LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:クリスマスイブの日にフライト

2010-12-24 | Flight Log (機長)

クリスマスイブの朝、サンタモニカ空港に向った。8時過ぎに到着したが、まだ誰も飛んでいる様子がない。とりあえず機体についた水滴を拭き取り、嵐の後で汚れた機体が綺麗になった。そうこうしていると、隣のハンガーからエンジンの音が聞こえてきた。ベージュのシーラスだった。休日でも8時を過ぎればエンジン始動してもいいのは知っているが、どうしても一番手でのエンジン始動には抵抗がある。サンタモニカ市はサンタモニカ空港に対して非常に厳しい条例を課しており、平日は夜11時から朝7時まで、休日は夜11時から朝8時まで、エンジンを始動することを禁じている。罰金は日本円で2百万円くらい。午後11時前にエンジン始動し、IFRの離陸待ちをしていて午後11時を過ぎても許されない。11時になった時点でエンジンを停止しないと罰金を課される。そんな事から、なんとなく朝一番手としてエンジン始動するのではなく、他の機体のエンジン音を聴いてから、2番手として滑走路に向いたくなってしまう。

愛機に乗り込みエンジン始動、ランナップエリアに向う。暖気を行った後、ランナップを行う。この日の気温は11度、飛び易い温度だ。ランナップ後にはRwy21から離陸となった。こんな朝、休日、クリスマスイブに働かされて不愉快そうな感じが伝わってくる管制官の声。そんな暗い声を打ち消すかのような気持ち良い上昇をする愛機。80ktで900rpm近い上昇をしている。海岸線で右旋回、そのままパシフィックパリセイズの方角に飛行。そして進路を西に変更、海岸線を飛行し、マリブを目指す。そして、マリブを越えてから北へ向う。眼下の渓谷には霧が張りつめ、しかも渓谷を流れる水のように霧が流れて行くのが確認できた。冬の朝の景色は綺麗だ。

4500ftで巡航し、そのままサンタポーラ空港を目指すことにした。Santa Paulaの山に向って飛行し、空港を確認した。Rwy4/22どちらかと思っていたが、とりあえず離陸する機体はRwy22を使っているようだ。ここサンタポーラ空港特有のダウンウィンドエントリーでパターンに入り、ちょっと高めでファイナルに進入した。この時点で変なテールウィンドもあり、しかもエアスピードも85ktくらい。一瞬ゴーアラウンドも考えたが、フォワードスリップして高度と速度をコントロール、80ktで4度パスくらいに乗せた。ラウンドアウトのあと、ちょっと速めの速度で接地、ブレーキングで停止するという感心できない着陸となった。そのまま給油ピットに向かい、安い燃料を満タンにした。

すぐに帰途につくことにし、Rwy22からleft downwind departureとなった。東に向って延々と飛行。4500ftまで問題なく到達したので、これは5500ftまで上昇してバーバンク空港のClass C Airspaceを越えよう!と思った。5500ftまで到達すると、今度は7500ftを目指すことに決め、最終的には9500ftを目指すに至った。7500ftを越えてからはIAS70kt以下で200ー300fpm程度の上昇で、ノロノロ飛行が続く。途中、こちらの真下をSouthwestのボーイング737が通過していった。軌跡は完全に交差、高さも1000ftくらいしか差がない。すごいニアミスだが、Southwestの連中は良くこれをやる。Visualで確認も取れているし、コクピットのTCASにも映っているはずだし、何よりもSocal Approachからトラフィックの情報が入っているはずだ。”こんな所を飛ぶなよ!!”という怒りや敵意を感じる意図的ニアミスだ。

ちょっと時間がかかったが9500ftに到達し、巡航開始となった。2500rpmの出力設定でIAS85ktくらい、GSは110ktだった。もうすこしスロットルを開け、ミクスチャー調整などもしたが、やはり速度には乗らない。この程度の高度でも、愛機の固定ピッチプロペラはいたずらに薄い空気をかき回しているだけ。効率が悪いなという感じが伝わってくる。ただ、グラマンから見る9500ftの景色は久しぶりで、クリスマスイブの冬空が最高に綺麗だった。そのまま東へ飛び、エルモンテ空港の上空くらいで180度旋回しながら降下した。高度を速度に変換する飛び方でロサンゼルスダウンタウンに向って飛行。そしてダウンタウンを越え、グリフィスパーク上空からサンタモニカ空港管制塔を呼んだ。Rwy21にはノーフラップで着陸。しかも、Fwy405よりも東側で完全にエンジンをアイドリングにし、スリップも使わずに機体の抵抗だけを使いピッチコントロールで減速。滑走路上では75ktくらいまで減速でき、ラウンドアウトから接地までも綺麗に決まった。

やはり冬の空を飛ぶのは気持ちがいい。手に取るように空気の密度の高さ感じる。


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