先ほど、来月十日締め切り分の歌稿を投函して来ました。
今回のテーマは、「通勤路」です。私としてはいつもより自信のある歌が揃いました。
でも、清書しながら「あっ…」と思った点もありました。四首目「ベンチに連れ立って」は、実際には座っているんです。だから「並(な)み座り」とするべきかなぁ、と。けれど、これだと友達同士かどうかがぼやけてしまうし…と思い、先生がどう朱を入れて下さるかを待とうと、敢えてこのまま出しました。さて、どうなりますか…。
足早に出勤の人過ぎゆける道にすがしい空気を吸いぬ
反対の車線に停まる通園のバスの子供に手を振る車掌
喫煙所なきに若きらふてぶてとふかす入鋏(にゅうきょう)省略の駅
学生が駅のベンチに連れ立ってそれぞれ無言で携帯に対く
信号を待つ身西陽に焼かれつつ手許を過ぎる微風に和む
汗ばんだ吾が乗り込むと学生が鞄より出すデオドラント剤
陽炎の立つホームへと滑り込む中央線に吸われゆく群れ
来し方を問える初老の脂顔に電車を一つ早めて通う
市民バス使い一年 バス停が農の駅へと乗り入れられる
(2012年8月10日締め切り分、『樹海』2012年10月号掲載予定)
今回のテーマは、「通勤路」です。私としてはいつもより自信のある歌が揃いました。
でも、清書しながら「あっ…」と思った点もありました。四首目「ベンチに連れ立って」は、実際には座っているんです。だから「並(な)み座り」とするべきかなぁ、と。けれど、これだと友達同士かどうかがぼやけてしまうし…と思い、先生がどう朱を入れて下さるかを待とうと、敢えてこのまま出しました。さて、どうなりますか…。
足早に出勤の人過ぎゆける道にすがしい空気を吸いぬ
反対の車線に停まる通園のバスの子供に手を振る車掌
喫煙所なきに若きらふてぶてとふかす入鋏(にゅうきょう)省略の駅
学生が駅のベンチに連れ立ってそれぞれ無言で携帯に対く
信号を待つ身西陽に焼かれつつ手許を過ぎる微風に和む
汗ばんだ吾が乗り込むと学生が鞄より出すデオドラント剤
陽炎の立つホームへと滑り込む中央線に吸われゆく群れ
来し方を問える初老の脂顔に電車を一つ早めて通う
市民バス使い一年 バス停が農の駅へと乗り入れられる
(2012年8月10日締め切り分、『樹海』2012年10月号掲載予定)