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初春の開聞岳 日本百名山(15/100)

2010年01月11日 | 登山・ウォーキング

   2010年一発目は日本百名山の記事となった。昨年末から腰を痛めたり、足を捻挫したりと不安ではあったが、どうにかそういう不運を払拭したいと願いを込めての初登山、ちょっと長くなりますがお付き合い下さい。本年もどうぞ宜しくお願いします。

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 会社の危機が囁かれているJAL、毎日のニュースにヤキモキしながらこの日を迎えた。三連休初日の1月9日、ボクら夫婦といつもの登山仲間のT氏は羽田に集合し、JAL1867便で無事鹿児島空港へ着陸したのであった。空港からバスで市内の繁華街、天文館まで移動し、鹿児島での最初のイベント、昼食へと向ったのである。

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 途中で偶然見かけたいつもお世話になっている「好日山荘」だ。山用品は大概ここで調達するのだが、鹿児島で見付けるとは思わなかった。

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 さて、お待ちかね、本日のお昼は事前にいろいろ調べ上げた鹿児島のニューフェイス、「えびしおラーメン」だ。トンコツのスープが九州だろ、と仰るだろうが、このえびしおのさっぱりしたスープは絶品!丸ごとえびが入ったわんたんもプリプリしてて美味しい。チャーシューなんぞとろけそうであった。

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 さて、食後は翌日に控えている開聞岳登山の下準備で情報収集すべく、ひとまずJR鹿児島中央駅を目指してみた。鹿児島中央駅は旧名を西鹿児島駅と言い、鹿児島の玄関口である。九州新幹線の開業を機に鹿児島中央駅と改名したようだ。そんなときにカミさんが「何アレー?」とすっとんきょうな声を上げているのでボクらも見上げてみると…、おっと何だアレは?火事?そんな規模じゃない。爆発?あ、桜島の噴火じゃないか!こりゃ大変だ。何処に避難するんだ、と軽くパニック。ところが焦ってるのはボクらだけで市民の皆さんは特に無反応だ。え~、そうなの?これって日常茶飯事?と半信半疑のボクらは駅ビル屋上にある観覧車を目指していた。

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 やはり観覧車で桜島を見ようなんて思ってるのはボクらだけのようであった。皆さん落ち着いている。去年は500回以上も噴火を繰り返した桜島、鹿児島の皆さんには当たり前の光景のようだ。そろいも揃って高所恐怖症のボクらは手に汗握りながら観覧車から無心にカメラのシャッターを切ったのであった。

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 そんなドタバタの初日も過ぎて翌朝は始発の電車に乗るために朝4時半に鹿児島中央駅に向った。ここから指宿・枕崎線でのんびりとローカル線の旅のつもりであったが、なんか雰囲気が違う。早朝にも関わらずすごい人の数だ。実はこっちに来てから知ったのだが、1月10日は指宿でマラソン大会があるとのこと。なんでも新年最初に開催されるメジャー大会なので、人気があるらしいのだ。ご覧のように狭いホームは押すな押すなの大盛況。のんびりと旅をする場合じゃなかった。どうにか座れたものの、ラッシュアワー並の混雑で1時間程揺られて指宿駅まで向ったのであった。

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  指宿からは、ご覧のような一両編成のディーゼルカーに乗り換える。ここから30分程度で開聞駅まで向うのだが、唯一ローカル線の旅を満喫できる。この時点で6時頃なのだが、まだ真っ暗だ。東京より九州の方が日の出が遅いのである。

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 6時半頃、開聞駅に到着。車内で朝食を済ませてあったので、そのまま登山口へ向う。まだ真っ暗だ。途中、帰りにバスを利用するつもりだったのでバス停とバスの時間を確認した。と、ここでもマラソンの影響があった。乗ろうとしていた時間のバスはマラソンの為運休だと…ガーン。バスは数が少ないので貴重なのにぃ、と文句を言いながら登山口に向った。

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 腰にはコルセット、右足首にはサポーターと万全の体制で少しずつ登っていく。実はこんなに日の出が遅いとは思ってなかったのでヘッドライトを忘れてしまっていた。T氏が持参したライト1個で暗い登山道を登っていく。1合毎にご覧のような標識があり、距離感を掴めるのが有難い。

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 開聞岳は別名薩摩富士と言い、標高924mの見事な円錐形の山である。登山道はその山肌をらせん状に撒くように整備されている。5合目付近までは樹木に覆われているが、突然視界が開ける場所がある。この日は前日とは打って変わって曇り空。朝焼けが見えるのだが、肝心の太陽が何処にあるのかわからない。でも御来光ということで手を合わせてみた。

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 8合目を越えるとぐっと高度が増してくる感じがする。薩摩半島と、その昔ネス湖のネッシーを意識したイッシーという怪獣がいると言われている池田湖が見える。地図と同じ地形だ、と当たり前のことに感動する。

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 コースタイム2時間半のところ、どうにか2時間で山頂へ到着した。風が強くて寒い寒い。ちょっと霞んでいるのが残念だ。天気が良いと屋久島まで見えるそうだ。

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 山頂でのご褒美は、昨日、天文館の菓々子横丁購入した鹿児島名物?「焼どうなつ」だ。揚げてないのでヘルシーだ。しっとりとしていて美味しかった。

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 下りは少し早くて1時間半程度で降りてしまった。標高924mということもあり、お手軽な山の印象がある。実際に登山口には「やさしい山です」なんて案内板に書かれているが、常に一定の角度が続くので油断しては行けない。しかも標高はゼロスタートに近いので、それなりに覚悟は必要である。さて、本来は降りてからバスに乗り、指宿まで戻ったところで昼食と考えていたが、バスが運休された以上、この近くで食事をする必要がある。登山口は2合目になるのだが、そこから「かいもん山麓ふれあい公園」という施設へ行くことができる。その中にあった「そばの館 皆楽来(みらくる)」で食事をすることにした。見事な開聞岳の雄姿を眺めることができる。

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 ジャーン!とろろそば定食だ。本格的な手打ち蕎麦でコシがあって美味しい。蕎麦が美味しいのは嬉しいのだが、オニギリがまた美味しいのだ。白いお米だけで特に具も味も付いてないのだけれども、ツヤツヤのお米が非常に美味しい。まさにシンプルイズベストである。で、このボリュームで650円ってのも見逃せない。

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 さて、満腹にもなってひとまずバス停に向ってみることにした。途中、公園の管理事務所に立ち寄って山岳バッチを購入しようと思ったら現在品切れとのこと。ところが予約しておくと後で郵送してくれるそうだ。しかも登山証明書なるものも頂くことができた。トボトボ来た道を戻っていくと、行きは暗くて見えなかった1合目の標識があった。ココが一合目で、奥に薄っすら移っているのが山頂ってワケだ。遠いなぁ~、こうやってみると。

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 結局次のバスを待つものの、時間になっても来る気配がない。しょうがない、JRで戻るとするか。開聞駅まで来るとバスがやってきた。指宿方面へ行くようだ。T氏が運転手に乗っていいか訪ねると、マラソンの影響で何時間かかるかわからんよ、JRが良いよ、とアドバイスされていた。なるほど、今日はマラソンでこの界隈は混乱しているようである。列車が来るまで時間があるので駅付近を散策。と言っても何もなく、既に菜の花が満開なくらいであった。のどかな無人駅である。

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 開聞駅14時8分、定刻に来た2両編成のディーゼルカーに乗り込む。開くドアは1ヶ所で、整理券を取って乗り込む。バスの要領だ。降りるときは運転席の後ろのドアから料金を払って降りるシステムだ。途中「西大山駅」に到着すると、2分ほど停車してくれる。ここはJR最南端の駅で、乗客らは急いで列車から降りて写真を撮るのだ。で、良く見ると標識には小さく「JR」と書いてある。実は駅というカテゴリーで言うと、沖縄にモノレールが出来てしまい、最南端の座はそちらに奪われてしまったらしい。なので後から小さくJRと追加したのであろう。

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 ちょっと鉄道ファン向けにマニアックな写真もアップしておこう。運転台越しに見える、菜の花と開聞岳。薄くて見えないカナ~

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 さて、指宿まで来ると、さすがマラソン大会らしく駅付近が賑やかだ。今日はもう一つのお楽しみ、指宿名物のすな蒸し風呂に入ることにしてあるのだ。砂むし会館まで歩いて行くと、国道をたくさんのランナーが走っている。走っているというより歩いている、という表現が正しいかもしれない。ゴールはもうすぐだ。ガンバレ~。さて、砂むし風呂とは、砂浜が地熱で暖かくなっており、そこへ寝そべって砂をかけてもらいじっくりと蒸される、言わばサウナのような物である。受付で料金900円を払い、浴衣に着替える。浴衣の下は下着は付けずにスッポンポンだ。これで砂浜まで降りるのだが、妙に無防備な感じがしてスースーするのが慣れない。順番が来ると、指定された場所に寝るように指示される。そこへスコップで砂をかけてくれるのだが、これほど温かいとは思っていなかった。むしろ熱いくらい。そして砂って重量感がある。最初は気持ち良かったが、目安10分と言われていたけど、我慢出来ないかな。もう8分くらいから意地である。先に入った人達が出たのを確認してボクらも脱出。もう全身汗ビッショリ。究極のデトックスだ。この後は砂をシャワーで洗い流し、温泉で更にサッパリとさせてもらった。さすがにカメラを持ち込む勇気はなかったので撮影出来なかったが、写真の左側のムシロの屋根の下で皆さん砂に埋まっている。

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 じっくりと温まった後は、鹿児島市街まで戻らなければならいない。まだマラソンランナーは走っている。こりゃ帰りの列車も混むだろうな、と覚悟して指宿駅まで戻った。案の定ご覧のような状態。行きは座れたが、帰りは1時間近く立っての乗車になった。通勤ラッシュ以上だわ。ボクら登山組みも少し見られたが、ほとんどがマラソン帰りの人達だ。足腰ボロボロの状態では辛かっただろう。JR九州ももう少し輸送力に力を入れてくれてもいいのに、と思ってしまった。並行する国道は大渋滞だったので、バスも大変だったに違いない。

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 朝3時半に起きての行動で1日が非常に長かった。反省会はホテルから歩いて数分のちょっと洒落た焼酎バー「酒々蔵(ささぐら)」へ行ってみた。鹿児島と言えば芋焼酎、でも最初はビールで乾杯したかったので、選んでみたのは地ビールである。SATSUMA PURPLEといってサツマイモが原料のラガービールだ。炭酸は低めでお芋の香りが良いビールであった。色も見事な紫色だ。そして更に鹿児島と言えば…

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さつま揚げを避けて通るワケには行かないだろう。他にも黒豚のチャーシューや薩摩地鶏の炭焼き等、名物を次から次へと頂いた。ここのお店は焼酎を「割り水」というスタイルで出してくれる。これは事前に水で焼酎を割っておいて、それをしばらく寝かしておくらしい。これによりまろやかで美味しい焼酎の水割りになるとのことだ。試しに一杯飲んでみたが、たしかにまろやかだった。でもボクはロックがいいかなぁ~。二次会はコンビニでツマミを買い込み、ホテルに戻ってボクらの部屋で行ったのだが、途中から記憶がない。いつの間にか寝てしまったようだった。

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 翌朝は比較的ご機嫌な目覚めであった。あまり疲れも感じていない。今日は市内観光をしてから帰路に付く予定である。まずは朝ごはんをしっかり食べねば。宿泊しているホテルの朝食はバイキングである。で、ご覧のお茶漬けのような物、これは「鶏飯(けいはん)」と言って、奄美地方の郷土料理とのこと。ご飯に漬物や錦糸卵、ゴマ、刻み海苔等お好きな物をトッピングし、鶏のだし汁をかけて頂く。少し甘めの汁はダシも効いててとても美味しい。すっかりお腹一杯になってしまった。

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 ホテルをチェックアウトし、昨日予約した観光バスに乗り込んで市内半日コースのスタートだ。写真はお世話になったバスガイドさん。長身でスタイル抜群のガイドさんは話も面白く、非常に楽しく過ごすことができた。有難うございました。

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 そしてそのガイドさんオススメの鹿児島名物がコレである。「両棒餅」と書いて「じゃんぼもち」と読む。でっかい餅という意味ではなく、「両」が中国語のリャンであり、そこから「じゃん」となったらしい。「両」の意味は、薩摩武士の脇差は2本であり、この餅も2本の串を刺しているところから付いた名前とのこと。左側が醤油ベース、右側が味噌ベースのタレで、いわゆるみたらしダンゴのお餅版だと思って頂ければ良い。非常に柔らかいお餅なので慌てるとのどに引っ掛けるので注意が必要だ。駅や空港ではお目にかかれない逸品らしい。

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 市内の名所を回った後、バスは一路桜島へと向う。フェリーターミナルにてバスごと船に乗船。15分程度の船旅だがとてもワクワクする。この錦江湾はイルカが自生しているとのことだったが残念ながらお目にかかることはなかった。

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 桜島に上陸すると、バスは急な坂を必死に登る。やがて桜島の4合目となる「湯之平展望所」へ到着した。ここからは目前に桜島の雄姿を眺めることができる。まさに活火山、いつ噴火してもおかしくない形相だ。今日は大人しいが一昨日、噴煙を見ることができたのはある意味ラッキーだったのかもしれない。ここまで活火山と人々が共存しているところも世界を見ても珍しいんだとか。被害さえなければ観光目的にも一役買っている桜島ってところなんだろう。

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 市内観光は午前中で終了し、午後はフライト時間までフリータイムだ。腹が減っては戦はできぬ、初日はさっぱりした塩ラーメンだったので、最終日はトンコツのラーメンにしようと思って美味しいと言われるラーメン屋を物色した。当初探していたお店、どうやら移転したのか、畳んでしまったのか見付けることができなかった。それではと、さっきの観光バスのガイドさんオススメ、「くろいわラーメン」を頂くことにした。白濁したトンコツ&鶏ガラスープはあっさりしている。細いモヤシもたっぷりと入っていて、シャキシャキ歯応えが良い。麺はストレートでツルツルしており、全体的に飽きの来ないあっさりしたラーメンであった。特にスープは後引く感じでついつい飲み干してしまそうになる。九州のラーメンは福岡の久留米が発祥の地らしく、久留米からトンコツが熊本→博多と流れていったそうだ。何故かそれ以上南下することはなく、鹿児島のトンコツは独自ルートで開発発展したらしい。なので、九州ラーメン派に言わせると、何か物足りないような印象があるらしいが、ボクはこのあっさりした鹿児島ラーメンの方が好きである。

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 さあ、2泊3日の鹿児島はいよいよ最後である。天文館でラーメンを食べた後、駅へブラブラと向かい、「鹿児島維新ふるさと館」という歴史施設を訪れた。幕末の維新戦争の立役者、薩摩藩西郷隆盛を中心とした英雄らを紹介し、その前後の歴史を学ぶことができる施設だ。圧巻なのは西郷隆盛や大久保利通等の人形がコンピュータ制御されたシアターを見ることができることだ。これは結構ハイテクなんじゃないかな。西郷さん表情豊かに演技してくれるのだ。これで300円の入場料はお得感バリバリであった。近代史を学んだ後は、一路空港へ向った。フライトまでの時間はもう定番である反省会だ。あれは良かった、これは反省すべきだ、と活発な意見が飛び交ってのお開きとなった。

 今回は、タイトルこそ開聞岳登山っぽいが、話の半分がグルメ情報になってしまったようだ。九州の南端にそびえる開聞岳、ココを登るのが夢であった。時間と余裕があれば屋久島の宮之浦岳や、霧島、阿蘇等の九州の明峰を縦断してみたいのだが、さすがにそこまで余裕はない。今度九州の山を登るのは何時になるだろうか?何処へ登るのだろうか?そう考えるのもまた楽しみである。長文でしたが、最後までお付き合い頂きまして有難うございました。本年が皆さまにとって良い年になることをお祈りしております。