LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:飛行中にドアが開いたんで帰還することに

2012-04-10 | Flight Log (機長)

自宅や職場からサンタモニカ空港までは車で10ー15分程度と非常に便利だ。ただ、月に2、3回赴く出張先の職場からロングビーチ空港やトーランス空港までは非常に近い。ちょっと長めの昼休み、吸い寄せられるようにトーランス空港に向かい、ランチを摂る代わりに空を飛ぶことに。飛ばす機体はセネカII。

空港に到着すると、見知らぬメカニックがセネカIIのドアのラッチを修理していた。修理はすぐ終わり、空に上がることにした。どうやらドア上部のラッチノブが折れてしまい、それを交換したようだ。プリフライトの後に機体に乗り込み、セネカIIのエンジン始動、左エンジンから右エンジンへ。右エンジンはFuel Pumpを入れてないとエンジンがグズる。これはいつものこと。両エンジンの計器を確認、チェックリストを終えてタクシーアウトすることに。ところが、ノーズギアのシミングが酷い。もともとノーズギアは欠陥品に近いセネカだが、このシミングは酷かった。離陸できるのか??と思うほどだった。ここでインストラクターでこの機体を頻繁に飛ばしているNさんに電話、 ”シミングが酷いんだけど、ノーズギアっ最近こんなもの?”  と聞くと、 ”最近はそんなもんです”  とのこと。あっさり離陸することにした。ちなみに、Nさんはこの時にビーチクラフトダッチェスに乗って自分の隣のスポットでランナップ中だった。

速度が出る機体なんで、東に向って飛んで行くことに。Rwy29Rから離陸、気持ち良く加速していく。そのままストレートアウトした。3000ftでレベルオフ、2400rpm、30インチくらいの低速設定。ゆっくりに思えるが、追い風もあってGPSではGround Speed 160kt弱は出ていた。セネカは個人で飛ばすには素晴らしい性能の機体だと思う。本当にスピードが出る。という感じでいい気になっているのもつかの間、操縦席のドアの密閉性が悪く、完全に閉まっていないようだった。巡航速度に達したことで、風圧によりドアが浮き上がるようになっている。これは一度どこかに下りないと直せないので、ロングビーチ空港に下りることに。防波堤からロングビーチ管制塔を呼ぶ、Squawk4200をもらい、Rwy25Lに向う。途中意味不明の指示がきたが、こちらの位置が完全に確認できていなかったからだろう。位置がわかってからは的を得た指示となり、Signal Hillの手前でCleared to landをくれた。そのまま10度フラップで着陸。内容は良いが、ラウンドアウトの粘りが足りない気もした。気になったのはノーズギア。かなり丁寧に降ろしたつもりだが、滑走中のシミングと共にノーズギアのグリーンライトが点滅した。なんとも気持ち悪い。ランディングギアのオーバーホールしないといけないんじゃない?と思ったほど。

このセネカ、レンタルの頻度が高くなってからかなりガタが来始めた。ちょっと信頼性が低い。セネカ自体は好きなのに残念だ。詳細には触れないが、このセネカIIをトーランス空港にもって来るにあたり、自分も様々な面で関与した。せいぜい5人程度に保険をかけ、ソロで飛べるのは限定した5人というのが当初の約束だった。もちろん5人のパイロットのほとんどがインストラクターなわけで、彼等が同乗してのフライトは可能。しかし、ここ最近は基準が緩んでかなりのパイロットがソロでこのセネカを飛ばしている。明らかに機体にガタが来ていて、その顕著なのがランディングギア。セネカのランディングギアは訓練機には相応しくないほど弱く、すごく労って着陸してあげないといけない。それを理解しないでこのセネカを飛んでいるパイロットが多いんだと思う。

ロングビーチ空港に着陸した後、Rwy25L at Taxi-way Dにタクシーバックした。ここで再度ドアを閉め直した。無駄な時間を使ったが、Rwy25Lから再度離陸、Left cross wind departureでプラクティスエリアに出た。そして3500ftでレベルオフして東に飛ぶつもりでいた。すると、再度操縦席のドアが開き、今度は上部のラッチが完全に壊れてドアの丈夫が捲れ上がるようになっている。ドアの下の部分は別のラッチで閉じているが、減速して負担をかけないようにしないと危ない。120ktで上昇していたので、そのままランディングギアを出して減速、スロットルも絞っていく。Manifold Pressure 1inch/minなんて守ってスロットルを絞っている場合じゃない。すぐにトーランス空港の管制塔を呼び、Rwy29Rへの着陸をリクエスト。するとストレートインを指示され、No1のセネカに続けとの指示。セネカが2機立て並びで着陸することになった。ちょっと珍しい光景。フラップ10度、徐々に減速、なかなか良い感じの着陸が決まった。滑走中もノーズギアに負担をかけないようにし、無事にフライト終了。

さっそくランプに機体を停め、壊れたドアを確認する。ドアラッチとノブが連動しなくなっており、完全に修理ミスだと分った。ランディングギアのコンディション悪化、そして質の低い修理。大好きな機体だが、このセネカへの信頼は完全に無くなってしまった。


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4 コメント

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Unknown (taka)
2012-07-02 11:22:32
はじめまして、この記事を読んで驚きました。
私も以前レンタルで何度かセネカで飛んだことがありますが、去年から日本へ戻ってしまったのでなかなか飛ぶ機会がなく、今度夏に行った際にレンタルを楽しみにしていたのですがそんな状態になっているとは残念です。
また、セネカに乗られる機会がありましたらブログアップ楽しみにしています。
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Unknown (c2)
2012-07-03 14:13:57
>takaさん
このセネカですが、右エンジンシリンダーに穴が開き、2ヶ月ほど係留されたままでした、、、、。今週末くらいから復活だと思います。
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Unknown (taka)
2012-07-09 20:34:51
情報ありがとうございます。
シミーの方も良くなっていると良いのですが…
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Unknown (C2)
2012-07-18 10:56:02
>takaさん
シミーは変化なしです!
エンジンは復活です。
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