綿矢りさの小説、2作品目。
題名が「かわいそうだね!」ではなくて「かわいそうだね?」の疑問形なので
題名からして、ちょっとひねった恋愛小説って事は想像していました・・・(笑)
女子の本音、大人の恋愛模様などが大筋のストーリーですね・・・
こういう話なら多分、ネットの中には無限に存在するし
【加藤はいね】のブログでも観れば、いわゆる痛い女子の面白さとか、一途な恋愛感情にも共感できるんだけれど
自己体験談の面白さと、フィクションとしての小説の面白さはまた違います。
そこはやっぱり綿矢りさの文章力や表現力が凄いということです・・・(当たり前ですけど)
いろいろ思うことはあるものの、ただなぜか、やたらとスッキリしている。
こんなに自由な気分になったのは久しぶりだ。思う存分、好きなようにふるまったせいだろうか。
怒りながらでも、わめきながらでも、損得の計算をせず本心をぶちまけることができて、ほっとしていた。
かわいそうだから助けてあげる、と嘯いていたときの、うさんくさい自分より、今の自分のほうがよほど好きだ。
いまなら、かわいそうという言葉を嫌っていた人たちの気持ちも分かる。
相手を憐れんでから発動する同情心は、やはりどこか醜い。
みんなもっと深い慈悲を他人に求めているし、自分にも深い慈悲が芽生える可能性を信じている。
困っている人はいても、かわいそうな人なんて一人もいない。(P153より抜粋)
主人公、樹理恵の心境の変化を表している文章ですね、うん、言われてみればごもっともです(笑)
面白くて、ちょっぴり切ない作品でした。
私にとってこちらの書籍の2作品は、ユーモアの印象が強いです。
「かわいそうだね?」の、主人公が堪忍袋の緒が切れる寸前で「どっせい、どっせい」という、
怪しい掛け声が浮かぶところとか、
「亜美ちゃんは美人」の、亜美の彼氏の変人ぶりとかがツボです。
子供っぽい感想ですみません・・・
綿矢作品はそれぞれカラーが違って綿矢さんの引き出しの多さは、
やっぱり天才なのかなあと思います。
デビュー作を読んだ時は、こんな色々な作品の書ける大物になるとは思いませんでした・・・。
コメントありがとうございます。
最初は綿矢りさって恋愛小説家ってイメージでしたが
「限りなく透明に近いブルー」のあとがきを読んでからファンになりました・・・
あの文章力、表現力、まとめる力と伝える力・・・
はい!!やっぱり天才だと思います・・・(笑)
nonさん、最近は何か読まれていますか?
記事の更新を楽しみにしています。