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東日本大震災:死者1万2915人 半数高齢者(朝日新聞 朝刊)

2011-04-10 18:36:06 | 自然災害
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                              第6章の目次

          
エネルギー政策

 スウェーデン政府は1975年のエネルギー政策の策定以来、ほぼ3年ごとにエネルギー政策を策定し、実行に移してきました。1980年代に入ってからは、

   1980年の「原子力に関する国会決議」
   1981年の「エネルギー政策ガイドライン」
   1985年の「エネルギー政策ガイドライン」
   1988年の「エネルギー政策ガイドライン」
   1991年の「エネルギー政策」

などが重要です。1980年以降のエネルギー政策は1970年代のエネルギー政策の延長上にあるもので、脱石油、省エネルギーを中心とした過去のエネルギー政策に脱原発という要素が新たに加わり、1980年代後半はエネルギー体系の修正という方向性が出てきました。

エネルギー庁の廃止と産業技術開発庁の新設

 エネルギー政策の説明に入る前に、エネルギー政策を実行に移す行政機関の最近の状況をお話しておきましょう。

 産業省の下には、さまざまな所管事項を担当する行政機関が数多くあります。エネルギー庁は、1991年6月までは、国のエネルギー政策を実行に移す中心的な行政機関でしたが、1991年7月1日からは新設された産業技術開発庁(NUTEK)に統合されました。エネルギー庁は組織上は産業省に属していましたが、他の行政機関と同様に、産業省の長である産業相の指示を受けることなく、「政府」あるいは「国会」の直接の指示を得て行動できました。

 わが国の「省」と「庁」の関係は一体の関係か、あるいは従属の関係にありますが、スウェーデンでは「省」と行政機関としての「庁」は独立の関係にあります。1990年8月現在のエネルギー庁の理事会は理事長と8人の理事からなっており、理事長はエネルギー庁の長官でした。理事の中には国会議員が4名おり、このうちの2名は与党の社民党議員、残りの2名は野党の議員で、1名が中央党の議員、もう1名は保守党の議員でした。

 保守党は産業界が支持している政党です。さらに国の他の行政機関から1名(住宅・建築・計画庁長官)、地方自治体から1名(エスキルストゥーナ市の部長)、それに政府の行政機関でありながら民間の労働組合の代表2名が理事として名を連ねていました。
 このような構成の理事会がエネルギー庁という国の行政機関の意思決定機関となっていたのです。わが国の行政機関に慣れ親しんでいる私たちからすると大変わかりにくい構造だと思います。

 理事会の構成を「原子力政策」という観点から見るとなかなか興味深いものでした。社民党は1979年のスリーマイル島原発事故以前は原発推進の立場をとっており、その後、原発の段階的廃止を政策としている政党です。中央党は一貫して「原発反対」を強く主張してきた政党であり、保守党は産業界の支持の下に一貫して「原発推進」を主張してきた政党で、現在、原発推進を主張している唯一の政党であることを思い出して下さい。このあたりが常に開かれた民主主義を模索してきたスウェーデンのスウェーデンらしいところです。

 1990年代には、産業技術開発の分野で新たな需要が喚起され、地球規模の競争の挑戦に対応できるように技術開発の速度を早めなければなりません。この圧力はスウェーデンがヨーロッパ共同体(EC)に参加すれば、一層強まることになるでしょう。そこで、これらの国際的な情勢に対応するため、産業省の3つの行政機関、エネルギー庁、技術開発庁、産業庁が統合されて、産業技術開発庁が新設され、1991年7月1日からその活動を開始しました。

 産業技術開発庁は1990年代の産業技術開発およびエネルギー分野で、新たな国内外の情勢に対応するための強力な行政機関をめざすものです。所管事項は次のとおりです。
 
   ①技術的な研究開発の支援
   ②技術革新の奨励、新しいビジネス・アイデアの促進
   ③地域バランスのとれた経済成長の確保を積極的に奨励する支援 
   ④効率のよい、環境に安全な、信頼性のあるエネルギーの供給と利用の促進
   ⑤国際的な技術開発のモニタリング、積極的な参加、国際協力
   ⑥産業技術政策に関する専門的な意見の具申
   ⑦中小企業の成長の促進と支援





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