LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:久々に本当のHolding Procedureをやることに

2009-10-29 | Flight Log (機長)

前回のフライトでは愛機Grumman AA1のラジオの調子が悪かったが、原因も分り、症状も特定された。この日はフライトには問題ないと判断。念の為にトランシーバーにHeadset用の配線を付け、すぐに手の届く場所に置いておくことにした。

この日は基本的には雲一つない天気のロサンゼルスだったが、所々でかなりFoggy / Hazyな天気だった。サンタモニカ空港はVisibilityが1.5マイルということで、雲は出ていないけれどもIMCとなっている。つまり、離陸するにはSpecial VFRかIFRしかない。とりあえずエンジン始動、South East Run Upまで向かった。ここで他の機体の無線をきいていると、サンタモニカ空港グランドコントロールがSpecial VFRをリクエストする機体に対して

”IFRの離陸待ちの機体が5機いるから、いつSpecial VFRを許可てきるか分らない”

と言っていた。ここで自分としてはIFRで離陸することにきめた。目的地はエルモンテ空港(El Monte Airport / EMT)にした。サンタモニカ空港からエルモンテ空港までのTower Enroute ClearanceでのIFRルートは非常に大回りになるので、程よい時間のフライトが楽しめる。帰りにはFogも晴れているだろうと予想し、そうすればDirectで超短時間のVFRフライトでサンタモニカ空港まで戻ってこれる。軽く飛んで遊ぶにはちょうど良い。

この日のサンタモニカ空港はTaxiway Aの一部が閉鎖されていたので、Business Jet達がTaxiway B、つまり南側のTaxiwayから離陸することになる。ビーチジェットが目の前にタクシーして来て、我々小型機に混じって延々と離陸待ちをしている。お陰でかなりのジェットエンジンの排ガス臭がして、目と鼻が痛くなってきたほど。自分の他に、セスナ172が1機、ビーチジェットが1機、ボナンザが1機、そしてG1000 セスナ172SPが1機、滑走路を挟んで向こう側にはマケッティーが1機、つまり6機がIFR離陸待ちをしていた。Special VFRの機体は5000ft西のRwy3で待っている。さすがに長く待たされ、ボナンザはランプ(ハンガー)に帰っていってしまった。近隣空港が全てIMCなので、IFR Trafficが多くて離陸順番待ちが長くなるのも仕方ないことなのだが、それでも30分以上(0.6-0.7hr Hobbs)の待ち時間は自分の最長記録だ。

とりあえずもらったクリアランスはいつもの通りで:

Cleared to EMT, fly runway heading, upon reaching LAX315 turn right 250, radar vector back to SMO, SMO 125 out-bound, V64, SLI, V8, POXCU, V363, POM, Direct, 3000/5000ft 5min, 125.2hz, 474x for Squawk

かなりイライラしていたが、結局離陸してしまえばそんな事も忘れ、一人コクピットで笑顔。700fpm程度の上昇率で海の上を飛行、2500ftくらいまで来た所で右旋回でSMO VORに戻ることになった。サンタモニカ周辺にはかなりHazyな層がかかっており、2000ftまでは本当に視程が悪い。2500ftくらいから上に行くと、30マイルくらいの視程はあったと思う。SMO VORに着く前にHeading 120に振られ、そしてさらにHeading 150、海岸線を南下した。

ずっと4000ftでの巡航だったが、トーランス空港上空くらいで5000ftに上昇するよう指示。スロットル最大で上昇を開始すると、この時期にしては油温が高めになった。また外気温が4000ー5000ft付近で20度を越えており、地上より体感温度も高い。Airspeed Indicatorを見ると、機体パフォーマンスが悪く、2450rpmの設定で90kt IASしか出ていない。完全にTemperature Inversionだ。地上がHazy/Foggyなのもうなずける。

V64に乗ったくらいの位置に来て、”Direct to SLI VOR”とSocal Approachからの指示。途中トラフィックのお陰で右に進路を振られたが、すぐにまたDirect to SLI VORとなった。すぐにV8(SLI 058 Radial)に乗ってPOXCUを目指す。そこに到達する前に、他のトラフィックの為に進路を左に振られた。おそらくジョンウェイン空港に下りる旅客機の進路と重なったのだろう。Heading 020でPOM VOR 164 Radialをインターセプトすべく飛ぶ。POM VOR Directの進路のまま4000ftに降下、そしてすぐに3000ftへと降下。普段と飛ばされる経路が違うし、この日の低高度のIFRが混雑していることが伺える。

ここでSocal Approachから呼ばれ、

”場合によってはHoldingしてもらわないといけないかもしれない!”

とのことだった。感じの良い管制官で少し申し訳なさそうに伝えてきたが、自分としては少し嬉しかった。Instrument Approachの一環としてIFRフライト中にHolding Patternを回ったことはあるが、訓練は別として実際のフライトでHolding Patternを回る機会など滅多にない。自分のログブックを確認すると、自身が機長として飛んだ過去のIFR Flightの回数は100回くらいになるが、アプローチクリアランス待ちのHolding Procedureは今回が初めてになる。

エルモンテ空港VOR-A Approachを打つ機体が2機いるとのことで、こちらは3番目。POM VORの局上Holding開始となった。もうすでにPOM近くまで来ていたので、管制官の指示通りに飛ばされてHolding Patternに入ることになった。これは少しがっかりで、エントリー方法などを考える必要が無くなってしまった。ただ、これは正しい管制のあり方だと思う。直前にHoldingの指示が来てパイロットが混乱しない為に、本来管制官は最低数分以上前(正確な数字は忘れたが)にパイロットに対してHoldingの指示を出さなければならないと規定されていると聞いたことがある。これは元管制官からの話しだ。

いずれにせよ、結局POM VORの上で1回 Standard Holding Patternを回っただけで、すぐにエルモンテ空港 VOR-A ApproachのFinal Approach Courseへのレーダーベクターが始まった。こちらの燃料搭載料も少なかったので、あまりだらだらHoldingせずに丁度よかったのかもしれない。

いよいよEMT VOR-A Approachが始まった。GPSで空港位置は見えているが、視程が悪くて目視では空港を確認できない。エルモンテ空港管制塔からは”Report SEALOW”とタワーに指示された。しばらくしてSEALOW intersectionを通過したが、やはり空港は見えない。”まだ空港が見えないか?!”と管制塔から急かされるが、もともとエルモンテ空港は見つけにくいことで有名だ、勘弁して欲しい。空港まで3、4マイルの所でやっとビーコンライトを発見、すぐにCircle to Eastで着陸許可が下りた。ここからはVFRと同じ、気楽にパターンを回って着陸となった。

気軽にフライトをするつもりで離陸したが、実際はHoldingまでさせられる比較的忙しいフライトとなった。でも、程よい忙しさと新しい経験は楽しみの一つ。自分のFlight Log BookのRemarksの欄に、"TEC IFR to EMT, HOLDING PROCEDURE OVER POM"と記載し、満足のうちにこのフライトレグを終了した。


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