グリムスキーワード ゴミ分別
「セルマーへの想い」
実は、私が特にセルマーに拘った理由。
それはふたりのサックスプレイヤーの音色が忘れられなかったから。
それは、まず、一人目、、。
私がサックスを始める前、ドラムをやっていた頃の話。
あるドラム歴を15年を過ぎた頃、ジャズのジャムセッションに初参加し、そのまま8ヶ月の放浪の旅に出たことがあった。(って、大げさな~?爆)
で、その間、千葉、都内を中心にお店のセッション通いをして、月に10回以上セッションで叩いて、その時に出会った上手いアマチュアサックス奏者の虜になった。
その男性はベテランでサックス奏者で歴何十年のアマチュア。でも若い頃はプロだったらしい。サックスを始めた頃から使い続けているセルマーシリーズ2は、凄いパンチの利いた良い音色だった。
そして得意のレパートリーはアルトの王道パーカーの曲で、私も大好きだったのでセッションでご一緒して、一緒にパーカーの曲を演奏するのが楽しみだった。もちろん、他にもたくさんの良い演奏をするプレイヤーはいたけど、なぜかその人だけ印象深かった。
それからもう一人は、アルトのレッスンを受けた一日目。
そう、ある事情で急遽、代講として駆けつけてくれたサックスの先生が持っていたセルマーのシリーズ2。
それまで生で(セッションとかアンサンブルという意味でなく、スタジオでの生音で、)あまりサックスの音というものを聴いたことがなかった。(もちろん自分の吹く音もサックスの音って言いがたいし、、。汗)
だからレッスンを受けて、最初に聴いたウォームアップで吹いた音を聴いて、とてもびっくりした。
「あ~!なんて美しい音色なのだろう。」
その瞬間、「やっぱりセルマーのアルトが吹きたい。」と、急に思ってしまった。(汗)
それからしばらく、先生はシリーズ2を使っていたのだけど、レッスンで先生の音を聴く度、、。
「やっぱりセルマーかな~」と、何度も思ったりしていた。
でもその度に、先生に自分の今、使っている楽器について感想を聞くと、悪い返事はしかなった。それどころか褒めてくれる。それも丁寧に、、。(笑)
、、、なので、しばらくはその楽器で練習することにしていた。
実際、自分の使っているヤナギサワの楽器、調べたら悪いどころか良い楽器らしいということを分かってきた。それも同じシリーズの中でも古め、時代でいうと、あの名機、エリモナ時代のもの。それにキーの形も古いセルマーを思わせるデザイン。その時点で申し分はなかった。
さらにレッスンで先生が私の楽器を試奏すると、「吹きやすくて良い楽器だね~。」と、いつも仰ってくれる。もちろん先生だけじゃなく、他の人にも同じことを何度もいわれた。だからそれなりに満足はしていた。
ただ、、、「現行のヤナギサワとは違う音だけど、もちろん、ヤマハでもセルマーでもない音である。」、、、というのが気になっていた。
、、、なら、「古いヤナギサワの音?」、、、うーん。
、、いや、「古めのオールド的なサックスの音?」うーんうーん。
言葉では説明できない音なのかもしれない。
そんなもやもやを何年も引きずり、、、。
それでも上達して上手く吹きこなすことができれば、好きな音になるかも?、、、という期待があり、とにかく賢明に練習してきた。
でも最近、好きな憧れの音とはちょっと違う音、自分の吹く音が感じられてならかなったのも事実。
先生は、私の楽器でもサブとして練習用として使ってもいいくらい、、、と仰ってくれたけど、、。でも、たしかにプロの練習用になる楽器は、使える楽器の代名詞なので、それはそれで喜ばしい。ただプロが本番で、仕事用に使うことが無い楽器というはちょっとさびしいと思ったり、、。
でもそれをいうとキリが無いのはたしか。
別に楽器はセルマーだけじゃないし、世界には優れた楽器が無数に存在し、現に今はセルマーよりも他のメーカーを上級者はプロが使っていることが多かったりする。だからセルマーだけに拘るのは変かもしれない。
それと、楽器選びの最後まで悩んだヤマハの楽器82ZUL WOF。
私は2年前の楽器フェアで試奏したことがあった。
その時の感想は、、。
「とにかく吹きやすい。」、、、だった。
その時、マウスピースとリードは持参だったけど、他に試奏したクランポン、カイルベルス、ヤナギサワの各機種のどれよりも吹きやすかった。
さらに、音色が最高によかった。さらにさらに指回りが絶妙で、やたらとキーが押さえやすい、、、だから、今まで練習で苦労していたフレーズとか簡単に吹く事ができた。
その時、私は心の中で叫んだ。
「すぐに欲しいー。欲しい欲しいーーーーっ!!」(笑)
「この楽器があれば苦労して練習しないで済むし、音作りのロングローンの時間も節約できる!、、、お金出せば、良い音は買える!」
その時は、本気でそう思っていた。
、、、けど、そうでもないと、後になって少し思ったりもした。(汗)
、、というか、そんな美人の楽器を手にして、本当にそれでいいのか?
それに、「美人は3日見たら飽きる。」、、、ていうし。(って、今はそうじゃないかも?爆)
で、自分の性格を考えて、「最初は美人じゃないけど、生まれが良くて美人になりそうな人を自分の力で育ててみたい、そして自分の色に染めてみたい。」
、、、そんな欲望が、つい現れては消えて、、。
それでいろいろと意見を参考に、そして自分の気持ちや欲望を加味して、結論として選んだのがセルマーのアルトだった。(長っ!爆)
「セルマーという楽器は、最初は扱いずらい部分も多いけど、使いこなして、吹きこなせば本当に面白い楽器。」らしい。
ただ、、、私の年齢を考えると、もしかしたら楽器が面白くなる前に、サックスを吹けなくなる可能性もある。
だからといって未来への夢を諦めることはできない。
、、、といことで、長くなったけど、今まで使ってきた楽器に愛着があるからこそ、次のステップへ夢見て、楽器を新しく購入することにした。
ただ、それに関してひとつだけ加えると、間違っても買い替えではない。
つまり、今使ってる楽器に気に入らない部分、物足りない部分があるからとはいえ、それを手放すことなんて、家族を手放すのと同じでそれはできない。
もし新しい楽器が来ても、今までとはいかなくても、たまには吹いてあげたいしサブとして一生使うつもり。
それに楽器はアルトだけじゃなくて、カーブドソプラノもあるし、フルートもあるし、、。(笑)
それで、やっぱりセルマーっ!!欲しいにゃ~。
、、、ということに。(笑)
つづく。