おうちBAR開店

本格的なパーティー料理から手抜きお手軽料理まで、私のキッチンから発信します。毎日の出来事を含めて楽しくご紹介。

竹屋町 三多

2017年12月30日 | お出かけ
締め切りに追われて追われて
気づいてみれば明日は大晦日…
今年もドキドキハラハラ駆け足の一年でした。
仕事が減ってきた…このままではダメだ、
増やそう!と行動を起こすと
一気にお仕事のご依頼をいただく。
その繰り返しでございます。
フリーランスの宿命なんでしょうね。
これも自分の意思で選んだ道。
来年も私なりに最高のパフォーマンスでお応えできるよう
骨身を削って尽力したいと存じます。

骨身を削ったら補充しないといけませんね。
どうせなら美味しく幸せな味わいで。
かなり過ぎし日の出来事になりますが
京都にて今年一番の贅沢をさせていただきました。



竹屋町 三多

この日から遡ること1年前。
名古屋の名店「吉い」さんで会食中に
敏腕弁護士のS氏から
三多さんへのお誘いを受けました。
二つ返事で「行きます!」とお返事したものの
あれよあれよと記憶は薄れ
カレンダーに「京都で会食」とあるのを
サラっと目を通すだけの日々を過ごしておりました。
その予定日が近づいてきたある日
S氏より詳細情報を頂いたのです。
「そうか!そうだった!」とハッとする私。
もちろん他の予定は入れてませんし
プラチナシートを断る理由は一切ありません。
次いつお邪魔できるかもわからない
三多さん行きが現実のものとなり
期待に胸を膨らませたのでした。


町家が軒を連ねる竹屋町。
雨で屋根瓦が艶っぽく輝きを帯び
一層趣を感じるのも京の街ならでは。
暖簾をくぐると細長いアプローチ
抜けて中を覗き込むと
無駄なものが一切ない空間が広がっていました。
そう、お花や絵など、無いんです。
「清廉」という言葉が似合います。
お席はカウンター6席のみ。
この日はS氏の呼びかけで集まった
我々だけの貸切でございます。
まずはビールで乾杯致しまして
珠玉のお料理をいただきましょう。


すっぽんの煮こごりとキャビア「ベルーガ」

すっぽんの濃厚なスープはなんと無塩。
汽水や淡水で生きるすっぽんは
下手すると生臭くて食べられないので
生姜やら香味野菜で臭み消しをしたりします。
ところがこの煮こごりは臭みなど一切なし。
凝縮された旨味の宝庫です。
最高級のベルーガで塩分を補うという心憎さ。
この一品でノックアウトされました。




信州の松茸と小豆島のバチコと銀杏

歯を入れると豊かな松茸の香りが
鼻孔を突き抜けて行きます。
塩分はバチコ任せな感じですね。
青柚子の効かせ方にもセンスを感じました。





明石の穴子と上賀茂の千両茄子

スモーキーな香りを纏った焼きなすと
豊満なボディの穴子が口の中で渾然一体となり
なんとも言えない余韻を残します。
穴子の脂が美味しいこと!
最後に清涼感を残して行く
木の芽の使い方もツボでした。



明石の鯛と淡路島は由良の雲丹

今年の夏は青森と北海道に行く機会に恵まれながらも
タッチの差で雲丹にフラれました。
ここでリベンジ・・・
どころかお釣りが来るほど美味しかったです。
下に寿司飯が敷いてあって
その酸味が旨味を引き立てているんですよ。
熟成した鯛も美味極まりない。
目を閉じて自分の世界に入り込んでいたら
みなさんとっくに食べ終わってました(笑)







高知のケンケン鰹のタタキ

藁焼きと炭火焼、スモーク
三者のいいとこ取りをした焼き方です。
スモーク臭が強すぎず
火入れしすぎないけど香ばしい。
血生臭さが無いから特厚切り。
本当に美味しいのですよ、これが。



薬味

これだけで一品料理と言えそうです。
大根おろし、茗荷、生姜、
玉ねぎ、酢橘をたっぷり。
辛子だけで頂いたり
薬味をこんもり盛ったり
変化を楽しめました。






丹波の松茸と韓国の鱧

まず香りでノックアウト。
見てお分かりになるように
鱧から溢れ出る脂がお出汁に溶け込みます。
松茸からもアミノ酸が放出され、
蓋をしてからも調理が続いていたような仕上がり。
沁み滋味美味しゅうございました。





鰆の腹側炙り

脂がノリノリの鰆の腹側。
こちらは塩のみでいただきました。
強烈な旨味とまろやかな脂が口内をジャックします。



鰆の背側

こちらはよく運動した背筋の方。
あっさりとして腹側とはまた
異なる魅力を感じさせてくれます。
薬味や香味醤油でいただきました。
鰆の美味しさを改めて認識。



無花果と柿と梨の白和え

ヨーグルトかと思いきや、お豆腐の裏ごし。
確か数十回裏ごししたとおっしゃっていました。
それ以上やっても状態が変わらないので、
その回数に留めたのだとか。
探究心と手間暇惜しまない姿勢に脱帽です。



鮑と小芋と菊のお出汁

旧暦なら今時分が重陽の節句。
菊と小芋に季節感を感じます。
丁寧に火入れした鮑は歯ごたえも良く、
旨味もきちんと残っており、美味。



信州産の松茸ご飯

土鍋を開けた途端、
官能的な香りがカウンター席の我々を包み込みました。
もちろん香りだけじゃないですよ。
味も絶品、歯ごたえも抜群です。



お焦げ部分をお代わり!

なんなら三杯目を所望したかったわ。。。



ブドウのブドウゼリーがけ

濃縮したブドウゼリーで
ブドウを和えてあります。
お口の中、さっぱり。


こちらのお料理を「和食」と大きく括るのは、
何だか違和感を感じます。
大将のお料理を分析すればするほど、
そもそも和食ってなんだ?
という根本的な疑問にぶち当たりました。
出汁と醤油と日本酒などを使う料理を和食とするなら
初っ端の煮こごりはセオリーには当てはまりません。
うーん、奥が深い。
とにかく海の幸の活かし方に、
心底驚きと感動を覚えました。
美味しさを追求するために手間暇を厭わない、
大将の姿勢にも感銘。
「2020年まで予約が埋まっています」
と女将さんが遠慮がちにおっしゃっていましたが、
その事実にも深く頷けます。
美味しいものをいただくと、
心が広く豊かになりますね。
本当に本当にご馳走様でございましたm(_ _)m


お誘いいただいたSさん、
貴重なお席をお譲りいただき
心から感謝しております!
ありがとうございました^^
ご一緒いただいた皆様にも感謝!


今年の投稿はおそらくこれがラスト。
来年も貪欲に美食を追い求めて行きたいと思います。
私の人生のテーマである
「食べて飲んで旅をして」を全うするためにも。


今年も駄文をお読みくださりまして
誠にありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
みなさま、良いお年を〜♪

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。