あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

解離

2011-06-10 22:37:46 | 術者、勉強になった症例
今月から少し、楽になると思っていましたが、そうもいきませんでした。
今週も毎日2件で、破裂に解離、緊急も飛び込んできて、予定手術がまたもやずれ込み、患者さんには迷惑をかけています。
私も解離とCABGと2例を担当させていただきました。
初めての解離でしたが、なかなか激しい症例でした。もともとAMIのふれこみで他院でCAGやったら解離で、冠動脈入口部が右も左も解離して潰れてまして、私が当直の夜中に相談の電話が来ましたが、とりあえずRCA、LAD、CXに3本ステント入れてもらってから搬送してもらうことに、、、。2時間後に無事PCI終わって、転院してきたはいいが、ARがジャバジャバで、スタッフの呼び出し掛けている間に、急性肺水腫で口から泡吹いて、心停止、すぐに蘇生して、何とかなったものの、挿管チューブから噴水あり。
何とかオペ室にたどり着き、オペスタート、両下肢も解離していたので両側のaxillaから送血してポンプオン、tearはdistal archぎりぎりで、何とかhemi-arch置換で、出血もあまりなく、無事ポンプを降りて、止血していたら、archの外膜が張ってきて、吻合部付近からジャーとで出して、とりあえず、ラッピングで止まり、やれやれと思い、なんとか胸骨閉めにかかったら、突然、血圧も脈も出なくなり、冠動脈トラブルかと、ちらっと思いながら、カテコラミンで様子を見ていたが、そのうち右室が全く動かなくなり、心停止、こりゃいかんということで、とりあえず、ダメもとで、心マしながら、SVGとって、RCAにバイパスつないでみたら、すぐに復活し、なんとか帰ってこれました。8時間の大手術になってしまったが、まーこんなものでしょう、解離とは何が起こるか、ほんとわかりません。意識も出て、人工呼吸器も離脱できましたが、正直、強運と人並み外れた生命力の持ち主で、生きているのが奇跡だと、私も思います。

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4 コメント

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お疲れ様です (sat)
2011-06-11 12:57:11
はじめまして。地方病院の心外レジデントです。いつもブログ読ませていただいています。今日は余りにも激しい症例でしたね。本当にお疲れ様です。
当然術者ではなかったのですが、めまぐるしく状況がかわりトータルアーチ、ベントール、cabgしても救命できなかった症例の手術に入ったことがありました。
先生方の努力と治療が素晴らしかったのに加えて、患者さんの生命力に感服しました。
本当にお疲れ様でした。
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satさんへ (あぽいち)
2011-06-14 18:31:34
どうも、ありがとうございます、このブログもどこかで今もがんばっている先生方に見ていただけているのですのね。なんだかうれしい、勇気がでますよ。最近、サボってあまりかけてない、というか、マジ忙しいのよ。猫の手も借りたいです。
今回の症例も、total arch やbentallになってたらたぶんお取り上げだったのでしょうけど、部長が我慢強い方ですので、最後まで完遂させていただけたことと思います。感謝です。また、がんばります。
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またまたおじゃまします (アッキー)
2011-12-16 20:45:41
最近、解離の断端形成、吻合法に悩んでいます。今年から解離をやるようになったのですが、最初は何も考えず外壁のみフェルト補強、中枢のみフィブリングルーを入れて3-0PPPで縫って上手くいっていたのですが、血管壁が非常に脆弱でdistalがはじけた症例を契機に糸を4-0PPPにかえたり内外フェルトにしたり、外膜反転してみたりしているのですがかえって出血が増えて再解胸になったり中枢即に偽腔が残ったり、仮性瘤を作ったりと散々な結果となっています。ボスいわく、これを乗り越えたら自分のものになると言ってはくれるのですが正直、悩んでいます。断端形成法と縫合糸のサイズを教えて下さい。また、アドバイスがあれば…。僕が下手なのが一番の原因なのでしょうけど…
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アッキーさんへ (あぽいち)
2011-12-19 23:18:12
うーん、私も書いている通り、この症例が初めての解離で、執刀の経験としては今年4例担当したのみであります。幸いにしてみな元気になりましたが、今の私の方法としてはシンプルで、中枢・末梢とも同じでバイオグルーで固めて内外フェルトで連続のマットレスで固定して、4-0で連続吻合です。人工血管は分厚くてかたいけど針穴から出ないのでJグラフトを使っています。気をつけていることは、フィッティングを良くするために、内外フェルトからnativeが5mmぐらい出るようにして、人工血管とnativeが合わさるようにしています。人工血管とフェルトではとまりませんので。それにバイトはかなり大きく取りますよ。針の運針も解離のときは垂直・直角でこじらないようにかなり丁寧にしています。それから、末梢側については血流再開する前にフェルトのさらに末梢側にフェルトを少しタイトに巻いてきます、これにより、血流再開後に残存解離腔が張って吻合部の針穴にストレスがかかるということがなくなりますので。心配な時は時間がかかりますが、ダブルプレジェットを復温の間、全周かけることもありますよ。今のところ出血で困ったり、再開胸はないけど、結構これでもかこれでもかと、しっかり止血はしてる。
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