酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

経団連も連合も度し難い

2008-12-16 21:47:24 | Weblog
 日本経団連が09春闘に臨む指針を発表した。賃上げはできない、雇用確保も難しいという情けないものだ。


 《日本経団連は、来年の春闘に臨む経営側の指針を取りまとめ、景気が急激に悪化するなか連合が求める賃上げには否定的な考えを示すとともに雇用の安定も努力目標にとどめており、労使間の交渉は難航することが予想されます。

 日本経団連の指針によりますと、現在の経済情勢は石油危機やバブル崩壊後の不況に並ぶ「第3の危機」だとして厳しさを強調しています。そのうえで、来年の春闘に向け連合が8年ぶりにベースアップの要求を掲げたことについて、「企業の減益傾向がいっそう強まるなか、ベースアップは困難と判断する企業も多い」と指摘して、ベースアップに否定的な考えを示しています。また当初経営側が来年の春闘の最優先の課題に位置づけていた「雇用の安定」をめぐっては、「努力することが求められる」として努力目標にとどめています》=NHK=


 賃上げは個別企業の問題であり、経団連としてとやかく言うべきものではない。上げられるところは上げればいい。指針などを示して賃上げを牽制するのはいかがなものか。


 それよりも、雇用問題である。御手洗会長率いるキャノンは、率先して非正規労働者の解雇に踏み切った。それも、いわくつきの九州の工場である。これでは「雇用が大事だ」などといえるわけもない。こんな見識の人物が「財界天皇」だというのだから、日本の財界も落ちたものだ。


 より情けないのは連合の反応である。


 《来年の春闘に向けて日本経団連がまとめた指針について、連合の高木剛会長は「日本の経済が厳しい状況を迎えるなか、不況や格差社会をどう乗り越えていくかまったく触れておらず、失望した」と述べ、日本経団連の姿勢を厳しく批判しました。

 高木会長は、さらに「経営側は物価上昇に対応しなくてよいといっているようだが、物価が上がれば、賃上げするのは当然のことだ」と述べ、来年の春闘では、雇用の確保を徹底しながら積極的に賃上げを求めていく考えをあらためて強調しました》=NHK=


 高木発言のすべてをNHKがカバーしているわけではないにしても、真っ先に「雇用」の二文字が出てこなかったのには失望する。情勢認識に欠けている。物価上昇に触れているが、これも認識不足だ。原油価格暴落と景気後退でデフレ局面に入っているというのが世間の常識だろう。


 高木が言うべきことは、「何をおいても雇用確保だ。連合はそのためなら血を流してもいい」ではなかったか。連合幹部の頭の中には、傘下の組合の既得権擁護しかないらしい。こんなことだから、組織率の低下が止まらないのだ。20%を割るような組織率で労働者の代表などという顔をしているのは笑止だ。


 連合の態度は全米自動車労組(UAW)といい勝負だ。UAWはビッグスリーが破綻するかどうかより、自分たちの待遇を守るほうが大事だと言い張っている。既に首を切られている期間工のことなど全く念頭にない。


 この経団連にして、この連合ありというべきか。かてて加えていまの日本の政治がある。お先は真っ暗と言いたいが、これより悪くなることはないだろうと妙に楽観的にもさせてくれる。行動経済学的には歓迎すべき布陣なのかもしれない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 放鳥のトキが死んだ | トップ | 国会は何をしているのか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事