今年の9月は5連休がある。そいつをいつのまにやらシルバーウィークと呼ぶことを最近知ったのだが、春のゴールデンウィークと敬老感謝の日の兼ね合いでシルバーと名付けたのはなんとなく理解できる。そんな5連休を有意義に過ごそうと思って北八ヶ岳を訪ねてきた。今回は写真満載でお届けしようと思う。今回の行程は以下の通り。
1日目:大河原峠 → 赤谷の分岐 → 蓼科山荘 → 蓼科山頂(昼食) → 蓼科山荘 → 天祥寺原 → 亀甲池 → 北横岳山頂 →北横岳ヒュッテ(泊)
2日目: 北横岳ヒュッテ → 北横岳山頂 → 大岳 → 双子池ヒュッテ(昼食) → 双子山 → 大河原峠
21日月曜日の早朝、山梨県の明野を出発して、登山口の大河原へ向った。中央道諏訪ICから白樺湖を経由して大河原入りした。天気は快晴、すばらしい青空だ。まずは蓼科山を目指して出発だ。
しばらくは北八ヶ岳らしい山道が続く。よく言われる南八ヶ岳は荒々しい山容で、北八ヶ岳はそれに比べると穏やかで神秘的な印象、とあるが、まさにその通りである。が、足元はガレ場も多く、歩いてみるとそれほど優雅な感じじゃないかもしれない。シラビソの縞枯れの中を歩くと青空がまぶしい。
やがて南八ヶ岳が見えてくる。感動の瞬間でもあった。山頂に上がればもっと良く見えるのだろう。楽しみだ。
蓼科山の山頂直下の山荘で少し休憩し、山岳バッチなどを物色。今回もいつものT氏と同行だが、彼は登山靴の形をした可愛らしいストラップを購入していた。さて、休憩もそこそこに山頂を目指す。今回の行程で最大の傾斜かもしれない急登を一歩一歩登って行った。
蓼科山の山頂だ。無駄に広い。一面の岩で少しくぼんでいるのがわかる。噴火口の後だろうか。ここで待望の昼食となるのだが、何処で食べようかもの凄く悩む。意を決してその場所へ行くのも容易ではない。この山頂の移動で思わぬ時間をロスしてしまった。
さて、次に目指すは北横岳だ。右側のピークが北横岳、そして翌日行くことになる真ん中のピークが大岳、左端のやや低めで平なピークが双子山だ。
蓼科山からの下りは辛い。ガレた足場は非常に神経を使う。登るよりも疲労感たっぷりだ。しかもスタート時の大河原よりも更に下るのだ。目前には北横岳がそびえ立ち、「え~、あそこに登るのかぁ~」と一気にテンションが下がる。
やがて亀甲池へと到着した。本来なら水が薄く広がっていて、池の底にカメの甲羅のような模様が見えるのでこの名前らしいのだが、見事に干上がっていた。ここでコーヒータイム。これから登る北横岳の手前で充分な休息を取ることにした。
今までガレた道ばかりであったが、亀甲池からの北横岳は荒れてなくて登りやすい。そろそろ疲労がピークに達しているが、こういう時は下りよりも登りの方が楽に感じる。15時過ぎに山頂へ到着。実に7時間以上の山行だった。初秋の北八ヶ岳は日も傾き、周囲の山々がより一層立体的に見えるが、残念なことにガスが出てきてしまった。
本日お世話になる北横岳ヒュッテへ到着した。完全予約制で普段はご主人一人で切り盛りしている。繁忙期は奥さんも掛け付けてご夫婦で切り盛りされているだけに非常にアットホームだ。奥さんが滞在している時にはご自慢のケーキが堪能できる、との情報で楽しみにしていたが、ついにチャンスを逃してしまった。あ~心残り…
そしてお約束のビールだ。最初の一口で半分は飲み干してしまいそうな勢いで頂いた。やっぱり旨いわぁ~。
食事の時間までまったりと過ごす。薪ストーブの前で暖を取りながらご主人や他の登山者とのたわいも無い会話がなんとも言えない。この間T氏は布団の上で夢心地だったらしい。やがて夕食の案内で食堂へ行ってみると、ジャッジャ~ン!これが馬肉のすき焼きかぁ~!大皿にあふれんばかりの美味そうな肉の塊。こんなに食べてもいいの?とついニヤけてしまう。4~5人で一つの鍋を囲んでこのボリューム満点のすき焼きを頂いた。2000mを越えた山の上で、こんなに贅沢なすき焼きを食べてるなんてスゴ過ぎる。
食後はまたしてもまったりタイム。外はガスってしまうし、まったりする以外に考えられない。そしてこの時の為に担ぎ上げたワイン。薪ストーブの前でゆっくりと飲むワインは最高だ。しかも自分が担ぎ上げたと思うともの凄く愛おしく感じる。この後、消灯の時間まで少しウトウトしてしまうのだが、何やら騒々しい雰囲気に目を覚ますと、星が出ている、とのこと。あわてて上着を羽織って小屋の外に出てみると、今まさにガスが晴れて、星が段々と夜空一杯に広がる瞬間であった。時折ガスに隠れるが晴れると満点の星空で、天の川もくっきりと見ることができた。いやぁ~、幸せな瞬間だ。山小屋泊はこれが楽しみなんだよねぇ~。
翌朝、まだガスってはいたものの、空が段々とオレンジ色になり、薄っすらとではあったが、日の出を拝むことができた。この時、小屋の前でお話させて頂いた、滋賀県からご夫婦でこられたご主人の言葉が忘れられない。「山はすべてを忘れさせてくれますね」…本当にごもっともである。また何処かでお逢いしてゆっくりとお話したいと思ったのであった。
ステキな山小屋を後にしてさぁ出発だ。その前に小屋のすぐ近くには七ツ池がある。ちょっと散策してみると綺麗に紅葉していた。ガスが神秘的な感じを演出していて引き込まれそうであった。
一旦、北横岳を登り返して、次なるピーク、大岳を目指す。ここの大岳寄りの下りは非常に神経を使う。大きな岩がゴロゴロしており、気が抜けないのだ。このコースは登りの方が楽かもしれない。岩から岩へ飛び乗るように進んで行った。コースタイム40分のところ、なんと1時間以上も費やす結果となってしまった。安全第一、早く帰る理由もないので、どうでも良いことなのだが…目指す大岳は思いの他大変な山であった。
次のピークはあの平たい山頂の山、双子山である。大岳からは一旦双子池まで下るのだが、ここも侮れない程の岩場の連続だ。当初は双子山山頂で昼食にしようと思っていたが、双子池に変更することにした。
北八ヶ岳の楽しみは、この池巡りでもある。綺麗な池がたくさんあるのだ。中には恐ろしい感じの沼っぽいところもあるようだが、この双子池は本当に美しかった。ここで小屋で作ってもらったお弁当タイム。日の丸弁当にメインのおかずは鶏肉の照り焼きかな、もの凄く美味しかった。写真を撮らなかったのが悔しい…
そろそろ足腰もフラフラになりつつあるので、ゆっくりと最後のピークを目指した。そして辿り着いた双子山の山頂。山頂というより、大地みたいな感じで広い。広いというより長い?この山頂からは、蓼科山、北横岳、大岳と今回の行程で山行したルートが一望でき、思わず感動してしまった。あそこを歩いて来たんだよなぁ~、という感動は素晴らしいものだ。
最後のピークを後にしてゆっくりゆっくりと下って行くと、スタート地点の大河原峠が見えてきた。
帰路は蓼科スカイラインを佐久市へと向かい、清里を回って明野まで戻ってきた。現在このルートは大河原峠近くが平日は通行止めになっている。祝休日のみ交互通行可なので確認が必要だ。
この日の反省会は山梨の北杜市の日本酒、七賢を飲みながら、ボクら夫婦とT氏とでじっくりと語り合った…つもりだったが、いつの間にやら意識が飛んでしまい、 気が付いたら朝になっていた…。
今回は実は当初那須の方へ行こうと計画していたのだが、宿が手配できずに直前になっての計画変更であった。でも今となってはそれが良かったんだと思っている。皆さんお疲れ様でした。そして小屋のご主人、奥さん、お世話になりました。いろいろお話させて頂いた皆さん、また何処かでお逢いしましょう。