桜蘂降る

桜蘂降れり帽子のなき頭にも



　



桜の花が散りつくした後で、萼に残った蘂が散って落ちるこ

とをいう。







風が吹くとぱらぱらと散り、地面が蘂で赤くなる。







桜蘂が降るのを見ると、花時が過ぎてしまった寂しさを感じる。







桜蘂が降っていた。

帽子を被ってこなかった頭にも容赦なく降った。






桜蘂降るうつつ世を厭はねど



　

巣箱(2)

新しき巣箱掛けある小楢かな



　



樹木の洞、自ら木に掘った穴などに営巣する修正をもつ鳥

に、人工的に営巣場所を提供するための箱をいう。







角状、円盤状、家状などの形状のものがあり、材料も木材、

プラスチック、ブリキなどが使われる。

巣箱の大さや穴の大きさ、設置場所などは営巣させようと

する鳥によって異なる。







今年作られた新しい巣箱が小楢の木に掛かっていた。

自然の中に溶け込もうとしているようであった。






暫くは巣箱見上げて二人連れ



　

薺の花

プードルの歩みしなやか花薺



　



アブラナ科の二年草。

春の七草の一つ。

春の田の畦や道端などに見られる。







三～四月頃、直立した茎の先に白い小型の十字花を多数

つける。







果実が倒三角形で三味線のばちに似ていることからぺん

ぺん草とも呼ばれる。







広い空地に薺が群生して花をつけていた。

その前を、毛並みのよい大形のプードルがしなやかに通って

行った。






夕暮のぺんぺん草を鳴らしけり



　

芝桜

池に入る水音のして芝桜



　



ハナショウブ科の多年草。

北アメリカ原産。







石垣や花壇などにびっしりと咲く。

花色は、桜を思わせる薄桃色のほか白や藤色などがある。







池の石垣に芝桜が咲いていた。

そこには池に注ぎ込む水の音が聞こえていた。






芝桜流れて雲の大き影



　

柳の芽

いち早く芽柳風を捉へけり



　



柳の種類は多いが、枝垂柳が芽吹くさまは特に美しい。







早春、新しい枝が伸び始め、ついでその枝に浅緑の新芽が

吹き出す。







芽吹いた腓・喩覆箜肱・罵匹譴討い觚・覆呂い・砲盻