LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:嵐の後

2010-12-23 | Flight Log (機長)
南カリフォルニアのロサンゼルスには1998年から暮らしているが、おそらくこの地で自分が経験した雨や嵐の中で、先日のものが一番長く激しかったと思う。数日間に渡ってずっと低気圧が南カリフォルニアを被い、延々と雨が降り続いた。地球は水の星だなと実感するほどだった。雲の高さはサンタモニカ空港で100-200ftなどという日が続き、当然ながら離陸したら戻ってこれない。それだけじゃなく、サンダーストームの予報が出ている時には、シングルエンジン/シングルパイロットで飛ぶのは賢明じゃないと思う。Citation CJ3などの高性能機でシングルパイロットIFRができれば話しは別だが。

そんな激しい雨も上がり、程よい曇り空の天気となったロサンゼルス。2週間弱ぶりに飛ぶことにした。機体の係留を解き、キャノピーカバーを取ると、予想通りに機内は浸水気味。水たまりがあるほどじゃないが、カーペットはビチャビチャだ。開閉キャノピーのグラマンの弱点の一つ、雨漏。すぐに雑巾でカーペットの水分を吸い取り、コクピット周りの水滴も拭き取る。入念にプリフライトを行い、燃料タンクの水混入もひつこいほどチェックする。そしてエンジン始動、、、なかなかかからない。2分ほど苦戦してやっと始動した。

とりあえず空を楽しみたかったので、ランナップの後にRwy21からLeft Downwind Departureで離陸、VFRでローカルフライトに出た。ただ、雲の高さが2000ft以下の所もあり、VFRでAirspaceを避けながら気持ち良く合法に飛ぶんはギリギリな感じだ。Fwy10の上空を延々と東に飛ぶつもりだったが、雲と雲の間を飛ぶクネクネ飛行になった。ロサンゼルスダウンタウンまで来ると2000ft Overcastの雲となり、かえって高度と進路を選択しやすくなった。あまりVFRで飛ぶ天気じゃないなと思い、すぐにエルモンテ空港へと進路を変更。一度着陸してIFR Flightに切り替えることにした。IFRで遊ぶにはほどよい雲だった。

エルモンテ空港の管制塔へコンタクト、Rwy19 Right trafficとの指示。そしてすぐにNo.2 Cleared to landとなり、Rwy19に着陸した。トイレ休憩、給油、そしてすぐにTower Enroute Control IFR to Santa Monica Airportをリクエストした。もらったクリアランスは:

Cleared to SMO: via El Monte Rwy19 Departure Procedure (Rwy heading up to 800ft, then climb left turn to intercept PDZ 278) - PDZ VOR - V186 - DARTS: 4000ft / 6000ft / 10min: Departure Frequency 125.5, Squawk to be given prior to release

いつも通りのクリアランスをもらい、リリースまでしばらく待たされた。離陸許可が下り、クリアランス通りに飛行開始。PDZ 278をインターセプトし、3000ft程度の高さの雲の中に突入。そして雲の中で上昇中に左旋回指示が来た。なんどもヘディングを振られ、最終的には雲の中でルート変更指示。新たなルートは:

VNY 095, DARTS, maintain 4000ft

これも予想通りのルート変更指示だが、意外だったのが高度。この時既に4500ftを越えて上昇していたので、ピッチダウンで加速しながら4000ftまで降下。エンルートには雲が点々としており、気持ち良く串刺し飛行。真剣に思うことだが、”雲はIFR Pilot達への自然からの贈り物”だと思う。サーファーにとっての波と同じ。

VNY 095をインタセプトし、西へと飛行を続ける。DARTS Intersectionへ向う途中、Heading250へと振られる。サンタモニカ空港 Rwy21 VOR/GPS-A ApproachはDARTSから始まるのだが、当然ながらFull Approachは打たせてくれそうにない。いつものようにBEVEY Intersectionの手前からアプローチコースに乗るべくレーダーベクターが続く。この時は完全に雲の中飛行。流石に冬の雲の中はひんやり冷たい。暖房全開、そしてピトー管のヒーターもオンとする。低気圧性の雲だけあって上昇下降気流が激しく、途中空間識失調気味になった。計器を凝視しながら粛々とアプローチを続け、サンタモニカ空港管制塔へとハンドオフされた。BEVEY Intersectionを過ぎ、さらに高度を下げて行く。すると、スポンと雲から抜け、5マイルほど向うには空港が見えた。もっと雲の中に居たかったという気持ち半分、雲から出て一安心という気持ち半分。ここからはVisual Approachとなり、雲と雲の間をスラローム飛行、Rwy21へはノーフラップのまま着陸となった。

フライトを終えた感想は一言、大満足。









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