フライトログ： 軍用ヘリにブチ抜かれた

ロサンゼルスもかなり日が短くなってきた。毎年この時期からナイトフライトタイムが溜まり始める。この日フライトは夕暮れ時。愛機ヒヨコことGrumman AA1でサンタモニカ空港Rwy21からRight 270で離陸。気温も低く、上昇していくと少し寒気を感じるほど。ヒーターを使うほどではないが、ロサンゼルスにも秋が訪れたなと感じる瞬間（とは言っても昼間はいまだに半袖短パンで大丈夫な気温だが）。

ロサンゼルス国際空港（Los Angeles International Airport / LAX）を越えるのはLAX Special Flight Rule 3500ftを選択した。この時は右肩越しに夕暮れ時の海岸線を見る事ができる。有り得ないほど綺麗だなと思う。この地に住んで飛行機乗りで居られることに幸せを感じる瞬間だ。 そうこうしていると、サンタモニカ空港Class D Airspaceから出ているにもかかわらず、サンタモニカ空港管制等がTraffic Advisoryということでこちらを呼んでいた。

”Special Flight Ruleに向かうヘリが120-130ktで飛んできている”

とのことだった。こちらもヘリを確認、こちらよりも数マイル後ろを飛んでいるので、まあ影響はないだろうと思っていた。ただ、いくら低速機ヒヨコとは言えヘリに追いつかれては寂しいので、2500rpmの７５％出力で飛行を続けた。こちらもヘリを目視で確認した！とサンタモニカ空港管制塔に伝えると、Frequency change!となった。

そして順調に飛行を続け、マリーナデルレイの上空に来た頃、Special Flight Rule 128.55Hzの周波数で先ほどのヘリがコールがあった。

”左から抜くよ”

とのこと。こちらのGround Speedは110kt弱くらいなので、そのヘリコプターは明らかに１５０ktくらいで飛んでいることになる。速い。

凄い速度差でこちらを抜いている軍用ヘリ（おそらくBlack Hawk）
http://www.youtube.com/watch?v=-RV_URsuMRM


追い越していったヘリはBlack Hawk / もしくはSea Hawk。ライカミング O-235の１０８馬力のエンジン１個搭載のヒヨコとは比較にならない、１９００馬力のタービンエンジン２個搭載の高性能ヘリ。この動画だとその近さが伝わらないと思うが、空でこの距離は凄く近い！　かと言って、別に軍だから横柄な態度だったというわけじゃなく、このヘリの機長の無線は非常にフレンドリー で、こちらもヒヤっとするような危険はなかった。むしろこんな至近距離で軍用ヘリと並んで飛べるアメリカの空は最高だなと思ったくらい。彼らは凄い速度でロスアラミトスの基地に向かって飛び去っていった。

ただ、後になって思ったのが、LAX special flight Ruleの最高速度は１４０kt以下だし、SMO VOR 132 Radialに乗ってLAX空港真上を通過するのが決まりだし、基本的にはNon-Jet / Non-Turbine！の機体が通るコースなのだが、この軍用へリはどれにも当てはまらない。この飛び方を毎回自分のような民間人／外国人がしていたなら連邦航空局（FAA）から電話番号をもらうことになるだろうなと思う。ただ、 レーダーでLos Alamitos / Seal Beachの軍基地に向かう機影を見ると、Socal Approachも何も言わないのだろう。

この日はそのままコンプトン空港に向かい、夕暮れ時、黄昏時の着陸を楽しむことにした。Goodyear Field 上空で降下し、そこからRwy25LのDownwindに入った。そしてそのまま着陸となったが、そこそこの接地だった。かなり変な風が吹いていたのは驚きだった。ファイナルでもふらついたし、ベースでは海側に向かって軽くウインドコレクションを取ったほど。 コンプトンは不思議な風が吹いていることがある。

着陸した後はそのままタクシーバックし、すぐにコンプトン空港から離陸した。２４００ft以上の高度になった所でトーランス空港の上空を目指し、先日調子が悪かった無線をチェックしてみた。この日は無線の調子も良く、まったく問題なく作動している。先日の故障はなんだったのか？と思う。

SMO VOR 132 Radial Outboundをトラックし、Special Flight Rule 4500ftでLAXを越えた。この時は完全に夜の帳が下りており、綺麗な夜景が楽しめた。4500ftからサンタモニカ空港への降下はFly mid-field, make left 270 for Rt trafficとのこと。かなりSteep TurnでRight Downwindに入り、すぐにcleared to landとなり着陸。夜景も楽しめ、Black Hawkと至近距離で一緒に飛べたこともあり、楽しいフライトだった。