酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

国際大会と国籍

2011-09-20 05:26:41 | Weblog
 ラグビーW杯で2勝を目指す日本代表が「外国人だらけ」と批判されている。確かに、FWとHBを除けば要所は外国人という布陣で、日本人選手は「縁の下の力持ち」といった役どころだ。IRBの規約では3年暮らすと、その国の代表になれるらしい。ラグビーの本場、EU内の移動が自由な欧州では、「外国人」など問題にもならないのかもしれない。

 話は変わって体操の塚原直也がオーストラリア国籍を取得しての五輪出場を目指しているという。日本で勝てなくなったら外国で、というわけでもないだろうが、釈然としない。下記の読売報道などによれば、その可能性は遠のいているとか…。

 《体操の豪州代表としてロンドン五輪出場を目指しているアテネ五輪団体金メダリストの塚原直也(34)(朝日生命)の東京世界選手権(10月7日開幕)出場が17日難しくなった。

 同日、豪州代表選考会が当地で行われ、塚原は1位になったが、この日までに豪州国籍を取得できず、代表入りに至らなかった。

 ただ、大会前に国籍を取得し、国際体操連盟に豪州選手として登録できれば、試合直前の選手入れ替えは可能で、読売新聞の電話取材に対し、塚原は「まだ出場がダメと決まったわけじゃない。とにかく体調を整えたい」と話した。

 出場できなくても、豪州が団体総合で8位入賞するなどの条件をクリアできれば、塚原の4度目となる五輪出場の可能性は残る。

 塚原は昨年4月に豪州の永住権を取得し、今年8月に国籍取得を申請。7月には全豪選手権個人総合で優勝するなど実績も残してきたが、取得要件となる滞在日数(2年)に達していないため、早期に交付されるか微妙な情勢となっている》=2011年9月18日付読売新聞=。

 国籍を変えて五輪に出たケースとしてはバンククーバー五輪フィギュアスケート・ペアの川口悠子(ロシア)、トリノの同種目井上玲奈(米国)などが知られる。

 フィギュア・ペアと体操では事情がまったく異なる。ロシアや米国はペアスケートの強豪国だ。国内予選を勝ち抜くのは容易ではない。強い国に移って、そこから五輪に出たいと考えるのは、スポーツマンとしてあり得ることだろう。

 体操はどうか。オーストラリアは団体で五輪に出られるランキング8位には入れない弱小国だ。塚原は「俺の力で」と考えているようだが、本音はどうなのか。その国が好きで、そこから出たいと真に願っているなら、お好きにどうぞである。

 要は国籍を変えてまで五輪に出ようとする意図である。本来の出身国では出られそうもない。より弱く、可能性の高い国から。そういう不埒なことを思いつく輩がでてくる(金持ちがアフリカのどこかの国のスキー選手になるようなケースは考えうる)。あれやこれやを考え合わせると、五輪出場を目的とした国籍移動は制限した方がいい。日本の女子も、困難を克服して日本ペアで出ることを目指してもらいたい。

 それにしても、五輪は肥大化しすぎた。競技数がやたらと増えるから、標準記録や出場枠が出てくる。個人競技を中心にして「参加することに意義がある」大会に戻すことを真剣に考えたほうがいい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする