真野竹堂に藤井高尚が宛てた消息が残っております。
宮内の中吉野にある米吟という青楼(遊女屋です)に「理加」という遊女がいて、彼女に真野竹堂が歌書を与えております。この文面からは分かりかねるのですが、この人に、高尚が、多分、歌を教えていたのではないかと思われます。そのお礼の手紙なのです。どんな内容のものかは書いていませんが、竹堂が彼女に与えた歌書は相当上物だったのではないかと思います。「題林愚抄之様のもの可宜と奉存候」という字が見えますから。
また、「萬須」という遊女の名前も出てまいります。「彼女たちはなかなか歌の様子を呑み込ず困っております。百人一首や古今集のようなものから教えようと思っている」と書いております。