LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:目的地を決めずにセネカで散歩 第一話(動画)

2011-02-07 | Flight Log (機長)

天気も良く、VFRで飛ぶには最適の日。ロサンゼルスから200マイルの範囲にはIMCが存在しないほど。目的地を決めず、セネカを出撃させることに。トーランス空港に到着し、セネカIIに乗り込んだ。シート位置を少し後ろ気味にし、ゆったりした姿勢が取れるようにする。どんな機種でもそうだが、最初に飛ばす時には座席位置が前気味になる。段々その機種や機体に慣れてくると、自分が本当に飛ばし易い座席位置などが変わって来る。本当に慣れると、ラダーさえ奥まで踏めれば、あまり座席位置にこだわりはなくなるし、左右の座席すら拘らなくなる。このセネカ、左右どちらでも絶対に下ろせるという自信はないが、特に緊張することなく、左席ならどんなシートポジションでも飛ばせるようになった。この日はVFRだが、Single PilotでIFRを飛んでも、このセネカなら忙しい機内で操縦が後手後手になることはない。

左からエンジン始動、そして右へ。この複数のエンジンをかける儀式が心地よい。あと、ブルブルと二つのエンジンが回りながらゆっくりタクシーする時にも、それなりの味わいがある。どんな飛行機もそうだが、特にマルチエンジンはエンジン始動から停止まで、ずっと味わい続けないと勿体ない。そんな事を言いながら、目的地も決めないようなセネカを下駄代わりに使ったVFRフライトをしているわけだから、発言の一貫性を欠くと思われるかもしれない。ただ、自分の中では矛盾がない。しっかりしたフライトプランから機体マネージメントプランまで決めて、考え抜いて飛ぶ事も味わう方法の一つ。下駄代わりに目的地を決めずに飛び上がり、機体と戯れるのもまた味わいの一つ。あと、そういうのは”粋”だと思っている。

ランナップの後にRwy29Rから離陸。この日は珍しく、左エンジンのマグチェックでプラグクリーンナップが必要だった。Straight Out Departureを選択、海に向って飛んでいった。本当はManifold Pressure35インチでの離陸が勧められているが、この日は38インチくらいまでかけてしまった。気持ち良いターボの加速は最高だ。アップウィンドで2500rpm / 35inchに設定し、120ktで上昇をしていく。

トーランス空港から離陸する動画 (http://www.youtube.com/watch?v=AfoOTViZE5E)

 

パロスバーデスの海岸線を旋回しながら上昇し、7500ftでレベルオフした。サンタアナ空港の南西に広がるClass B Airspace 7000-10000ftを避けるように海側を飛ぶ。ここで目的地を決定、フレンチバレーにした。ちょうどこの時のヘディングのまま飛んでいけば到着するからという単純な理由。すぐにGarmin 430に目的地を打ち込む。感心できないが、Squawk1200のまま飛行。75%の出力設定で、いつものようにTAS190ktくらいで飛行している。サンタアナ空港から離陸してきたエアバスと直線距離2マイルくらいですれ違った。向うは上昇してきているし、TCASもあり、Socal Approachからトラフィックアラートが出ていると思うが、それゆえに凄い近さを飛び抜けていった。こっちが右側に居たが、ビビって回避行動を取ったほど。サンタアナの東に広がる丘を越え、ここからはスロットルを絞りながら降下開始。1分当たりMP1インチくらいでスロットルを絞り、いつものように高度マネージメントをしていく。この日のフレンチバレーの気温は23度、Rwy36を使っている。4000ftくらいでフレンチバレー空港の上空を通過し、貯水湖の手前から180度旋回、Right downwindに入った。この時、Eclipse Jetが1機離陸していくとCTAFでアナウンスしている。とは言っても、まだ離陸まで30秒以上はタクシーしそうな位置にいた。しかたないのでワイドパターンを回って距離を取ることにした。Eclipse Jetが離陸した後、すぐにベース、ファイナルを曲がり、Rwy36に着陸となった。ちなみにノーフラップでのランディング。少しパワーカーブの後ろ側で飛ぶような感覚で、スロットル操作に注意しないといけないが、慣れてしまうとこれが一番セネカを上手く下ろせる方法だと思う。自分で見つけたのじゃなく、人から習ったのだが。

フレンチバレー空港に着陸する動画(http://www.youtube.com/watch?v=9SMdbV0GviQ)

 

Rwy36からタクシーアウトし、給油スポットで機体を駐機した。目的地を決めずに軽く飛んだつもりでも、気付けばクロスカントリーフライトになってしまう。100ktでノロノロ飛ぶグラマンも楽しいのだが、170−190ktくらいで軽々と飛んでくれるセネカのような飛行機はいい。この後はどこに行くか、一度エンジンを止めて考えることにした。この続きは次回。

 

 

 

 

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6 コメント

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Unknown (tackoberry)
2011-02-10 20:33:08
landing後のtaxiでsteerする前にエレベーターfull upにするのはnose gearを労る為ですか?プロペラ後流で多少は舵が効いてnose upするんですか?
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Unknown (C2)
2011-02-11 03:24:20
>tachoberryさん
鋭い視点、鋭い観察力ですね。おっしゃる通り、nose gearを労るためです。強靭なセネカですが、メインギアとノーズギアだけは完全な欠陥品です。タクシーの時にきつい角度で旋回すると、ノーズギアから振動が発生する程です。減速してタクシーするのが一番ですが、こうしてエレベーターをフルアップにすることで、この機体では振動が軽減します。
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Unknown (tackoberry)
2011-02-12 00:06:04
なるほど、そうなんですね。engine start時もelevator full upにされてますもんね。フレンチバレー空港の着陸はnice & smooth landingですね!
ちなみにですが、離陸時のローテーションであまり操縦桿を引いている様に見えないのですが、そんなもんですか?接地姿勢での迎角で離陸して行くイメージですか?
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Unknown (C2)
2011-02-12 09:41:43
>tackoberryさん
ローテーションスピードに関しては色々な考え方があると思いますが、グラマンやセスナ172を飛ばす時には規定の速度で操縦桿を引き始めるようにしています。セスナ172なら大凡55ktくらいからだと思いますし(機種によって異なりますが)、グラマンですと60ktになります。

ただ、セネカの場合は比較的積載燃料も多く、離陸重量も1人乗りから荷物満載6人乗りで大きく異なります。そいう意味でPOHで規定されているVrとは、操縦している感覚的にかなり異なる感じがしています。特に私の場合はほとんどが1人でのフライトで、燃料も三分の一から半分くらいでしか飛びません。このように離陸重量幅がある場合、本来ならば旅客機のように毎回Vrを計算するのが正しいのでしょう。ただ、Vmcaを越えるまではノーズを浮かせず、それ行こうは機体が飛びたいという所で軽くバックプレッシャーを与えるだけでスムーズに離陸するようにしています。この時期ですと、だいたい70kt弱から飛行機が飛びたがりたくなります。一度両輪が浮き上がれば、あとはVy90ktで上昇し、Gear up、Prop / Throttleを離陸上昇に設定、そしてCruise Climb 120ktにピッチ調整という感じです。ちょっと変則です。ただ、飛行機をきちんと飛ばすという意味では、機体重量や空気密度などの条件を感じながら操縦する飛び方の方が正しいのではないかと思っています。

それにしても、私の操縦スタイルを鋭く見抜くtackoberryさんの視点は鋭いですね。



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Unknown (tackoberry)
2011-02-12 12:27:06
詳細にありがとうございます!エンジン付きの操縦経験がG109のモグラ1回だけなのでなかなか興味深いです。アメリカ駐在になった暁には必ず飛行機の免許もゲットしたいと思います。
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Unknown (C2)
2011-02-13 03:29:22
>tackoberryさん
あくまでも私のスタイルです。ただ、6人から8人乗りくらいの2トンから4トンくらいの重さのレシプロ双発を飛ばす時、こういうVrの決め方(感じ方)がいいとお勧めしているHigh Timeパイロット達(FAA試験官を含む)を多く知っています。自分よりも経験豊富な人達から色々と知識を吸収して、柔軟に自分のスタイルを作っていくのも空の楽しみの一つだと思ってます。
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