脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

マグバイズの憂鬱 ~プレミアシップ展望~

2007年08月03日 | 脚で語る欧州・海外


 来週土曜にはJ1もさることながら、プレミアシップの今シーズンが始まる。そこでプレミアシップを個人的に好き勝手語ろう。

 例年、ブルーズびいきの筆者も今季のレッズの補強に対する本気ぶりには身震いする思いだ。若きスペインの至宝F.トーレスを獲得したのみならず、国内から補強したべナユンとアヤックスから引き抜いたバベルの補強で中盤から前線のバランスは非常に安定した。何しろこれで安心してジェラードが中盤のセンターに鎮座できるわけだ。そのジェラードの相棒もシャビ・アロンソとマスケラーノが控えるどころか、おそらく5年もしないうちに世界にその名を轟かせることとなる若きブラジルの逸材ルーカスもいる。以前も書いたが、やはりジレットとヒックスのオーナーコンビの本気度とブルーズとユナイテッドを虎視眈々と追いかけるベニテスの執念がリンクした格好だ。開幕の相手はアストンビラ。順調にいけばレッズの相手ではない。

 そのレッズの大補強にも負けじと劣らず、我らがブルーズも現有戦力をほぼ維持しながら、左サイドに現在おそらく世界最高の逸材であるマルダを獲得した。サイドハーフからウイングまで何でもござれ。ジョゼが彼を重宝するのは間違いない。個人的には地味だが、べン・ハイムの加入は非常に大きい。3人もの選手を放出した守備陣においてバックアッパーが不足気味であったブルーズには堅実な買い物だ。ピサロの前線での使い方も気になるところだ。もう言い訳できない今季。CLも含めて、国内もタイトルを総ナメしないとジョゼは一生アブラモビッチの飼い犬から脱却できない。ドログバが昨年通りの活躍をすれば己ずと道は見えてくるだろう。あとはバラックの復調とシェバの使い方のみ。

 そのブルーズの大きな目の敵が文句無しの強さと人気を誇るレッド・デビルズことユナイテッドだ。今季はハーグリーブスとナニの加入が大きなトピックスだが、個人的にはよりコンビネーションを増したC.ロナウド、まだまだ元気なギグス、相棒はテベスになるのかルーニー。この3人のトライアングルが非常に強烈だ。やはりユナイテッドのゲームは気がつけば釘付けになっているもの。昨季の強さにどれだけ磨きがかかるか。チームを率いるのが御大サー・アレックスからして、昨季のバルサの轍は踏まないであろう。

 上記のトップ3から大きく引き離されてしまった感のあるガンナーズことアーセナル。アンリの離脱は大きなダメージだが、ディナモ・ザグレブから加入のエドゥアルドでどこまで務まるのかは正直懐疑的にならざるを得ない。ますますセスクとファン・ペルシのチームになってきた印象だ。ここ数年で一気に若返ったチームを誰が引っ張るのかという点と個人的には手薄なサイドでの奮起が期待されるチーム2年目のロシツキがキーマンかなとも思える。今季はスパーズの陣容が侮れないだけにヘタすれば中位以下をうろつく可能性も。ロンドン一の名とエミレーツスタジアムの恩恵を汚すわけにはいかない。

 そのスパーズは間違いなく最高の補強ができたはずだ。ヨル監督は今年優勝争いも見据えていることだろう。まだ若く体躯的にも優れたCBカブールの獲得は将来的にも正解だ。チームの中心ベルバトフが今季も攻撃のタクトを握り、相棒にはヨル監督が惚れぬいた新戦力ベントが鎮座することになるだろう。前線にデフォーとキーンがいたのはいつの話か、戦術次第でとっかえひっかえ起用できるFW陣はとにかく層が厚い。あとは昨季喫した54もの失点をいかに減らすか。実はアーセナルよりも正当なトップ3の脅威となっている。

 キリがないので、最後に・・・
 昨季から期待していたのに相変わらず期待を裏切ったマグバイズことニューキャッスルに引き続き注目したい。昨季わずか14試合だけの出場しかできなかったオーウェンはビッグクラブからのオファーを待たず残留を表明したが、ミドルスブラからビドゥカの加入した今季はいい加減もっと点を取れるチームに脱却しないとマズい。新オーナー、アシュリーより賜った莫大な補強費を頭を悩ませながらチームに還元するのは「再生工場」こと"ビッグサム"アラダイス監督。今季より着任したこの知将の下、どこまで復活を遂げるのであろうか。
 何しろ目について余るのは前線の貧弱な得点力。昨季期待のオーウェンが無得点に終われば、マルティンスもやっとのことで二桁に乗せたという11得点。ルケもキャロルもアメオビも点が取れない。いい選手がいるのは誰もが分かる陣容だけにセンターラインに燃え上がるような選手を補強すべきだった。今年はブルーズからジェレミ、そしてバートン(ケガで離脱)を補強した中盤が上手く回れば、攻撃陣にも火が付くはずだ。それにはダフの一日も早い復帰が望まれるが・・・
 こんなマグバイズで一番楽しみなのは、何といってもロゼフナル。さすがに昨季のパリSGが嫌になったか、新天地にプレミアシップを選んだ屈強なCB。右サイドでジェレミも計算が立つだけにDFラインも非常に安定した様子だ。何しろケガで多くの選手を欠く序盤戦はこのロゼフナルに度々救われる試合が多くなるだろうが、今季こそチームを救わないといけないのはオーウェンであるのはニューキャッスルの人々であれば誰もが思っているはずだ。

 いや、しかしテベスはどうなるんだろうか。もう1年ウエストハムでやれよ(笑)