まるでビーチ、日向山(山梨県北杜市)

　10月の連休は山梨の北杜市にある日向山（ひなたやま1630m）へ登って来たのでご報告しようと思う。往路1.5時間、復路1時間程度なので、お気楽に考えていたが、何気に登り応えのある良いところだ。登山道も整備されており、危険なところはないが、これでもか！と続く急登がいくつも続く。この登山道へのアプローチは、国道20号線沿いにある道の駅白州が目印だ。ここには南アルプスの天然水がこんこんと湧き出ていて、水筒にチャージして行くと良い。この道の駅の手前を入り、ひたすら細い道を登っていく。やがて道幅は狭くなり林道らしくなって、うねうねと登っていく。荒れた道路は落石や倒木が転がっているので注意が必要だし、対向車が来たら交換場所へどちらが戻るか、を常に頭に入れておかないといけない。今回から新しく旅の友となったスバルアウトバックは、力強く登っていってくれる。ロードクリアランスもたっぷりあるので、多少の不整地であってもなんなくこなしていく、頼もしい友である。やがて駐車場と思わしき場所へ到着するが、山側のスペースに平行して車を置くだけの簡素なものだ。しかも8時半の時点で既に満車状態。ボクらはその先のスペースへ置かせてもらった。

　登山道は先にも述べた通り整備されており歩きやすい。時折甲斐駒ケ岳や富士山がチラチラと木立の合間に見え隠れする。紅葉にはちょっと早いが、高い山の山腹から上は綺麗に色付いている。何回か休憩を挟んで頂上近くに到着するが、ハイキングコースの立札は山頂から先を示している。山頂は若干コースから外れたところにあって、眺望は望めない。

  　しばらく松の木立の中を進むといきなり目の前が開ける。雁ケ原(がんがわら)と言われる場所で、花崗岩で出来た白砂が一面に広がり、眼前にそびえたつ南アルプスや八ヶ岳の雄姿に誰しも思わず声を出してしまうのだ。「おぉ～」とか「わぁ～」とか千差万別だが、この感動は素晴らしいく今もその時の感動が蘇る。

　不思議なのはまるで沖縄の海岸のような白砂である。なんでこんな場所に砂浜があるんだろう、とつい錯覚してしまう。遠目から見るとまるで雪のようだ。ここしばらくの山行は天気に恵まれなかったが今日は快晴なのでそのツケを一気に払った感じだ。今日の昼食は下りてからうまいもんでも食いに行こうという計画なので、ひとまずコーヒーを沸かしておやつのゼリーを食べることにした。目前にそびえ立つ甲斐駒ケ岳を眺めながら至極の一杯を飲む、なんとも贅沢な時間だ。
　眺望を堪能し、行きにスルーした山頂の三角点を確認してから来た道を戻っていく。途中、続々と登山者とすれ違うが、確か駐車場はほぼ満車のはず。いったいどうやって来たのだろうか？という不安が沸いてくる。案の定、駐車場付近はとんでもないことになっていた。転回すらできないようなスペースに次々に車が乗り込んで来るもんだからごった返している。たまたま下山者がいてスペースが空いたから良かったものの、あれじゃクリンチ状態で誰も下りれなくなってしまうのではないだろうか。お気軽に絶景が楽しめる山故に人気があるのはしょうがないのかもしれない。ここを訪れるときは、早めの時間がオススメである。午前中のうちに山行を終了し、午後はゆっくりと白州の観光見物でも行った方が良いだろう。ちなみにボクらは山梨の銘酒「七賢」の経営する和食屋「臺眠」(だいみん)へ向かった。酒蔵直営だけに、できれば美味しい日本酒で一杯やりたかったが、車ゆえに我慢である。雰囲気も良いのでちょっと高めなお値段ではあるが、美味しく食事ができる。こちらもオススメである。