・猛暑でブログはしばらく間が抜けてしまった。きょうは久しぶりにパソコンと向き合ったが蒸し暑い。
新聞は読売だが毎日、全て眼を通している。朝刊では小さな枠に書かれた編集手帳、夕刊は読売寸評で日常の
ワサビが効いた記事が面白い。また特集記事や日曜日の書籍新刊の紹介と批評が見落とせない。
もう物を増やさない心境に入ったので分厚い本は買わず、魅かれる記事は切り抜いて集めているが概要だけ
でも浅いが面白い。切り抜きはかなりの量になってしまった。
・この猛暑、外出は避けて何気なく漱石の「草枕」、メモ書きしていたページを開いて改めて眼を通す。
「草枕」の冒頭は次のようだ。
山路を登りながらこう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。
これは今の世か、否これは117年前の1906年(明治39年)漱石の話題作となった作品である。
100年以上前も人の世は住みにくかった…… 。1906年と云えば、日露戦争に勝利して一年後、国を挙げて
意気軒昂であっただろう。子どもを見る親たちの志は末は博士か大臣か。大きな目標を掲げて暮らしていたに違
いない。
そんな空気の中で少しづつ軍靴の足音が拡がり始め軍拡の匂いが濃くなってくる。教育に携わっている者にも発言
や行動に神経を気遣うようになってきただろう。
・近代が限りなく人間性の信頼感を安息を日光を奪うことを1900〜1903年のロンドン留学で感じてきた漱石
であった。
現在の世はどうか、文化、経済、政治、教育、民主主義、と異次元の変わり様であろう。それに情報革命が加わった。
近頃は毎日が腹立たしいニュースばかり、元気なのは手をつけられないほど繁殖している雑草とスポーツ界のみか。
精神の通底が乱されてモラルの認知症が静かに自覚できないで進行しているように覚える。乱しているのはアレだ。
危ういかな日の本、どこえ行く …… 杞憂であることを願うのみ。
・暑さに負けずギボウシの花は強かった