あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

珍しい症例

2010-07-09 21:18:18 | Weblog
今週は珍しい緊急が2件飛び込んできました。
予定もMR2件、CABG1件、DVR1件、AVR+4枝CABG、pararenalAAAとなかなか充実していたのですが、そこにまず来たのが外傷の下行大動脈破裂、またまた市民病院からの紹介でありまして、市民の心外はなにしてるんだか知りませんが、ちょっといわく付きの症例でした。いわゆるアル中でもともと翌日に更生施設に入所する予定だったと、しかし、詳しい事情はわかりませんが、入所がいやだったのか、飲酒運転で事故を起こしまして、車の中には焼酎の空き瓶が3本あったとか、、、、。もしかしたら自殺だったのかもしれませんが、酩酊で正常な判断はできなかったのでしょう。循環停止で無事に下行置換しました。手術はたいしたことないですが、これからが大変です、離脱症状に対してどうしていったらよいのか。
もう1例は、脳外に脳梗塞で入院中の方がAMIになって運ばれてきました、LADの根元で完全に詰まっていまして、内科でPCI、最初はMR無かったのに、翌朝のエコーでMRsevere、腱索が飛んでいました。虚血による乳頭筋断裂?、でも普通はLAD領域でなくてCX支配のはず?
何かおかしいと思いつつも、緊急手術へ、開けてみたら、まさにactive IEでした。
これで繋がりました、もともとIEが先にありき、ベジが頭に飛んで、冠動脈に飛んで、最後に乳頭筋が切れて。LADの広範なAMIでほとんど動いていませんでしたので、ポンプ乗せたら降りられないかなーと思い、PCPS覚悟していましたが、意外とすんなり、IABPだけで帰ってこれました。これからsepsisと心不全、腎不全との闘いであります。
これで先々週のVSDと含めて、ICUに外科3人、しばらく固定となりそうで、恐ろしい。


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