おうちBAR開店

本格的なパーティー料理から手抜きお手軽料理まで、私のキッチンから発信します。毎日の出来事を含めて楽しくご紹介。

淑女会Vol.15・師走の章/CNF MALCONSORTS

2018年05月31日 | 淑女会
5月も今日で終わりですね…
なのに去年のことを書こうとしております。
ライターの仕事をしていて
常々思うのですが

私の文章はクドイ!

書きたいことがどんどん膨らんできて
言葉が多くなり結果的に文字数オーバー。
削る作業に多くの時間を要します。
ブログも言葉が多くなることがわかっているので
仕事の合間にササッとか書けない。
書きたいことほど筆が遠のき
クリスマス近辺の話を今頃。
もう梅雨が始まるっちゅうねん…


気を取り直して第15回目の淑女会。


クリスマスを前にした会でしたので
ちょっと贅沢しましょうと
マルコンソールさんを貸し切りしました。
というより、
定休日なのに無理くり開けていただきました^^;
懐の深いシェフに感謝!
敏腕ネゴシエーターYちゃんに感謝!



乾杯!

今年(2017年)もお世話になりました。
来年も皆勤賞で臨みますよ。



ブレス産プーレジョーヌのポトフ

アミューズがポトフ、斬新です。
様々な要素が小さな器に会し
序盤からシェフの世界観が開花。




ちぢみ法蓮草のサラダ コリアンダー風味
ラ・フランスとアヴォカド 焦がしたフォアグラ
フランボワーズビネガー

シェフのフォアグラ使いには定評があります。
カリッと表面を焼いたフォアグラに
洋梨やフランボワーズビネガーを合わせることで
脂を切って後味をしつこくさせません。
流石だわ。




黒トリュフをゴリゴリ


クネルとビスク ペリゴール産の黒トリュフ

クネルとビスク、王道の組み合わせに
香り高き黒トリュフを贅沢に削ってくださいます。
甲殻類とトリュフの香りでノックアウト。
もちろん味の調和も取れております。



ヒラメのポワレ ハマグリのジュでポシェした花ズッキーニ
ポワローのエテュべ ピスタチオオイル 鰹出汁のナージュ

これだけの香りと味を集合させたら
バランバランになるかと思いきや
ちゃんと組み合わさっているのです。
「さじ加減」や「塩梅」
そんな言葉がぴったりな一皿でした。



シャラン産窒息鴨(生産者メゾン・ビュルゴー)
シュークリゼのコールスローにケッパーの酸
原木椎茸のコンフィ ボーヌ産ピジョンラミエの焼トリ
ピジョンラミエのソースサルミ

シュークリゼはキャベツの種類?
調べたけどわかりませんでした。聞けばよかった。
窒息鴨にはコールスローとケッパーの酸
鳩にはサルミソースを合わせ
対照的な味わいが一皿で楽しめます。




フロマージュアフィネ

熟成が進んだフロマージュの盛り合わせ。
マニア垂涎の香りと味わい。
苦手な人には苦痛を与える香りと味わい(笑)
もちろん私はマニアなので垂涎です。
目をキラキラさせていたら
写真がブレブレになりました。
蒸留酒を呼びますよ、これは。




3種のデセール1品目



2品目



3品目

詳細は忘れましたが
コースの最後を締めくくるのに
ふさわしい軽やかさだったのは覚えています。


ワインはシェフにお任せして
バイザグラスでサービスしてもらいました。
2017年の淑女会もこれがラスト。
経験とテクニックとセンスに裏打ちされた
素晴らしい料理がラストを彩ってくれまして
淑女たちもたいそうご満悦です。
「そのメンバーに淑女なんかいたっけ?」
という質問はお受けいたしません。
世の中言ったもん勝ちです。


2017年に開かれた12回の淑女会リポートを
ようやく書き終えることができました。
料理の先生、パンの先生、多彩なバレリーナ、
そしてライターという
職業も年齢もバラバラな4人。
なのに不思議とウマが合って
一緒にいても全然疲れません。
笑うツボはもちろんのこと
相手に言って欲しくないこと
やって欲しくないことが似通っていて
とても自然に気遣いし合えているからでしょう。
かけがえのない友人に恵まれたこと
心から感謝いたします。

今年もよろしくお願いね!
今更だけど^^;(既に5回開催済)



つれづれ散歩

2018年05月26日 | つぶやき
食の記憶と写真が溜まりまくっていて
どこから手をつけたらいいのか分かりません。
ということで散歩の話題に逃げます(笑)


私の仕事は取材や打ち合わせなどの「動」以外
孤独にパソコンと対峙し続ける「静」に支配されます。
始終椅子に座り続けているので
腰に負担がかからないよう
姿勢矯正椅子に座っているのですが
この椅子、スネを当てる部分があるんですよ。
ずーっと座りっぱなしでいて
いきなり立とうとすると
くの字になった膝がすぐには伸びない…
まっすぐにしようとするとバキバキいって
私の体、大丈夫なの?と不安になるばかり。
仕事が不規則なのでジムにも満足に通えず
先日退会してしまいました。
以前、ウォーキングの記事を書いていて
ウォーキングすることのメリットと
ウォーキングしないことのデメリットを知り
このまま歩かない生活をしていると
あらゆる部分にガタが来る、と
一日一度は外に出て歩くことにしたのです。
ただ歩くだけでは時間が勿体無いので
夕飯のお買い物も兼ねて。ただし悪天候日は除く。
重い腰を上げて歩き始めると
今まで気づかなかった景色とそのディテールや
お散歩しているワンコたちと巡り合うことができて
とても楽しいのです。


そして気づいたのは
居住区周辺に川が多いこと。
歩いているとここかしこで川にぶち当たります。



おもちゃのような水鳥がプカプカ



背筋がピン伸びてリンとしたサギ



溺れてんだか泳いでんだかよくわからない亀



流れに逆らい同じ場所に留まろうとする鯉




昨日、川沿いを歩いていたら
「おい」と低い声で呼びかけられ
ビクッとしてあたりを見回しても誰もいません。
よくよく耳をすませたらウシガエルでした(笑)
河川敷には夏草が勢いよく伸び始め
樹々に芽吹いた萌黄色の葉は濃い緑に。
季節が春から夏へと移ろう様子が良く分かります。
川沿いにはサボリーマンさんも多く
社用車の中を覗き込むと
シートを目いっぱい倒して真っ平らにし
英気を養っているご様子。
川はいろんな意味で生命の源ですね(笑)



ピアノの発表会の舞台となった文化会館と大池



鏡の中にウォーリーもどきがいるよ



帰りは行商のおばさん



街の向こうに滑り込む今日の陽



斜陽を受ける我が母校




20年ぶりの動物園でもお散歩



可愛らしい仕草の白い猛獣



子育て中のミーアキャットは外敵を見張り中



歩幅に合わせてゆっくりと過ぎ行く景色。
換気扇から漂う夕ご飯の香り。
ゴーゴーだったりサーサーだったり
流れる場所で音色を変える川のせせらぎ。
目や鼻や耳を刺激されるたびに
とりとめもないことを考えては忘れを繰り返す。
書く目的で思考を巡らすことからしばし離れ
脳みそを自由に使う開放感。
こんなフリーダムな時間が簡単に得られること
なんでもっと早く気づかなかったのでしょう。
飽きっぽいのでいつまで続くか分かりません。
でも、しばらくはお散歩タイムを満喫するつもりです。


さてと…
指と頭のウォーミングアップも完了したので
執筆タイムに入りま〜す。





鰯の糠味噌炊きレクイエム

2018年05月25日 | つぶやき
まだ受け止めきれていないのですが
大切な友人が旅立ちました。
彼女が私たちに教えてくれたことを
書き綴りたい…
綴らなければいけないと思いつつも
なかなか頭の中でまとまらず
1週間以上が経ってしまいました。

彼女との出会いは約3年前。
厳密に言うとすれ違いでした。
名古屋の今池で飲み屋に向かおうとしていたところ
前方からガヤガヤと賑やかな集団がやってきます。
私と同行していた2人は彼女の友達でして
「あれがCちゃんだよ」と教えてくれました。
集団を引き連れてひときわ賑やかに喋り
「ああ!〇〇さん!久しぶり!」
という大声とリアクション、
今でも鮮明に覚えています。
共通の友人が多いので
SNS上では何度も見かけており
「いつもテンションが高くて
そこらじゅうで遊んでる人」
と言うのが客観的な私の印象。
すれ違った時も抱いた印象のまんまでした(笑)
多分深く付き合うことはないな、と思っていたところ
友人の主催で大鹿村の山荘へ行くことになり
そのメンバーにCちゃんがいたのです。
メンバーの選考基準は
平日に自由行動ができる自由人(笑)
そんなこんなで同じ車に乗って現地に向かう間
一気に距離が近づきました。
今池での印象そのまんまなのですが
相手に心の壁があったとしても
コンコン、パコッ、と割って
スルリと懐へ入ってくるような凄ワザの持ち主。
それが無遠慮でなく、とても自然です。
共通の気質「ウッカリ」で大盛り上がりし
いつの間にか「私たちって竹馬の友だよね〜」
ぐらいの近さになっておりました。

年齢は彼女の方が10歳上です。
でも誰からも「Cさん」ではなく
「Cちゃんと」呼ばれる理由がすぐに判明。
年齢や会った回数やお互いの境遇など
我関せずとばかりに
分け隔てなく寄り添ってくれるんです。
もちろん天性の才能もあると思いますが
おそらく人の数十倍気を遣いながら。


それから2回会うことができ
もっと距離を近づけようと思った矢先
体調を崩したとSNS上から姿を消したCちゃん。


風の噂で大病を患ったと聞き
友人たちで心配するも
どうしてあげることもできないまま
2年半の月日が過ぎました。
すると彼女と一番親しい共通の友人から
「暇を持て余しているから
見舞いにきて欲しがっている」
と聞き、友人のYちゃんと早速行くことに。
その時は検査入院しているとのことで
病院食はさぞかし不味かろうと
私は振りかけやら佃煮やらスープ、
Yちゃんは手作りのパンなどを提げ
恐る恐る病室のドアを開くと
例のテンションで賑やかく迎えてくれました。
今までの経緯と快方に向かっているとの報告を受け
私たち2人はホッ。
負担をかけてはいけないから
まあ、せいぜい居ても30分だよね
と事前に打ち合わせしたにも関わらず
話が尽きることはなく2時間近く居座りました^^;
それでも話し足りないので
退院してから彼女の自宅へ行くことになったのです。


それが4月の初旬。
先生からお酒の許可が出たと言うので
Yちゃんはワイン2本、
私は日本酒の一升瓶をお供に訪問。
Cちゃん、そんなに飲まないと思いきや
ところがどっこい、飲む飲む!
私がフランスから帰ってきたばかりで
例の帰国できない事件をお話しすると
「えー!」「ウソー!」と大興奮。
私とYちゃんの二大ウッカリ巨頭が
新着のウッカリ話を披露すると
「ウケる〜っ!」と手を叩いて大笑い。
笑いが何よりの薬だと聞いた2人は
惜しげももなく(惜しむもんじゃないw)
ウッカリ話をお披露目したわけです。
まあ、よく飲んでよく笑いました。


今度は4月半ばにYちゃんがフランス渡航する予定で
帰ってきたらウッカリ紀行お披露目会を催そうと企画。
私がSNSでアップした鰯の糠味噌炊きが食べたいと言うので
お邪魔する日に合わせて5日前から仕込み始めました。
実は日程を決めるときに
ちょっと気になることがあったんです。
会に開催を少し焦っているような…
鰯の糠味噌炊きは完成までまる3日かかります。
当日を控えたその週は仕事が立て込んでおり
もう少し簡単にできるものに変更しようかな?
とも考えましたが
焦りの言葉が脳裏をよぎり
何が何でも作らねばならないとの思いに駆られ
心を込めて仕上げました。
あとは持って行くだけになっていた
3日前になって本人からキャンセルの申し出。
ウィルスに感染して発熱と咳が続き
私たちにうつしてはいけないので
本当に申し訳ないけどドタキャンさせて、と。
3人のグループラインでの報告でした。
鰯の糠味噌炊きを冷凍庫に移し
次の開催日程が決まるまでは
スケジュールに記した予定は消さないようにしようと
彼女からの連絡を心待ちにしていたところ
会う予定だった翌々日に訃報が…
晴天の霹靂とはこのことです。


涙はとめどなく流れるけれど
頭で理解できないままお通夜に参列。
お嬢さん2人のお顔を拝見した時
「あ、そういうことだったのね」と理解。
本人とご家族は長くないことを
もう随分前から悟っていたのだと…
優しいウソであると同時に
彼女は自らの尊厳を守る発言をしていたのです。
病気が判明したばかりの時は
誰とも会いたくなかったそう。
2年半の間に色々と吹っ切れたのでしょう。
自分らしく明るく楽しく生きようと。
お見舞いで再会を果たしてから
彼女は名女優も顔負けの演技力を駆使し
以前と変わらぬ明るさで接してくれました。
Cちゃんの覚悟と演技力に
惜しみない拍手を送りたいと思います。


先にも述べましたけれど
年齢や会った回数や境遇など
全ての壁を取っ払って近づいてきてくれるCちゃん。
それをさも相手がそうしたように思わせるんです。
私の手柄で2人が友達になれたような…
決して自分の手柄だとは言わず思わせず
そこら中で良き人間関係を築きまくる
唯一無二の人でした。
たかだか5回しか会っていないのに
心の奥深くまで浸透して
絶対に忘れられない存在なのです。
今思い返しても笑顔以外の表情が浮かびません。

どんな努力しても背伸びしても
彼女のような素敵な人にはなれないけれど
教えてくれたこと、見せてくれた生き方を
私の教科書にしたいと思います。
実は彼女、学校の先生でした(笑)






告別式にも参列させていただき
鰯の糠味噌炊きと
一緒に飲むはずだった濁り酒を
棺に収めさせていただいたけれど
ちゃんと届いたかな?
本当は3人で楽しみたかった…



Cちゃん、献杯!
本当にありがとう!


そうだ、豆ご飯作ろう。

2018年05月13日 | つぶやき


大荒れの日曜日になりましたね(愛知県は)。
母の日だからお墓まいりに行こうと思いましたが
これだけ土砂ぶっているので
「無理して来なくて良いよ」と母も言っているはず。
と…言っていることにします。
そのかわり、
母を偲んでエピソードなど紹介しようかと。
そう言うの喜ぶ人だったのですよ。
子供の頃、自宅で私の誕生会があった後など
「みんなお母さんのこと何ていってた?」
としつこく尋ねてくるので
「mieのお母さん優しいね」「キレイだね」
とか言ってたよ、なんて伝えた日には
有頂天になって喜んでいたものです(笑)


うちの実家は自営業を営んでおり
お店と自宅は離れたところにありました。
小学校まではお店近くの学校に通っていたため
夜ご飯と夏休みや土曜の昼ごはんは
店の上に住んでいた祖母がこさえたものを食べて育ちました。
祖母は料理好きですが
なにせ大正生まれの人間ですから
おからだの煮しめだの切り干し大根だの
しぶーいものばかりが出てきます。
だからグラタンだのハンバーグだのに
人一倍憧れが強かった幼少時代でした。
私が自宅近くの中学に通うようになってから
仕事を終えた母が自宅キッチンで作ることになったのですが
食べることは大好きでも
料理にさして興味のない母の料理は
花のない料理ばかりでした。
お弁当に至っては前日の天ぷらを天つゆで煮たものや
ちくわとピーマンを煮たもの(←匂いが大嫌いでした)や
お刺身の残りを煮たものに唐揚げが加わる程度で
とにかく見た目が茶色い…
プチトマトやブロッコリーなど
彩り鮮やかなお弁当を何の躊躇もなく開ける友達を尻目に
お弁当箱の蓋でセピア色の光景を隠蔽して食べる乙女心、
おわかりいただけますでしょうか?
そんなこんなで私は中学生ぐらいからキッチンに立つようになり
高校時代は自分でお弁当を作るようになったのです。
と母には料理の才能が全くないように思われますが
唯一手放しに賞賛できる料理が「ビーフコロッケ」。
お肉屋さんのコロッケより数倍美味しかったのを覚えています。
誕生日には「作って!」とせがんだものでした。
一度美味しさのヒミツを聞いたところ
「うちのは牛肉を贅沢に入れてるから美味しいんだよ」と母。
その時のドヤ顔を今でも思い浮かべることができます。
そういえば私、クリームコロッケやメンチカツは作りますけど
ビーフコロッケって作った記憶がありません。
心のどこかで母の味を越えてはいけないとの遠慮と
美しい記憶をデリートしてはいけないとの思いが
無意識に働いているのでしょうか?
今度解禁してみようかしら。


積極的にキッチンに立つようになった私は
フレンチや懐石料理だって人間が作るものなんだから
「私にだってできるはず!」と
見よう見まねでプロっぽく作るようになりました。
大学に進学して一人暮らしをするようになってからは
帰省するたびに料理を期待されるようになり
「実家って上げ膳据え膳でいいよね〜」
なんて思ったことは数えるほどしかなかった気がします。
就職してからも同じ状況が続き
名古屋から豊橋に引っ越してからは
レストランがわりにされるようになりました(笑)
本格的な和食やフレンチ、イタリアンを
コース仕立てで作ったものです。
そんな中でも母が一番喜んでくれたのは「豆ご飯」。
いたく気に入ってくれて
「mieが作る豆ご飯、美味しいよね〜」
という言葉を何度か耳にした気がします。
旬が短いグリーンピースですから
頻繁に作ったわけではないのに…
そんなに好いてくれていたのなら
もっと作ってあげればよかったと
豆ご飯を見るたびにため息がこぼれます。



思えば私のあくなき料理への探究心は
料理に無頓着な母のおかげで芽生えたかもしれません。
母の名誉のためにひと言付け加えますが
使う素材や調味料は贅沢なものばかりでした。
お嬢様気質がB級品に手にを出すことを拒んだのでしょう。
どうせいい素材使うなら
もっと工夫してくれればよかったのに^^;


褒められることが大好きだった母。
でも、こんな風にイジられるのも好きだったので
きっとどこかで「もう恥ずかしいからヤメテ!」
と手のひらをパタパタさせて言葉を遮りながら
満更でもない表情をしている事でしょう。
とはいえ母の日ですからちょっとくらいは褒め言葉を。

「お母さんのコロッケが一番だよ♪」

さて、今夜は豆ご飯にしようかなぁ〜

昇涙酒造にわか蔵人日記'18/旅は道連れ世は情け・エピローグ

2018年05月06日 | 旅(海外)
ご無沙汰しております。
GWも最終日、皆様いかがお過ごしですか?
私めはあいも変わらず東奔西走しておりまして
更新が遅れておりました。


さて、昇涙酒造にわか蔵人日記もいよいよ最終章。
前回の章で締めくくろうと思いましたが
込み上げる思いを書き切る事が出来ず
後編の後にエピローグを設けてしまいました^^;

旅は道連れ世は情け…
今回の旅を言い表すのに
これほどふさわしい言葉は見つかりません。
ピンチに陥った山枡さんからご指名を受け
TGVから飛び降りてからの時間、
一生忘れることはないでしょう。
山枡さんでない他のメンバーからSOSを送られた場合も
やはり私は降りていたと思います。
異国の地で友人が被った緊急事態を耳にして
援護を断る理由はどう考えても思い当たりません。
旅は道連れとはよく言ったものです。
今回はサポートする側でしたが
私をはじめエトランゼの誰もが遭ってもおかしくないことです。
不謹慎ですが大変勉強になり襟を正す事が出来ました。
山枡さん、頼りにならないサポーターで申し訳ありません。
色々とお疲れ様でございます!




神様仏様の前で手を合わせることはあっても
自分の願いを頭に浮かべることは禁じています。
人生は自分で切り開き尻拭いするもの、
それが私の生き方だと心に決めておりますので。
ただ、今回「捨てる神あれば拾う神あり」
という言葉を思い起こさずにはいられませんでした。
帰国のフライトに合わせて予約したTGVを降りてしまった以上
実被害者である山枡さんもサポーターである私も
問題を解決するまで帰国はできないのです。
多少のフランス語力を買っていただいての指名でしたが
私の知識は料理に関するもの限定。
今回のような緊急事態を打開するには乏しすぎます。
途方に暮れていた二人を助けてくださったのがNAOKOさん。
彼女に甘えてはいけないと思いつつも
「神様、仏様、NAOKO様!」と
手を合わせて頼る以外、私たちには術はありませんでした。
まさに「捨てる神あれば拾う神あり」の拾う女神様です。
10年に及ぶフランス生活から
「色々な方に助けてもらったから今度は私が助ける番」
という思いが生まれたと言いますが
そう思っていてもなかなか行動に移せるものではありません。
なんの迷いもなく私たちのために時間を割いてくださった
NAOKOさんが経験したご苦労の数々に思いを馳せると
私は青二才だと反省するばかり。
プロローグでも言及しましたように
人様から受けた恩や愛情は忘れず
人に与えた愛に見返りを求めない生き方そのものです。
私もかくありたいと、心底思いました。


聡明で優しく美しいNAOKOさんに
色々助けていただいた上、
大切なことをたくさん教わりました。
本当にありがとうございます!


この夏、一時帰国された際にお会いする約束をしました。
そしてこのブログが完結した際には
お知らせする約束もしています。
賞賛しすぎるとこそばゆく感じられるかもしれないので
感謝やお礼は直接お伝えしようと思います^^
でも、最後に言わせてください。
NAOKOさん、ありがとう!!!!



後日談。
山枡さんのお財布とパスポートケースは
なんとなんとご本人のお手元に戻りました。
犯人はお札にしか興味がなかったようで
長財布からお札をすっぽり抜いて
足がつくようなものは駅に放置したんだとか。
いくつもの関門を突破し
シャルル・ド・ゴール空港に到着した際
見知らぬ外国人からFBにメッセージが届いたと
山枡さんから文面を見せていただいたところ
フランスの国鉄職員と思われる方からの模様。
細かい内容はわからないので
帰国してから翻訳したほうが良いのでは?
とアドバイスしました。
帰国した山枡さんは
昨年昇涙酒造の蔵開きで出会ったデザイナーのKEIちゃんが
里帰りで気仙沼に一時帰国していたので
タイムラグがないとその内容を転送。
するとこれまた蔵開きで出会い
今回の最終日をコーディネイトしてくれた
リヨン在住のMちゃんにKEIちゃんから確認してくれたそうです。
結果としてメッセージの主は紛れもない国鉄職員で
名前から検索して山枡さんのFBにメッセージしてくれた事が分かりました。
手続きを受けて領事館でパスポートを失効し
Mちゃんの手からサンティティエンヌにいる
これまた私たちの友人であるAちゃん(日本語ペラペラフランス人)の手に渡り
そこから昇涙酒造の蔵元グレッグの手に渡り
先日行われた上方日本酒ワールドに昇涙酒造が初出展したことから
グレッグが来日して山枡さんの手元にめでたく戻ったのです。
フランスチーム連携プレーの賜物ですね^^
これまた捨てる神あれば拾う神あり。

人は人に傷つけられて失望することも多いけれど
人との関わり無しでは生きていけません。
人を傷つける生き方よりも
人を幸せにする生き方を選びたい。
昨年の誕生日に決意したことにつながりました。
色々教えてくださった皆様方
ありがとうございます!



昇涙酒造にわか蔵人日記'18 〜完〜