酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

小沢「起訴議決」の悩ましさ

2010-10-06 04:47:36 | Weblog
 東京第5検察審査会が小沢一郎の政治資金収支報告書偽造事件について「起訴すべし」と議決した。決定がなされた日は、奇しくも民主党代表選投票当日であったという。

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、東京第5検察審査会は4日、2004~05年分の政治資金規正法違反容疑で告発され、東京地検特捜部が不起訴とした民主党の小沢一郎元幹事長(68)について「関与を強くうかがわせる」として強制起訴すべきだとの議決を公表した。9月14日付》=北海道新聞=。

 メディアによれば「国民の常識」に沿った決定らしい。検審の決定理由書は「白か黒かは裁判で明らかにすべきだ」との趣旨を強調している。一見もっともらしいが、かなり危うい論理だ。

 いまの日本の刑事事件では、警察による逮捕でまず被疑者は決定的ダメージをこうむる。起訴され、初公判で冒陳が行われるころには、もうぼろぼろだ。

 日本では起訴された事件の99%が有罪になる。無罪の可能性があるケースについては検察が公訴を提起しないからだ。もし、検審が言うように、「疑わしきものは裁判で」となったら、どうなるのだろう。

 今回は大物政治家・小沢一郎の「金脈」がらみという事情はある。だが、嫌疑はあくまで「収支報告書の虚偽記載」である。あれこれ想像をたくましくして、「やはり怪しい」と推論するのは刑事手続きとしては間違っている。

 それもこれも、小沢がきちんと説明してこなかったせいだ。刑事責任とは別に、この点は明確にしておかねばならない。

 1年後とも予想される判決は、「小沢無罪」の可能性がかなり高い。そのときまで、小沢の政治生命が持つのかどうか。
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