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ボンクリ・フェス2023

2023-07-11 00:05:16 | 音楽
ボンクリ・フェス2023に行ってきました。ボンクリ・フェスに行くのは今回で3回目です。昨年は開催時期が変わっていたのに気が付かず、うっかり見逃してしまいました。一日じゅうでも入り浸っていたいようなイベントなのですが、今回は都合により2日目の午後から参加しました。

まずはボンクリ・ビデオ・アーカイブの部屋へ。私が行った時には挾間美帆さんの「颯」が上映されていました。サックスカルテットの曲をボンクリのために弦楽四重奏に編曲したそうで、ポストクラシカルのような美しい曲。挾間美帆さんの曲はジャズのビッグバンドの曲しか聴いたことがなかったのですが、こういう曲も書いていらしたのですね。それから、アトリウムに移動して、大石将紀さんのアトリウム・コンサートへ。テナーサクソフォンと電子音が融合した曲で、サクソフォンの音色が実に多彩。吹き抜けの空間で聴いていると宇宙空間に漂っているような…。その後はPLANKTONの部屋へ。ここではインスタレーション作品から教授の音楽だけを独立して再生しています。生命の起源の音楽。極上のサウンドシステムで再現された音に身を浸していると、海中に潜るような感覚に…。ディレクターの藤倉大さんは、教授が亡くなる4日前まで、この部屋についてやり取りをしていたのだそうです。そう、この部屋のなかにも教授は生きているのですね…。

そして、スペシャル・コンサートB面を聴きに行きました。1曲目はヤスナ・ベリチュコヴィッチのRemote me。2つのリモコンと3つのコイルのための音楽です。藤倉さんがテレビのリモコンをひたすらフリフリし、聴衆は普通なら聴こえないはずのリモコンの音を聴くという不思議な作品。2曲目はアレックス・パクストンのモア・クラシカル・ミュージック。彼は元々、幼稚園の先生をしていたらしいです。演奏にはノマドキッズも登場。ピアノの中川賢一さんはやはりキレッキレのピアノを弾いていらっしゃいました。3曲目はスティーヴ・ライヒのグランド・ストリート・カウンターポイント。女性ファゴット奏者のレベッカ・ヘラーさんが登場。彼女とライヒは何とご近所さんなのだそうです。この曲はライヒの難曲、チェロ・カウンターポイントをレベッカさんが編曲し、ボンクリで世界初演ということになりました。ハイパーな演奏でファゴット観が変わりましたよ…。4曲目は大友良英さんの新作。ミュージシャン達がホールのあちこちから現れ、呼応するかのように音を交わします。5曲目も大友良英さんの新作ですが、こちらはノルウェーのアーティストたちとのライブ・リミックス。エレクトロニカのような、クールでスタイリッシュな音楽。大人の音楽、という感じで本当にかっこよかった…。

最後は電子音楽の部屋へ。今年は共産国(時代)の電子音楽がテーマでした。去年、亡くなったエドゥアルド・アルチェミフの「惑星ソラリス」のサントラを聴きました。私が映画を見たのは高校生の時だったので、どのシーンの音楽だったのかはほとんど思い出せなかったのですが、音楽自体の重量のようなものはひしひしと伝わってきます。そういえば、教授のasyncは、タルコフスキーの架空の作品の映画音楽、というコンセプトもありましたね…。

本当は夜の大人ボンクリも聴いていきたかったのですが、用事があったため断念…トータル数時間ほどの鑑賞でしたが、本当に楽しかった。これだけ充実したプログラムを無料または低価格で楽しませていただけるのですから、本当にありがたいことです。藤倉大さんと東京芸術劇場、関係者の皆様に感謝…。



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