脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

誰もがマグノアウベスを愛している

2007年08月25日 | 脚で語るJリーグ


 そろそろ奮起する頃だ。浦和戦、横浜C戦と不甲斐無いサッカーを演じたチームにこの男が帰ってくる。昨年のリーグトップスコアラー。
 そう、マグノアウベスだ。

 今季、バレーの加入で絶対的な存在感は影を潜めた。昨年以上に守備を前線から求められるチームにおいて、マグノは自身のポジショニングなどに苦しんでいるのがシーズン序盤から見てとれた。新加入の相棒がクローズアップされる中、ついズルズルと中盤まで下がってはボールを求めてイライラを募らせる。"2年目のジンクス"といっては言いすぎになるかもしれないが、それでもその不完全燃焼ぶりは試合ごとにハイクオリティを求めるサポーターにとっては物足りない、そしてそどこか悲しげなマグノの姿があった。

 今季はケガを繰り返してしまったマグノ。シーズン序盤には某サッカー誌のインタビューで「もうすぐ本来の自分をお届けする」と語った次の大分戦で大爆発した。そのここぞという時の勝負強さは目を見張るものがある。今夜の川崎戦ではその勝負強さをわずかでも見せてもらいたいものだ。

 彼にはガンバでプレーしたことを永久に忘れさせない語り草がある。昨年の11月26日だ。雨の降りしきるホーム万博で、彼は次節浦和戦に優勝の可能性を繋ぐ劇的なヘディングシュートをロスタイムに沈めた。2-2のまま万事休すかと思われたあの時間、彼は神がかった。ゴール裏は涙に暮れ、その浦和との間に現実的に立ちはだかる得失点差を忘れさせる感動を与えてくれたのである。
 不調な雰囲気を漂わせる彼の今季の姿に、私はいつもあの11月26日のマグノを重ね映す。彼は間違いなくガンバ史上に名を残すストライカーだ。入団当初いつも比較対象とされてきたアラウージョの存在をその得点王という成果で打ち砕いてみせた。「彼はもう過去のこと」とまで言い放ち、黙々と結果を積み重ねるその姿をもう一度我々に見せて欲しいものだ。

 さあ、今からお前の時間だ。誰もがマグノアウベスを愛している。

 もう遠慮はいらない。