酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

溶融する記者規範

2011-06-24 05:58:16 | Weblog
 報道するために撮影した写真を捜査資料として警察に提供していたのは、朝日だけではなかった。京都新聞の記者も「はいどうぞ」と差し出していた。滋賀県警と記者クラブの「良好な関係」が目に浮かぶが、記者の倫理溶融は見過ごすことができない。

 《大津市で今月起きた女性殺害事件で、京都新聞社は22日、同社滋賀本社の記者が容疑者(47)の逃走写真を滋賀県警に提供していたと発表した。

 同社によると、記者は自宅を出る容疑者の写真を撮影し、データをメモリーカードに入れて14日に県警側に渡したという。同社の記者行動規範では「職務上知りえた情報は、報道とそれに付随する活動にのみ使用する」と定めている。同社の寺升弘則総合管理室長は「報道機関としてはあってはならないことであり極めて遺憾なことです。事実関係をさらに調査し、関係者に対しては厳正に対処します」とする談話を発表した。

 この事件では、県警が容疑者を指名手配する際に、報道各社に情報提供を要請。朝日新聞記者が提供した写真が県警が逮捕協力を呼びかけるチラシに掲載されている。京都新聞社によると、提供写真はチラシには掲載されなかったという》=毎日jp=。

 滋賀県警の刑事課か広報が、クラブに「○○が写った写真あらへんか。1カットでいいから頼むわ」。こんなふうに持ちかけたのだろうか。それとも、個別に当たったか。いずれにしてもなめられた話だ。「頼めばもらえる」と思われていたとは情けない。

 写真ですらこれである。取材の内容となると、もっとじゃじゃ漏れになっている可能性が高い。こんなことでは記者に本当のことなど話せなくなる。件の記者らは、こういった感覚がまったくなかったとしか思えない。

 滋賀県で起きた小さな出来事と片付けるわけにはいかない。全国のどこでも、全国紙であろうが地方紙であろうが、はたまたテレビであろうが、メディアと警察の癒着が進行しているということだ。原発報道では、東電と政府情報の垂れ流しが続いている。いやー、あちこちメルトダウンですな。
コメント
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