現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

坂村 健「OAの未来図②」電脳都市所収

2020-09-26 18:16:57 | 参考文献

 この章では、ロバート・シルヴァーバーグの「時の仮面」に描かれた口述筆記(音声認識によるコンピュータによる文章作成)、自動酒場(コンピュータ制御によるバーテンのいないバー)、ベーパーレス・オフィス、コンピュータ・シミュレーションなどが解説されています。
 ここでも、興味深い以下の項目について述べます。

音声認識:ご存じのように、現在では、Siriやスマートスピーカーのように、様々な音声入力でサービスしている機械が実用化されていますが、この本が発表された1987年にはまだごく特殊な用途にしか実現していませんでした。さらに時代をさかのぼると、1976年に私が書いた卒論は音声のパターン認識がテーマで、大型コンピュータ(そのころはパソコンなど影も形もありませんでした)を使って、「時の仮面」にも出てくるパンチカード入力で、真夏なのに18℃に保たれたコンピュータ室(そのころのコンピュータには真空管が使われていて、専用の部屋が必要なほど馬鹿でかく、また半導体と違って故障しやすいので低温環境でないとすぐにダウンしてしまいます)で、震えながら実験をしたのを覚えています。それでも、認識できたのは、「あ」「い」「う」「え」「お」の五つの母音だけでした。

自動酒場:コスト優位性がなかなか得られなかった(人間を安価な賃金で働かせた方がまだ安いことが多い)ので、ご存じのようにキャッシュレスと監視カメラを使ったコンビニなどの無人店舗は、まだそれほど普及していません。

プログラミング言語:FORTRAN、BASIC、PASCALなどの懐かしい言語が並んでいます。FORTRANは初期の大型コンピュータ用のプログラミング言語で、私が高校三年の時に初めて習ったのも、大学で卒論用にプログラミングしたのもこれでした。BASICは直感的に分かりやすい言語なので、パソコンで採用された例が多く、私が勤めていた会社で作っていたパソコン(工業用なのでワークステーションと称していました)にも採用されていたので、二十代の前半は、世界中のサービスエンジニアが我々の製品(電子計測器です)の動作試験をするためのプログラムを、これを使って書いていました(パソコンが出る前は、キャリキュレータと称していた工業用の専用コンピュータでHPL(Hewlett Packard Language)という会社独自の言語で書いていました)。PASCALには苦い思い出があって、私が二十代後半の時に初めて製品プランナーとして手掛けた、計測システムのプログラミング言語として採用して、大失敗しました。この言語は非常に美しく記述性に優れていたので、私も、開発プロジェクトのマネージャも、プログラミング担当のエンジニアたちも、みんな夢中だったのですが、大規模プログラム用なのでやや難しく、お客様をサポートするアプリケーション・エンジニアの育成に時間がかかって、商機を逃しました。

 

 












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