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感想:『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆』

2009年11月15日 20時18分44秒 | 入間人間
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆 (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆 (電撃文庫)
価格:¥ 536(税込)
発売日:2008-05-10


『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 絆の支柱は欲望』とは上下巻の関係に相当する。

狂気と驚嘆は紙一重。
クローズド・サークルとなった大江家で繰り広げられる連続殺人。主人公みーくんが襲撃されて前巻は終わった。その解決編ではあるのだが……。

ツッコミどころは満載である。主人公は死んでいてもおかしくないし、というか、普通死んでるだろって感じだし、登場人物はまともからかけ離れているのはいつも通りにしても、それにしたってって話である。無茶を通して破綻していると言っても過言じゃない。いや、小説としては壊れている。ストーリーの無理、設定の無理は疑いようもない。
キャラクターもまーちゃんを話の外に置いたことで魅力を欠き、文体も洗練とはほど遠くくどいものだ。演出も成功しているとは言い難いし、構成もバランスを欠く。

正直褒めるところは皆無だ。評価はゼロどころかマイナス。だが、ゼロを突き抜けた時、虚数空間に紛れ込んでしまう。
小説としてはぶっ壊れている。だが、価値観を揺り動かすほど強烈な作品でもある。

謎を解いても事件の解決にはならない。その程度ならユニークな発想と言って済ませられる。
極限状態での異様な行動もまた、驚くに当たらない。
けれども、まーちゃんの罪へと還元されたとき、善悪は軽く超えてしまう。

繰り返す。小説として、エンターテイメントとして、決して評価に値する作品とは言えない。人に薦められる出来ではない。☆評価でも☆ゼロを付けてもいいくらいだ。
それでもなお、認めずにいられないものがある。ライトノベルに留まらず、ここまで思想の根底に響いた作品と出会ったのは、少なくともここ数年で初めてである。もちろん、今年の夏からの読書モード中では最も足元を揺さぶられた作品だ。
面白いわけではない。思想的に優れているわけでもない。独創的とも言えない。それなのに無視できない。どこまで著者が計算して描いているのかは分からないが、この作品の感想は改めてじっくりと記したいと思う。ネタバレ全開で。
とりあえず、この作品の評価は「判定不能」としておこう。




これまでに読んだ入間人間の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸』(☆☆☆☆☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん2 善意の指針は悪意』(☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生』(☆☆☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 絆の支柱は欲望』(☆☆)


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