村上春樹の初短編集を読んでみました。
流れとしては「ノルウェイの森」⇒「海辺のカフカ」ときて次は短編と決めていたので・・・
以前に「回転木馬のデッド・ヒート」と「神の子どもたちはみな踊る」を読みましたが
どちらも洗練されたハルキイズムとも言うべき文体でしたが、この作品集は初っていう事を考えても
まぁ~印象深いダイヤモンドの原石とも言うべき作品集でしたね。
「中国行きのスロウ・ボート」
表題になっている作品ですが、特にスロウ・ボートが主役ではないんですね~(笑)
そして旅行記みたいでもない・・・
一人の若者が出会った3人の中国人との思い出。
「階段のわきに立っている僕を見て彼女は力なく笑った。」P32より抜粋
二人目の大学時代のエピソードなんて、映画のワンシーンみたいです。(笑)
荒削りなストーリーだがいい話でした。
「貧乏な叔母さんの話」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「カンガルー通信」は
よく理解できない難解な話でしたね~カンガルー通信は今で言うストーカーでしょ!!!
「午後の最後の芝生」
この作品から雰囲気が変わる、春樹の真髄とも言うべき文体のリズムですね。
結果、この作品が一番印象深く余韻が素晴らしいと感じた話でした。
「土の中の彼女の小さな犬」
ちょっと気持ち悪い話なのですが、匂いで思い出す記憶ってなぜか悲しい思い出になってしまうのか?
よくできた話ですが、実際にありそうなエピソードと考えると怖いです・・・
「シドニーのグリーン・ストリート」
最後はカラーの違う童話ですね。
ちょっと気になったのがピザ・スタンドのチャーリーなのですが
たぶん村上春樹はチャーリー・ワッツからとったのでは?って思います。
チャーリー・ワッツってイギリスの牧羊犬協会の会員だか会長だったか・・・
チャーリーと羊っていうキーワードはロック好き、洋楽好きなら考えられます。
いえ、私の単なる想像です(笑)
次も春樹の短編集を購入予定です。