Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

近代日本史

2013年07月04日 | Weblog

              

「坂の上の雲」(司馬遼太郎)を読んでいる。TVドラマは以前観た。が、毎度のこ
とながら、映像化されたものでは、原作を読んだときに感じる時代背景、緊張感、
登場人物の育った環境、思想、といったことまでは表現しきれていない、と思っ
てしまう。

これを読んでいると、幕末から明治にかけて日本が駆け足で西欧型の近代化を
推し進めてきた様子が手に取るように分り、図らずも、改めて日本の近代史を詳
しく学び直しているかのような気にさせられる。^^!

                                   

幕藩体制が崩壊し、天皇を頂点とする体制になった新政府は法整備から軍事
力まで全てを特急で欧米先進国から学び、近代化を計ってきたわけだけれど、
その中心となったのはやはりこれまで知識を独占してきた支配階級、即ち士分
(武士階級)出身者であった。

伊藤博文はじめ、大臣、政治家の多くは外国との争いを好まず、比較的穏健な
考えを持っていたようであるが、軍部には突出した思想の持ち主が居て力を得
ており、自分達が日本を引っ張ってゆこうとしていた。

中でも川上操六はプロシャ(ドイツ)の影響を色濃く受けた主戦論者で、軍参謀
本部は(明治憲法下では)天皇の命によって動く直接の配下であるとして政治
家達の意見を無視し、勝手に朝鮮出兵、日清戦争を決めてしまった


このやり方は「国が軍を保持しているのではなく、軍が国を保持している」と欧
州各国から冷笑されていたドイツとそっくりそのままであり、その後の太平洋戦
争で敗戦を迎えるまで、日本は軍部に引きずられて朝鮮、中国、東南アジアへ
の侵略を続け、最期は無謀にも米国にまで先制攻撃を仕掛けてしまった・・・

                                       

そういう間違った過去の帝国主義に憧れて、今また日本を軍事大国にしようと
画策している偏狭な国粋主義者、石原慎太郎や極右・西村真悟等は、過去何
百万人という人々の尊い犠牲を払って手にした68年間の日本の平和をぶち壊
そうとしている。

もう日本は明治維新後の未熟な国家ではないし、世界は突出した軍事大国が
出現することなぞ望んでいない。中国だってあの当時のような組織が疲弊し、
崩壊寸前だった清朝ではない。現在の中国を甘く見て事を構えるような愚を犯
すべきではない。

改憲を叫んでいる人たちは、過去の歴史から一体何を学んできたのだろうか。
理解に苦しむ・・・