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感想:『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん i 記憶の形成は作為』

2010年02月05日 21時21分27秒 | 入間人間
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2009-06-10


短編集。5編収録されており、そのうち4編は小学生時代が舞台となっており、残る1編は「if」の世界が舞台となっている。
誘拐事件が終わった後、精神病院入院中を描いた「春『うそが階段を上る時』」、小学校への登校を再開した「夏『ともだち計画』」、遠足中に迷子になり、誘拐事件よりも前の「にもうと」との思い出を回顧した「秋『蟻と妹の自転車籠』」、御園マユに監禁されたクリスマス・イブを描いた「冬『Happy Child』」の連作は、二度目の小学四年生の一年を通して、今の「みーくん」が形作られていく様子をたどっている。
相変わらず血まみれで、死者も出ているが、それでも本編に比べれば格段に生易しい印象。まだ子供だからという理由が大きいだろうが。

唯一の書き下ろし作品となっている「とってももしもにもしかして『壊れていない正しさのある世界なら』」は、実母が生きていれば、という設定で書かれたもう一つのあったかもしれない「みーまー」の世界。もちろん、これでは小説として成り立たないわけではあるが。まあ伏見だけは変わってなくて、ある意味このシリーズの良心のようなものにも思えてしまうが。

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 7 死後の影響は生前』の感想にも書いたように、文体やストーリー、演出といった点に関してあまり評価はしていない。しかし、短編集を読んで改めて実感したが、アイディアや着想に面白みが感じられる。それは決して斬新だというわけではない。ベタなアイディアでも、それを作品として作り上げていくところに著者の個性が発揮され、独特の空気を生み出している。剽窃と紙一重の部分もないわけではないのだけれども。(☆☆☆☆☆☆)




これまでに読んだ入間人間の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸』(☆☆☆☆☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん2 善意の指針は悪意』(☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生』(☆☆☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 絆の支柱は欲望』(☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆』(判定不能)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 6 嘘の価値は真実』(☆☆)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 7 死後の影響は生前』(☆☆☆☆)


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