酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

日米政府に見る正しいおカネの使い方

2009-05-23 06:21:43 | Weblog
 アメリカのオバマ政権が、日産自動車に1000億円を融資する方針だという。電気自動車の開発促進が狙いだ。

 
 《米政府が日産自動車に対し、電気自動車など環境対応車の開発を支援するために創設した低利融資制度を適用する方針を固めたことが22日、分かった。制度適用が確実となった自動車メーカーは、米メーカー以外では日産が初めて。融資額は1000億円を超える規模となる見込み。日産は、米国での電気自動車の生産に向け本格的な検討に入る》=共同=

 共同も続けて書いているが、国内メーカー優遇策だけだと保護主義の批判を招きかねない。それを回避するという狙いも、もちろんあるだろう。だが、この方針から読み取りたいのは、「米国にとって良いものには、外国メーカーであれ金を出しますよ」という明快なメッセージだ。

 オバマ政権が注力するとしているのは環境とips遺伝子研究である。どちらも日本が先行していたが、ipsなどは逆転される形勢だ。政府資金が投入される米国に対して、わが方は寄付金頼みだ。


 《京都大学は山中伸弥教授が世界に先駆けて作製した新型万能細胞(iPS細胞)の研究を促進するため、一般市民や企業などから幅広く寄付を募る。このほど「iPS細胞研究基金」を創設した。寄付の募集期間は今年度から10年間で、目標額は年5億円》=日経ニュース=

 定額給付金を2兆円もばら撒いたり、高速道路の割り引きに金を使ったりするより、先端分野、成長分野に投資すべきだ。その姿勢がないから巨額の補正予算もカンフル剤にしかならない。

 先にNECと日立が撤退を表明した次世代スーパーコンピューター開発計画でも、政府のやる気のなさが目に余る。

 《官民共同で進める次世代スーパーコンピューターの開発計画で、NECと日立製作所が14日、事実上の撤退を発表した。国の計画に企業を参加させ産業技術の育成をもくろむ文部科学省と、厳しい経営環境下で合理化を迫られる企業の思惑のズレが表面化した格好だ。

 次世代スパコンは政府が掲げる「国家基幹技術」の1つ。理化学研究所を中心に、心臓部となる2方式の演算処理装置をNEC・日立グループと富士通がそれぞれ担当。国が1150億円を投じて神戸市に建設し、2010年度の一部稼働が計画されている》=日経ネット=


 理研が中心になって進めている「次世代」は、ベクトル型とスカラー型を併用した、多機能超高速がうたい文句だ。しかし、NEC、日立の撤退でスカラー単独になる。世界最速は実現できたとしても、実用面で問題が残りそうだ。次世代スパコン開発は「速度競争」ではない。これを使って何をするかが勝負なのだ。

 NECは百億円を出し惜しんだらしい。政府資金の追加を要請したが断られたとも伝えられる。国家プロジェクトが聞いてあきれる。麻生君、生きた経済が分かるというなら、生きたカネを使って見せてくれ。

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