God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

たすけた亀につれられて

2004-09-18 05:31:07 | 歴史/民俗/伝統芸能
 浦島太郎は、亀につれられて竜宮城へ行きました。何故?亀を助けたから(笑)
 古来、陸で生活している人間は、水(海)の中には人のはいっていけない異界があると考えていました。その異界の象徴が竜宮城です。これが沖縄になると、「海のむこうのニライカナイ」と、ややニュアンスがかわるのは、海との結びつきがきわめて強い地域性からなのでしょうか。水の中には異界があるという考え方は例えば川であれば、「河童」が異界の使者となります。河童に川に引きずり込まれるというのは異界に連れ去られる事を意味してます。余談ですが河童の世界を異界として描いた水木しげる大先生の「河童の三平」の、文章では表現できないシュールでストレンジな感覚は絶品です。

 さて、亀は水の中でも陸でも生活できる生き物です。そこが大事。亀のみが陸と海、現界と異界を行き来できる唯一の生き物なので、浦島太郎はその亀の助けなくしては絶対に異界には行けなかったのでしょう。つまり亀はそれ自身が異界への交通機関であり通行手形であり、案内人となる生き物なのです。だから、たとえば網にかかった魚では、いくら逃がしてあげても竜宮城へは連れて行ってもらえない!!水陸両用の「蟹』は微妙な立場(笑)
 ほかの生き物は助けてあげても何かを持ってきてくれたり、恩返しでピンチから救ってくれたりするだけなので、異界に行きたい人はぜひ亀を助けてあげてくださ(笑)

 そしてもう一つ異界には「あの世』があります。亀はここでも同じ役割を果たします。死者をあの世へのせていく生き物として、しばしば亀が選ばれていることはご存知ですか?墓石の台座のなかには亀のかたちをしているものがあります。これは「亀趺/きふ」と呼ばれるもので、やはりあの世への案内人としてもちいられているのです。極楽に行きたい人も亀を助けましょう。

 写真は会津松平家の墓所に立つ、故人の業績を刻んだ墓碑です。高さは5m以上で、巨大な亀にのっているのがおわかりでしょうか?隣の人が小さく見えま~す(笑)