翌日は快晴の朝だ。しかし、シーズン一番の冷え込みとのことで、外気温は氷点下18度、小屋の前にはテント泊の登山者達がいたが、大丈夫だったろうか?6時に朝食を美味しく頂き、7時過ぎにはスノーシューを装着して出発だ。昨日の予告通りに丸山の裏手に回り、麦草ヒュッテまで一気に下がる。広い雪原に見えるが、低樹の上に積もった雪で、雪が無ければとても降りることはできないだろう。皆さん、思い思いのコースでザクザクと降りていく。降り切った先には麦草ヒュッテがあり、その前は国道299号線である。この時期は閉鎖中であるので、スノーモービルの跡ぐらいしか道路らしき痕跡が見えない。
気をつけて見ていくと、様々な動物の足跡が見て取れる。ウサギは3点の足跡になるのですぐ見分けが付く。写真の足跡はガイドさんの話だとテンらしい。少し引きずる感じが特徴だ。大概が夜行性の動物の為、残念ながらツアー中に遭遇することはなかったが、運が良ければリスやオコジョに出会えるかもしれない。国道を快適にトレッキングしていく。去年の秋に白駒池の駐車場へ車を置いて、ニュウを目指したが、その駐車場も今はひっそりと静まり返っていた。
白駒池は、2000m以上の高地にある湖では一番大きな湖とのことだ。昔は一番早く全面氷結するので、スケートのオリンピック選手等がよく練習に来たとのこと。氷の厚さも充分にあり、その上に雪が積もっているからスノーシューで楽々歩ける。雪が少ないところはストックが氷に当たる感触が伝わってくる。ここでは小一時間、自由に散策させてもらった。本当に天気が良い。しかし風は冷たい。強烈な冷気が襲ってくる。ひとしきり楽しんだ後、また全員集合して、樹林帯の中へと入っていった。
5分程度歩いただろうか、先に行っていたスタッフが焚き火を炊いてくれていた。パチパチと薪が焼ける音がする。待望のランチタイムだ。出かけに本日のランチ、サンドイッチを各自配給され、この場所で頂くことになった。サンドイッチは凍っていたが、なんとか食べられるものだ。これがオニギリだと凍ってしまうと食べられないらしい。そして焚き火に続いてのサプライズ、ホットワインが振舞われた。甘めで熱々の赤ワイン、アルコールはほとんど飛んでしまっているのだが、これが温まる。五臓六腑に染み渡る感じだ。大人気で、皆さんお代わりし、2リットル持って来ていたらしいのだが、あっと言う間に売り切れた。焚き火を囲んで、おしゃべりしながらのランチタイム、食後にはチョコレート等のおやつも振舞われて、なんとも幸せな時間であった。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎていく。食後は高見石小屋まで1時間程の登りだ。途中、カモシカか何かの足跡を見つけたりしながらゆっくりと小屋まで戻った。ツアーのお礼をスタッフに述べて、身支度を済ませた。渋の湯から茅野行きのバスは15時ちょっと前に出発する。逆算して13時頃には小屋を出ることになるが、ボクらは自家用車なのであまり気にしなかった。ほとんど下りのコースだが、パウダースノーの中を歩くので特に怖いこともない。賽の河原は昨日と同様に風の通り道なので、寒さとの戦いになるが、ステンレスポットに入れてきたホットコーヒーを飲みながらどうにかしのぐことができた。コースタイムで1時間半のところ、1時間5分ほどで渋の湯まで降りることができた。
初めてのスノーシュー、しかも雪山登山も体験できた。それほど厳しいコースではないものの、行くまではものすごく不安があったが、とっても歩き易いし、何といっても景色が素晴らしい。天気さえ安定してくれれば、雪山の方がずっと楽かもしれない。高見石小屋のスタッフの皆さま、楽しい時間を有難うございました。またいつか参加したいと思います。また、ツアーで出合った方々、楽しい思い出を有難うございました。また何処かでお会いしましょう。(完)