脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

まさに「青黒」菜に塩

2009年07月05日 | 脚で語るガンバ大阪
 ACLを落とし、国内制覇のためにはもうリーグ戦を負けられないG大阪。豊田で名古屋と対戦するが1-2で敗戦。ハイレベルの接戦をものにすることができなかった。順位こそ変動は無いであろうが、首位・鹿島との差は広がるばかり。ACLも含めた直近の8試合では1勝1分6敗とほとんど良いところがないG大阪の試練は続く。

 一瞬のミスが勝負の明暗を分けた。時計が92分に差し掛かった後半のロスタイム、下平のバックパスを受けた松代のキックは力なく名古屋のFW巻の足元へ。次の瞬間にゴールネットは揺れ、しばらく勝利に見放されていた名古屋の選手とサポーターにどっと歓喜が沸き上がった。

 負傷のチョジェジンとルーカスを外し、佐々木、遠藤、二川を中盤に並べ、レアンドロを1トップに置いた布陣で臨んだG大阪。前半こそ8分に二川のパスを受けたレアンドロが浮き気味に柔らかなシュートを決めて試合を早々にリードした。特に試合を追って従来のパスワークを見せてくれる二川、遠藤、橋本のトリオは良くチャンスを演出し、佐々木がサイドからボールを放り込めることで加地がしっかり対面のマギヌンとマッチアップできた。前節の川崎が絶好調なら、現在の名古屋は絶不調。前節と単純に比較しても勝てる要素が少なからずあった試合運びだった。
 しかし、前半終了間際に松代がエリア内で抜け出してきたダヴィを倒してしまいPKの判定を食らう。ああいった場面でのダヴィの駆け引きの巧さに抜け目の無さを感じたが、このPKを決められてしまい、G大阪はリスタートを余儀なくされた。

 後半になると、互いに一進一退の激しさが増す。60分を超えた辺りからG大阪はチャンスを多く作り出すが、あと一歩でゴールが決まらない。かと思えば67分には名古屋がマギヌンの強烈なシュートでゴールを肉薄するなど肝を冷やす場面も。緊張感のみなぎった激しい攻防が続いていた。負傷の明神に代わって播戸、終盤には二川に代わって宇佐美がピッチに送り込まれるが、結局追加点を奪えぬまま試合終了間際の悲劇を迎えることになってしまった。

 PKをとられ、決定的なミスを犯した松代を責めるのは簡単だ。しかし、本当に重要なのは追加点を奪えなかったことだろう。8分に先制点を奪ってからノーチャンスではなかった。むしろ攻勢はG大阪にあった試合だった。
 確かに二川の復帰と復調は今のG大阪にとっては大きい。ワンチャンスを逃さない正確無比のパスは相手を瞬時に混乱に陥れることができる。しかし、レアンドロ以外に確実に仕事のできるフィニッシャーがいるかと言われれば非常に苦しい。遠藤が自分で狙う場面がここ数試合非常に目がつくのはそれを物語っているのではないだろうか。個人的にも山崎の出番の激減が残念でならない。
 レアンドロの個人技による突破以外にもシンプルにゴールを狙いたい、しかし、どうしてもゴール前で手数がかかってしまう。そんな場面は相変わらず幾つか見られる。持ち前のポゼッション美学が勝利に直結しない。今のG大阪の限界が少なからず見えている。

 打ちひしがれてうなだれている様を「青菜に塩」と言うが、今日の松代の姿に表象されるように、まさに今のG大阪は「“青黒”菜に塩」状態。おそらく腕を折ったのではという印象の明神の離脱はほぼ確実。忍耐の時期は続くが、ナビスコ杯の戦いもまもなく始まるだけに、少しでも上方修正を次節で見せて欲しいところだ。