酔眼独語 

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チリ「奇跡」の救出を称える

2010-10-14 05:20:03 | Weblog
 これほど鮮やかな救出劇になるとは想像していなかった。「クリスマスか新年には再会できる」という当初見通しを大幅に上回る快挙である。地下の33人と地上が信頼感で結ばれた証だろう。すべての関係者に最大級の賛辞を送りたい。

 《チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山の落盤事故で、深さ600メートル以上の地下坑道からカプセルを使って作業員33人を引き上げる作業は、13日未明に最初の作業員が地上に到達した後も続けられ、同日午後1時40分(日本時間14日午前1時40分)までに計17人が生還した。

 現地入りしているピニェラ大統領は同日昼(同13日午後)に記者会見し、救出作業が順調に進めば、地下に残る作業員全員が13日中(同14日昼まで)にも救出されるとの見通しを明らかにした》=読売online=。

 8月22日、地下にねじ込まれたドリルが、一片のメモを引き上げたのがすべての始まりだ。「全員元気で生きている」。

 8月5日の落盤事故から17日、ここまで耐え抜いたことが奇跡といっていい。最低限の生存条件は整っていたとはいえ、地下700メートルもの狭い空間に閉じ込められた状況で、よくも希望を持ち続けたものだ。

 地下と地上の「交信」が可能になったことで、事態は大きく動き出した。ここでチリ政府あるいは救出当局が発したメッセージが的確だった。「時間はかかるかもしれないが、必ず助け出す」。すぐにも助け出してもらえる、というような甘い幻想を抱かせなかった手法は秀逸だ。危機管理はこうでなくては。

 作戦が進むにつれ、救出時期がどんどん早まっていった。「12月初めにも→早ければ11月末→11月半ば→10月末」…。こうした情報は、逐次地下の33人に伝えられていたはずだ。「事態は劇的に進行している」。男たちはこう受け止めたに違いない。

 もしこれが逆になっていら、と想像してみる。「じきに穴が開く」→「もう少しかかりそうだ」→「まだかかる」。男たちの希望はしぼみ、絶望が頭をもたげてくる。

 意図してこうしたのかどうかは、今のところ分からない。だが、今回の救出作戦で採られた地下とのコミュニケーションは最良だった。

 「あえて大風呂敷を広げた」などと言い放ち、やがて尻つぼみになるどこぞの首相とは大違いである。

 

 

 
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