酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

読売と原発

2011-09-09 06:03:50 | Weblog
 朝日新聞と毎日新聞が「脱原発」にシフトする中で、巨人・読売新聞は果敢に!原発必要論を掲げて奮闘している。ご苦労さまです。

 朝日に「日本の原子力政策を推進した大正力」などと書かれ、奮起した側面があるかもしれない。社説や編集委員らが主張する分には、どんどんやってくださいというしかない。しかし、9日付け1面トップのような記事はどうだろう。

 《米ソ冷戦時代の1946~58年、米国は中部太平洋、マーシャル諸島共和国のビキニ環礁とエニウェトク環礁で計67回の核実験を行った。8月末、最後の実験から半世紀以上を経た同国を訪ねた。

 核爆発の破壊力は苛烈で、原子力発電所事故とは影響や性質は異なる。だが除染を経て人々が帰った島や帰島準備が進む島もあり、「福島再生」への示唆に富んでいた》。

 社会部の女性記者が書いた原稿だが、なかなか意味が深い。見出しは横カットで「核実験の地 除洗進む 表土削り地下埋設」である。これをアタマに掲げた意図は明白だ。「67回も核実験を行った土地でさえ除染ができている。いわんや福島においておや」ということである。

 しかし、福島の「除洗」や「再生」はまだずっと先の話と示唆しているようにも読める。福島から放出されたセシウム量は広島原爆の130倍ともいわれている。読売の同記事では「核爆発の破壊力は苛烈で、原子力発電所事故とは影響や性質は異なり…」などと述べている。破壊力と汚染量に何の関係があるのか意味不明の表現だ。
でも、全体を通して読むと、「いまも被爆に苦しんでいる」のがよく分かる。こういう原稿に「除洗進む」などと大見出しをつけてはいけない。

 脱原発の流れが急で焦っているのかなあ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする