼皮を、筋骨痛には桑枝を、乳癰腫痛(乳腺炎による痛み)には蒲公英を、それぞれ配合します。

ドクター康仁の感想

趙紹琴氏の最初の処方柴胡6黄芩6川楝子6荊芥10g防風g地楡10丹参10g炒槐花10g茜草10白茅根10芦根