私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック
持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック
7月15日のブログ「スウェーデンの年金制度に学ぶ④ 最終回」で一通りの制度の紹介を終わりました。日本では2004年に続いて再び「年金制度改革」の必要性が浮上しています。与野党問わず、7月29日の参院選挙の争点に掲げているからです。
マスメディアが報ずる記事に、「日本の困った現状」を伝えるとともに「海外では」あるいは「欧米では」と題してしばしば国際社会との比較記事が載ることがあります。この場合の「欧米」は21世紀に入って7年も経つというのに、相も変わらず具体的には英、独、仏、伊、米に限定されているといってよいでしょう。もっとも最近、「欧米」というときには「EUおよび米国」を意味する傾向が強まってはいますが。
このような国際比較の記事の中に、たまにはスウェーデンが登場する機会があります。これらの記事に登場するスウェーデン情報は断片的ではありますが、私がこれまで書いてきたブログと読み合わせていただければ、さらに一歩スウェーデンの現実に近付けると思います。そのような意味から、今後も断片的な記事を意識的に拾い集め、皆さんに提供しようと考えています。
さて、今日は昨日の日本経済新聞が掲載した「年金の現状を国民へ伝える通知」についてです。次の記事をご覧ください。
まず目に飛び込んでくるのは「欧米が先行」という見出しです。この記事は次のようなリードで始まります。
●日本で明らかになった年金5000万件の記録漏れは世界的にも例のない異常な事態だ。欧米では個人に割り当てた番号による管理が浸透。ミスの早期発見とトラブルへの迅速な対応が可能で、大きな問題に発展するケースは少ない。参院選挙で各政党が制度の改革案を打ち出す中、海外の仕組みには今後の日本に役立つヒントが多い。
「欧州」のところにスウェーデンの状況が次のように書かれています。
●英国は納付不足の人だけが通知の対象となるが、スウェーデンはさらに情報提供を徹底。18歳以上の全国民に1999年から保険料納付記録や予測給付額を毎年、通知している。
「通知の仕組み 日本も導入を」と題する駒村康平・慶応大学教授のコメント欄には次のように書かれています。
●年金の加入歴について諸外国では、年に一度通知を受けて本人がチェックできる仕組みがある。こうした取り組みは1990年代後半から始まった。ドイツ、スウェーデン、米国、カナダなどで導入されており、過去の記録が正しいかどうか確認できる。・・・・・・さらにスウェーデンでは加入歴と併せて将来の給付見込みまで分かるようになっている。これは年金制度改革をすべて終えたからこそできることだ。・・・・・
関連記事
7月10日のブログ:誰でも参加したくなる「1999年施行の」新公的年金制度」③
日本で「不祥事」あるいは「困ったこと」が起こるたびに、マスメディアにはこの記事の見出しにあるような「欧米が先行」という趣旨の文字が踊る機会が多いように思います。ここでもう一度、ブログのカテゴリーとして掲げた「予防志向の国」と「治療志向の国」をおさらいしておくことにしましょう。
●スウェーデンと日本の違いは、「予防志向の国」と「治療志向の国」、言い換えれば、「政策の国」と「対策の国」といえるだろう。スウェーデンは公的な力で「福祉国家」をつくりあげた国だから、社会全体のコストをいかに低く抑えるかが、つねに政治の重要課題であった。そこで、政策の力点は「予防」に重点が置かれ、「教育」に力が入ることになる。
●一方、これまでの日本は、目先のコストはたいへん気にするが、社会全体のコストにはあまり関心がなかったようである。90年代後半になって社会制度からつぎつぎに発生する膨大な社会コストの「治療」に、日本はいま、追い立てられている。
それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。
時々ブログ拝見させて頂いています。
新聞の切りぬきというかこまめに丁寧に情報収集されていて感心しています。
質問があるのですが、教えてください。
地球温暖化について分かりやすく書かれた本は
ご存知でしょうか。
危機感はあるのですが、全体像がいまいちピンと来ないのです。
スウェーデンでは、全家庭に配布されたと先生の
本に書かれていましたが。
お忙しいと思いますが、お願いします。
私のブログにご関心をいただきありがとうございます。
私が新聞記事を利用するのは、誰でも入手可能で、しかも、“一定のレベルの正確さ”を保っており、国内外の最新の状況をフローするのには最適な文字情報だからです。
さて、ご質問の件ですが、「地球温暖化」に関する本は掃いて捨てるほどありますが、「わかりやすく書かれた本」という条件がついた途端に選択が難しくなります。わかりやすいかどうかは読んだ人の印象だからです。
また、「地球温暖化」の何について知りたいのか、
自然科学的な側面なのか、社会学的な側面なのか、そんな面倒くさいことを言わなければ、本ではありませんが、「Newton ニュートン」という雑誌があります。この最初号(2007年8月号)が62ページの特集を組んでいます。
スウェーデンで全家庭に配布されたと私が本に書いた(p268)のはスウェーデンの環境団体ナチュラル・ステップが作成した冊子です。これは温暖化だけでなく、ほとんどすべての環境問題を網羅しています。以下のブログを参照してください。
http://blog.goo.ne.jp/backcast2007/e/33b114a7b72d5e9dcf920b3afa937205
そして、新聞記事の利用についてもう一つ追加します。私の意図にかかわりなく、当該記事を通して第三者の当該問題に対する考えや理解を、そしてその問題に対する新しい知見を知ることができるからです。
新聞記事に限ったことではありませんが、他人の書いた記事を参考にする時の一般的な注意点は昨日のブログの中の図「未来社会の構想」の③をご覧ください。
地球温暖化については、言われてみれば
いろんな側面がありますよね。
とりあえず、ニュートンを読んでみたいと思います。
ありがとうございました。