カナダをめざしたカヤックでの航海から、8日にひとまず帰還した。村に戻ってブログを更新する気も起きず、この4,5日は家でのんびり過ごしていた。いやはや、北西グリーンランドの海は想像以上にワイルドで、荒々しかった。わずか18日間の航海だったが、ここ数年では経験のないほどの波瀾万丈な旅、トラブルの続出。この先、何が起きるか分からないという意味ではツアンポー峡谷以来の内容だったかもしれない。
旅の報告はナショジオのウェブサイトで書かなくてはならないうえ、来年以降の話になりますが、オール読物の連載で作品化することになっているので、このブログでは詳細を書くことはできませんが、簡単に紹介すると、四日目にセイウチが襲来、山口君の船が牙で穴をあけられ、数百メートルにわたって追い掛け回された。その後、カナダ渡航であるアノイトーに到着したものの、タイドラインを見誤るという初歩的なミスを犯し、ドッグフード20キロを海に流出(今回の遠征ではドッグフード運に見放されており、デポのために橇やカヤックで運んだドッグフードをこれで40キロも失ったことになる)させてしまい、デポ品の一部を失ったため、今回のカナダ渡航は断念した。さらに帰りの航海でも船が流出し、氷の海を泳いで船を捕りに行くなどという失態も演じてしまう。
このときは、まさか自分もナンセンのように氷の海を泳ぐことになるとは思いもしなかった。もちろんドライスーツは着ていたが、慌てて準備したので、社会の窓のチャックを閉め忘れてしまったのである。そのためドライスーツ内に冷水が入りこんできてウェットスーツと化し、泳いでいる間に下半身の感覚がなくなってきてしまったのだった。
そして最大のトラブルは村に戻ってきたあとに、大家から示されたインターネット代金の請求書。腰を抜かすほどの金額に達しており、セイウチ襲来以上に顔が青くなった。家族とスカイプをやりすぎたのだろうか。あるいは、アッパリアスを捌く間にTBSラジオのポッドキャストを聞きすぎたのが原因だろうか。あるいは……。
カナダに渡れなかったのは残念だが、とりあえずアノイトーに流出したドッグフード以外はデポできたので、計画に失敗したわけではない。もともと今回は成功の可能性はあまりたかくはないと考えており、7月下旬に出発する二度目の航海が勝負だと思っていた。セイウチの生態、干満差、浮き氷や定着氷の状況、途中で捕れそうな獲物など、今回の旅で現場の海の状況がきわまて生々しいかたちで把握できたので、次はもっとスムーズに旅することができる、と期待している。
旅の報告はナショジオのウェブサイトで書かなくてはならないうえ、来年以降の話になりますが、オール読物の連載で作品化することになっているので、このブログでは詳細を書くことはできませんが、簡単に紹介すると、四日目にセイウチが襲来、山口君の船が牙で穴をあけられ、数百メートルにわたって追い掛け回された。その後、カナダ渡航であるアノイトーに到着したものの、タイドラインを見誤るという初歩的なミスを犯し、ドッグフード20キロを海に流出(今回の遠征ではドッグフード運に見放されており、デポのために橇やカヤックで運んだドッグフードをこれで40キロも失ったことになる)させてしまい、デポ品の一部を失ったため、今回のカナダ渡航は断念した。さらに帰りの航海でも船が流出し、氷の海を泳いで船を捕りに行くなどという失態も演じてしまう。
このときは、まさか自分もナンセンのように氷の海を泳ぐことになるとは思いもしなかった。もちろんドライスーツは着ていたが、慌てて準備したので、社会の窓のチャックを閉め忘れてしまったのである。そのためドライスーツ内に冷水が入りこんできてウェットスーツと化し、泳いでいる間に下半身の感覚がなくなってきてしまったのだった。
そして最大のトラブルは村に戻ってきたあとに、大家から示されたインターネット代金の請求書。腰を抜かすほどの金額に達しており、セイウチ襲来以上に顔が青くなった。家族とスカイプをやりすぎたのだろうか。あるいは、アッパリアスを捌く間にTBSラジオのポッドキャストを聞きすぎたのが原因だろうか。あるいは……。
カナダに渡れなかったのは残念だが、とりあえずアノイトーに流出したドッグフード以外はデポできたので、計画に失敗したわけではない。もともと今回は成功の可能性はあまりたかくはないと考えており、7月下旬に出発する二度目の航海が勝負だと思っていた。セイウチの生態、干満差、浮き氷や定着氷の状況、途中で捕れそうな獲物など、今回の旅で現場の海の状況がきわまて生々しいかたちで把握できたので、次はもっとスムーズに旅することができる、と期待している。