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アートネタなど日々のあれこれ

ボンクリ・フェス2021

2021-10-08 00:02:52 | 音楽
「ボンクリ・フェス2021」に行ってきました。

昨年に引き続き二回目の参加です。今回は昼のスペシャル・コンサートから聴きました。1曲目は藤倉大「芯座」。筝の独奏の曲ですが、雅な響き…。山崎阿弥「粒と波」は「声」で構成された作品。毎日、あたり前のように発している声ですが、こんなにも多様な響きを生み出せるものだったとは。東野珠美「円環の星筐」は笙と尺八の合奏の曲で、豊かな響きの作品。東野さんの笙の音からは立ち昇る光の柱が見えるよう…。ヤン・バング&藤倉大「Night Poles River」は電子音楽の作品。作曲者も演奏者も不在の状態で演奏される、ある意味ボンクリらしい作品です。ジョージ・ルイス「Shadowgraph5」では藤倉さんもリモートで参加、そしてノマド・キッズも登場。自由な響きの曲です。八木美知依「桃の実」は粋な作品。女性4人による筝と歌の曲ですが、奏者たちが女神さまのように見えましたよ…。マリオ・ディアス・デ・レオン「2匹の蛇の祭壇」はアルト・フルート2本の絡みが2匹の蛇が絡み合うさまを想起させます。大友良英さんの新作では再びノマド・キッズが登場。「あまちゃん」のテーマのような賑やかでシアトリカルな曲。最年少と思わしきお嬢ちゃんが鍋蓋シンバルを一生懸命、叩いていて、勢いあまって落っことしちゃったりする様子がとても可愛らしかったです。大友さん曰く子どもを投入することで不確定な要素を持ち込めるのだとか。最後は藤倉大「infinite string」。ザ・現代音楽みたいな強度のある作品です。アンサンブル・ノマドの演奏もみごと…。

その後は「ノルウェーの部屋」へ。アイヴィン・オールセット、ヤン・バング、ニルス・ペッター・モルヴェルがパンデミックで来日できなくなったため、ライブ映像の公開です。私の大好物のECMっぽいサウンド…とりわけニルス・ペッター・モルヴェルのトランペットはケニー・ホイラーを彷彿とさせるサウンドで、いつまでも聴いていたい感じ…ですが、途中で移動して本條秀英二さんのアトリウム・コンサートを聴きにいきました。「涅槃」を演奏していましたが、三味線がシタールのように響く不思議な曲。終わった後は芸術劇場の中にある「ベル・オーブ」で早めの晩御飯(東京Xのグリルが美味しかった)の後、「筝の部屋」へ。八木美千依さんの筝と本田珠也さんのドラムのセッションですが、これがめちゃめちゃかっこよかった。エレクトリック筝ってあんなにいろいろな音を出せるものだったのですね。荒れ狂う海の深みはしんと静か…というような、激しさと安らぎを同時に感じる演奏でした。最後は「大人ボンクリ」。大ホールで電子音楽をガチで聴くというのは初めての体験でしたが、ホールも楽器、ということを思い知らされましたよ…。全8曲でしたが、牛島亜希子「屈折光線」のギターの響き、マヌエラ・ブラックバーン「Ice breaker」の氷の響き、ハリス・キトス「アヴァリス」のコインの響きなどが印象的でした。ラストの及川潤耶「Bell Fantasia」はドイツで収録した鐘の音による祈りのシンフォニー。この作品を平和への祈りとして共有できたら、という作者のメッセージも。大ホールが一瞬で伽藍になりました…。

そんなわけで、今年も新しい音に耳をひらかれる体験を目いっぱい楽しみました。こういう楽しみがあるのも平和があってのことですよね…願わくばこういう日々がこれからも続いていきますように…。
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