酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

裁判員裁判の罪

2010-04-13 05:27:16 | Weblog
 大分県の警察署が強姦致傷事件について、裁判員裁判の対象とならないよう「致傷」を外して送検していたという。被害女性に配慮したためとされるが、こんな恣意的立件が行われては法の下の平等が揺らいでしまう。

 《大分市内で20代女性が性的暴行を受けけがをした事件で、大分県警大分南署が容疑者の男を、強姦(ごうかん)致傷容疑でなく、強姦容疑で逮捕・送検していたことが分かった。強姦致傷で立件すれば裁判員裁判の対象となるため、被害女性が不安を訴えていたという。被害者のプライバシー保護の立場から、同署はあえて強姦致傷での立件を見送った。

 同署は6日、同県杵築市、無職、半沢周二被告(37)=強制わいせつ罪で公判中=を強姦容疑で逮捕し、8日送検した。容疑は昨年9月4日、大分市内の路上を歩いていた同市内のアルバイトの20代女性の体を押さえつけ「騒ぐと殺すぞ」などと脅し、乱暴したとされる。女性は軽傷を負ったという。

 同署は強姦致傷容疑での立件を視野に捜査していたが、被害女性が「裁判員裁判になると、誰が裁判員になるか分からない。声や顔が分からないようにしてくれても不安がある」などと訴えた。

 被害女性は、告訴自体にも難色を示したが、同署の説得で先月、強姦容疑で告訴。裁判員裁判でなければ、最高刑が無期懲役で、強姦より重い強姦致傷容疑による立件を望んでいたという》=毎日JP=。

 強姦は親告罪だ。公判が始まってからこの被害女性が告訴を取り下げれば公訴棄却となる。弁護士が廷外で和解を働きかけることも想定される。事件そのものがうやむやになる可能性さえあるのに、なぜ警察は罪一等を減じるようなまねをしたのか。

 警察だけの判断か、大分地検の指示ないし指導なのか。両者が連絡を取り合っての処分なのだろうが、理解しかねる。

 性犯罪の処断は裁判員裁判にふさわしくないとの指摘は実施前からあった。被害女性がセカンドレイプにさらされる。弁護士が女性裁判員を忌避する可能性が高い~などが主な理由だ。

 上記に類する懸念は、他の事件についても当てはまるのではないか。当ブログは現行の裁判員裁判には反対の立場だ。もし導入するなら行政絡みや汚職など「権力犯罪」こそがふさわしい。
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