はるみのちょっとTea-time

日々の暮らしのなかで感じたこと、市民運動のことなどわたしのことばで、つづります。

福井新聞【連載】瀬戸際もんじゅ

2015-11-17 | ニュースから

福井新聞で「もんじゅ」の連載が始まりました。

もんじゅのナトリウム漏れ事故は、1995年12月8日。

その夜、八新に飛び込んできた新聞記者が

「もんじゅで事故があった。これからもんじゅへ向かう」と言い残し

オフサイトセンターへ行ったきり・・・

テレビをつけても、緊急防災チャンネルをいれてみても、

情報は何もなく、不安に駆られながら、

眠れぬ夜をすごしたことを今でも鮮明に覚えています。

ナトリウム漏れという重大事故とともに、情報の操作や隠ぺいなどの

ニュースが報道され、クリスマスも正月も重苦しい雰囲気の中で

過ぎていきました。

あれから20年・・・一度も動かなかった「もんじゅ」が

規制委員会の「勧告」によって、「廃炉」という未来へ向かって

動き出した2015年になるかもしれません。

 

【連載】瀬戸際もんじゅ(1)上 

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermonjuresume/83848.html

相次ぐ違反、現場は負の循環陥る 

(2015年11月17日午後5時10分)

規制委が、もんじゅを運営する原子力機構を「資格なし」と断じ、文科相に運営主体の変更を勧告した。1995年12月のナトリウム漏れ事故から20年。ほとんど動かなかった「夢の原子炉」は存廃の瀬戸際に立たされた。迷走の経緯や核燃料サイクルの行方、地元への影響を探る。

 ×  ×  ×

 機器の点検記録をチェックし、原子力規制庁の保安検査で指摘を受け、またチェックし直す―。「終わりのない作業にみんな、疲弊というか諦めを感じていた」。日本原子力研究開発機構が運営する高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)で春まで働いていた男性は振り返る。

 もんじゅの保守管理を担うプラント保全部。原子力機構の生え抜きの職員は、増強された今も半数以下で、業務の多くを電力会社やメーカーからの出向者に頼っている。「出向者は2~3年で代わる。(現場は)幹部が何をしているのか見えない。幹部も現場の状況を全く分かっていない」と男性は打ち明ける。組織の一体感や責任感が見えなかった。

 もんじゅは2012年11月に約1万点の機器の点検漏れが発覚。原子力規制委員会は13年5月、運転再開の準備を禁止する命令を出した。それ以降、四半期ごとの保安検査が10回行われ、8回の保安規定違反が見つかった。「質問をしても回答までに時間がかかる」「品質保証の知識が乏しく技術レベルも低い」と、現地の保安検査官の厳しい指摘が相次いだ。

 「(検査中に)答えられず、担当者がだまり込むようになってしまった」と原子力機構の職員からは苦悩の声も漏れる。疲弊し萎縮した現場は“負の循環”に陥った。

 

瀬戸際もんじゅ(1)下 商業炉まねた保全計画急ごしらえ

 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermonjuresume/83849.html

(2015年11月17日午後5時30分)

 

大量の機器の点検漏れを引き起こす発端は2009年1月。点検頻度などを定めた保全計画の導入にさかのぼる。

 高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)は原子炉冷却にナトリウムを使う特殊な構造だ。例えば、冷却3系統のうち1回の点検でナトリウムを抜いて調べられるのは1系統のみ。一般の軽水炉とは保全の方法が大きく異なる。しかし、日本原子力研究開発機構は国の規制変更に伴い、半年も掛けずに保全計画をつくった。

 もんじゅを所管する文部科学省の田中正朗・研究開発局長は「商業炉をまねて急に導入したこともあり、内容が不十分または過多な部分があった」と、急ごしらえの計画に問題があったと認める。

 原子力規制委員会が、原子力機構の幹部を呼んで意見聴取した今月2日の会合で、もんじゅの青砥紀身所長はこれまでの問題点をこう弁明した。

 「問題の保全計画を導入した翌年の10年は、当時の保安院の保安検査が通年ですべて合格だった。間違いはその後。(福島事故の)3・11後に要求されるものが変わったのに、合格をもらっているため対応は正しかったというところから抜け出せなかった」

 ただ県内の規制庁関係者は、10年5月に試運転を再開した段階で「より商業炉に近い管理が必要になったのに、(原子力機構は)十分把握していなかった」と批判する。

■  ■  ■

 地元の敦賀市や福井県は、規制委のコミュニケーション不足を問題点に挙げる。渕上隆信市長は「適切な指導があれば、勧告を出すような事態にはならなかったのではないか」と疑問視し、西川一誠福井県知事も「これまでの助言に親切さが欠けている」と苦言を呈した。

 青砥所長は「現場では保安検査の視点や基準がほとんど見えない。検査官とコミュニケーションが取れれば対応できた」と悔やむ。

 だが、現場が保安検査の指摘への対応に追われていたとしても、機器の安全重要度の分類といった根本部分の改善を放置してきた事実は重い。運転再開準備の禁止命令の解除に向けた報告書で未点検の機器数を誤るなどの軽率なミスも重ね、規制委に見放された。

 田中俊一委員長は原子力機構幹部への意見聴取で、最後に吐き捨てるように言った。「施設の安全を保つのは事業者の務め。検査があるからやるわけではない。安全文化が全然できていない」

 

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