MASTER PIECE

映画 音楽 書籍 etc

星新一 1001話をつくった人

2016年04月06日 08時51分02秒 | 書籍



久しぶりに面白いノンフィクションを読んだ。
面白いというか凄く感動するノンフィクションでした。

星新一という小説家の人物像を新一の両親から父方、母方の両親までさかのぼっての星一族の歴史。
それは明治後期から昭和初期の日本の歴史と重なって非常に読み応えがあります。

星新一=ショートショートの神様のイメージでしたが、母方の親が森鴎外の妹だったり
本名が親一だったり、東京大学出身だったり、父親の星製薬を継いで社長になったりと、まさに「人に歴史あり」ですね。
この本は上下巻あって参考文献やあとがきを省いても790ページあり読むのが大変でしたが
久しぶりに長編を読んだ充実感があります(笑)

「1001話を作った人」という副題が星新一を深く掘り下げるキーワードになっています。
小説家、作家としてしか知らなかった人としての人物像が浮かび上がります。。。
(だから副題が1001話を作った小説家ではなくて「人」なんですね。)

私自身、昔からショートショートのファンなのですが作家の内面や苦悩など知るはずもなく
今回、この本を読んでみて、最相葉月さんの綿密な記事、詳細な資料などよく調べてあり驚きます。

上巻は作家デビューまでの主な星一族(星製薬)などの歴史で、下巻は作家デビューから死去までの歴史となっている。
特に下巻の第十二章の「東京に原爆を!」での作家、江坂遊との友情にも似た二人のやり取りがなんとも切なくて泣ける!!
ここで泣くわけにはいかないと思っても、次の終章「鍵」でやっぱり号泣してしまいました。(笑)

ショートショートとはまた違った人間、星新一を知ることができる貴重なノンフィクションだと思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿