ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

北極点初到達は虚偽?ならびに「空白の五マイル」発売

2010年11月17日 00時19分10秒 | お知らせ
NHKhiの番組「世界史発掘!時空タイムス編集部『北極点を目指せ!世紀の大冒険に秘められたミステリー』誰が北極点に一番乗りしたのか?探検家ピアリーとクックの主張を検証」を見る。北極点初到達をめぐる疑惑を論証した番組で、ドイツの製作によるドキュメンタリーをもとにしている。ゲストで荻田君が出演していた。

改めて簡単に説明すると、北極点はアメリカの探検家ロバート・ピアリーが1909年4月6日に初到達したとされているが、ピアリーが米国に帰国途中、フレデリック・クックがその前年に初到達していたと主張したものだから、大論争に発展した。政治力と陰謀にたけたピアリーがクックの到達は虚偽であったとのキャンペーンを仕掛け、クックは世紀のペテン師として歴史の闇に葬られた。

番組ではクックを貶めるためにピアリーが用いた買収や証拠隠滅などのえげつない手法も紹介され、北極点初到達をめぐる赤裸々な人間ドラマがよく伝わっていた。クックはクックで、本の中身が日記とは違っていたらしく、クック派のわたしとしては残念である。番組でコメントしていた専門家は、ほぼ全員、二人とも北極点には到達していなかったという点で意見が一致していた。

北極は大陸じゃなく、海の上に氷が漂っているだけなので、到達の証拠が残らない。歴史や自然環境も含めた、そうした茫漠性が北極の魅力といえば魅力である。

北極探検史についてもっと詳しいことを知りたい人は、今年の「岳人」10月号の第二特集「極地探検のいま」を読みましょう。わたしの記事が載っています。→アマゾンで販売中。


空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
角幡 唯介
集英社


「空白の五マイル」は本日発売です。よろしくお願いいたします。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (荻田泰永)
2010-11-17 08:39:05
今日、本屋に走って買いますよー!楽しみ
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Unknown (富山のN)
2010-11-17 18:57:57
買いました!今から電車のなかで読みます。
28日のイベント、楽しみにしています。迷子にならないか不安だけど…。
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Unknown (トーシャ)
2010-11-22 09:00:03
地元の大型書店に一冊だけあったのを一昨日買いました! 買い占めたと言っても過言ではありません。

今夜から明日にかけて拝読致します!
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Unknown (かくはた)
2010-11-22 11:37:02
それはまさに買い占めた、ですね。

和歌山の片田舎に大型書店なんかあるのか?
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Unknown (トーシャ)
2010-11-22 12:31:27
今は滋賀県に棲んでるんですよ。
そして和歌山の片田舎にも大型書店はあります!
失礼しちゃう。
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Unknown (Shi Fujiwara)
2011-01-03 22:33:02
2011年正月に24時間で読了しました。新聞社を辞めても「現地を確認したい」。「行ってみたい」の気持ちの高まりが

いいですね。それにしても厳しい自然と、はらはらどきどきの現地の人々とのやりとりです。

この場所をGoogle Earthの高解像度の立体画像をみながらの読書でしたので角幡さんの困難はさぞかしだったと想像し

ます。Googleに貼り付けてある数十枚の現地写真をみると「ペマコチュン、ザチュの集落は差し掛け屋根、丸太小屋」

であることを知ることができました。す。

それにしてもこの本の2ページ目の地図に縮尺が表示されていないことが極端に残念なことです。Google Earthから逆算

したら[縮尺≒ 1/370,000 ]ですね。野宿した岩室----ガンデンまでの直線距離が17kmでおおよそ品川---赤羽間である

ことを知ることができました。

豊かな人生を手にしたようです。
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