
アメリカの中古機市場を把握するべく、毎月なんとなくネットサーフィンしながら各機の価格動向を見ている。買えもしない大型ビジネスジェットなどの売り物を見ていると、それはそれでなかなか楽しい。そんな中、特に値段が高騰している機種がある。なんとセスナ152/150、安価な訓練機の代表。
2005年頃の時期の相場だと、総飛行時間が1万時間以下で、エンジンがオーバーホール後1000から1500時間飛んでるような152だと、程度次第で2万ドルちょっと、150だと2万ドル弱という感じだった。もちろん70年代が中心の機体なので程度にも価格に幅があるが、3万ドル代に乗る機体は滅多になかった。ほとんどが訓練機として激しい扱いを受けて来たものばかりだが、なかには個人オーナー機と思われるような飛行時間が少ない機体もある。そんな例外的に極上の機体には、3万ドル、4万ドルの価格がついているものもあった。ただ、あくまでも例外的な話しだった。
ところが、2007年終わりから2008年の初頭、152の価格は平均して3万ドル以上している。アメリカ経済が好調で不動産バブルなど投資に勢いがあった余波が飛行機市場に及んでいるのかと思えば、単純にそうとも言えない気がする。石油価格高騰で、パフォーマスの割に燃費が悪くて維持費の高い双発機(Beech Baron / Piper Cenecaなど)は相対的に値落ちしている。やはりセスナ152のニーズが高まっているのだろう。
私は自家用単発訓練をセスナ172で受けたので、今までセスナ152の飛行時間が8時間くらいしかない。従ってあまりセスナ152について語れる程の経験はないが、燃費の良さには驚かされたことがある。この世界的な燃料高騰の時代、定番訓練機のセスナ小型機で燃費が良ければ、フライトスクールが欲しがらないはずがない。もちろんフライトトレーニングの基本はセスナ172だが、比較的体型の小さい大人2人ならセスナ152を使って安く訓練をあげることもできる。どこのスクールもセスナ152が1機くらいは置いておきたいのだろう。ところが、現行でも生産されつづけている172と比べ、152の生産は20何年前に終わっているので中古しか選択肢がない。おまけに安価な機体として雑に扱われて来たものが多く、激しい着陸訓練などを経て1万時間も飛んだボロボロ中古機が出回っている。そこそこ程度の良い152は貴重な存在になってきているのだ。
何も152にこだわらなくても、他に2人乗りで燃費の良い機体はある。Diamond DA20 / KatanaやEclipseがそうだが、やはり比較的新しい機体なので中古市場価格も比較的高い。そして、操縦桿がスティック形式だったり、ミクスチャーコントロールがなかったりと、標準的な小型飛行機とはやや肌色が違っている。Diamond Eclipseは良い飛行機だと聞いているが、まだまだ普及するには時間がかかるのだろう。それ以外にAMD Alarusなどというマイナーな二人乗り飛行機もあるが、パーツの入手し易さなどを総合的に考慮すると、セスナの機体の足下にも及ばない。なにより、私自身、AMD Alarusを飛ばしたことがあるが、やはりHome build aircraftの延長にある作りだなという感覚は否めなかった。
ということで、遅くて揺れて上昇しないセスナ152だが、色々なことを考えると本当に良いパッケージングなんだと思う。着陸もしやすいし、ギアはハードランディングにも耐え得る作りで、飛行特性は極めて素直、考えれば考える程にセスナ152は偉大だ。
すでに買い時を逃してしまったかもしれないが、今セスナ152を所有している人は、絶対に売らないほうがいい。
初めてC172を操縦した時に3人乗せてもC152のソロ、いやそれ以上の勢いで昇りましたね。あっという間に空港のパターン高度を超えました。しかも、エンジンの音がC152より静かでしたよ。ただ、普段借りる座布団の枚数が増えますけど。
事実上152の後継機となる中国産の162スカイキャッチャーはどんな機体になるのか?、期待半分で見守っています。