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スウェーデンは米国と同じように、日本に比べると個人の自立性が高く、自己選択、自己決定、自己責任の意識が強い国です。
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20世紀のスウェーデンは、国や自治体のような共同体の公的な力や、労働組合のような組織の力を通して、個人では解決できないさまざまな社会問題を解決してきたのに対し、米国は、個人の力による解決に重きを置いてきました。米国が、個人の力に根ざした競争社会であるのに対して、スウェーデンは「自立した個人による協力社会」をめざしてきました。
条件整備が整っていない「競争」は、これまでスウェーデンではあまり好ましいこととは考えられていませんでした。日本で、好ましいかどうかは別にして、「競争」という要因が社会を動かす大きな力になってきたのとは対照的です。日本の産業界では、「競争」と「効率化」が経済成長の要因と考えられています。効率を高めるためには、競争が最も効果的だといわれています。日本の経済紙・誌が好んで使う「生き残り」という言葉がありますが、「生き残る者(勝者)がいる」ということは同時に、「敗者(犠牲者)を出す」ことも意味しています。
このあたりは、日本とスウェーデンの社会に対する考え方が異なっている点の一つでしょう。「競争」の原理を採用すると、勝っている場合はある程度いいのですが、それでも、かなりの緊張を強いられます。人間の社会ですから、スウェーデンにもさまざまな競争があるのは当然ですが、その程度は、日本に比べてそれほど強くないといえるでしょう。
スウェーデンが60年代に築き上げた「福祉国家」(「旧スウェーデン・モデル」と呼ぶことにします)の基本的な考えは、つぎの3点に要約できます。
①スウェーデンの福祉制度はすべての国民を対象にしていること。日本のような国民の「最低生活保障」ではなく、「一定の生活水準」を保障するもので、「基礎所得保障」と「所得比保障」を組み合わせたものといえる。
②すべての国民が外国人を含めて基本的な安心感を保障されていること。
③80年代までのスウェーデンは、福祉社会の維持・発展を非常に高い税金で運営してきたこと。このことは日本で、「高福祉・高負担」として知られている。
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