あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

低体温か

2019-01-09 10:28:34 | Weblog
昨日は胸腹部、比較的お若い方でしたが、真性瘤でcrawfordⅠ型でしたので腹腔分枝のみ再建で吻合箇所は3箇所、見事なもので6時間台で出血も少なく終了です。
私個人としては胸腹部を教えていただいたのは、もう10年も前になりますが、当時は左心バイパスが基本でしたので、時間との戦いみたいなところも有り、対麻痺もそれなりだった気がします。
今の施設では、20-25°の低体温が基本ですのですので、体外循環は上下別々で送血したり、脱血悪いとバントを追加したりと、やや煩雑になりますが、良い視野で落ち着いて手技はできますし、不全麻痺はありますが、完全対麻痺はほとんど見ないかもしれません。
結局のところ術中にできるAKAのケアは温度を下げることとスティールをなくすことが一番で、再建については何ともいえないというのが最近の考えであります。
胸腹部は剥離部位がおおくてただでさえ出血が多くて止血に苦労するという印象でしたので、低体温なんかしたら凝固がくるって大変なんだろうなと、げんに当時の学会発表などでも、低体温派は少なく止血に苦労する話が多かった印象です。
ただ当時から低体温推奨派の先生方は対麻痺は少ないというのは記憶に残っています。

最近では胸壁の筋肉や横隔膜をハーモニックやリガシュアで切除することで、術中のだらだらした出血が無くなり、長時間の大きな切開でも凝固因子が消費されなくなったのでしょうか、低体温でもそんなに止血に苦労する印象が無く、比較的早くに閉創に入れるようです。胸腹部はやはり開胸と剥離、そして止血閉胸が手術の大半を占めているわけなので。

ただ、やはりセットアップは大変ですね、麻酔は脊髄ドレナージから、片肺換気、CV,SG,A-line2本、体位を取るのも一苦労で、なんだかんだ手術始まるのは昼過ぎってかんじでね。
マンパワーが必要な手術です。




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