あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

サンドスタチン

2009-12-05 20:09:26 | Weblog
先週のAAA破裂の方に経管栄養始めたら、見事に下血しまして、どうしたもんかと。gull音は聞き取れ腸管は動いているし、写真でも小腸ガスはさほど出ていない。膀胱内圧は高くないし、CKの上昇などないので、コンパートメントではなく、IMAはバックフローなく、再建してないけど、ストレートなので内腸骨のフローは残っているし、考えるに術前中後の低血圧やLOSによる虚血性腸炎なのか、とにかく、一度絶食として様子を見てみることにした。
本来ならばすぐにS状結腸までカメラで見てもらい、虚血の評価をするべきなのでしょうが、うちにはそんな設備も医者もいない。かといってすぐに動かせる状態でもない。
先日、雑誌で、AAA後の腸管虚血にサンドスタチンが有効との論文があったのを思い出し、もう一度、引っ張り出してみてみた。
作用期序ははっきりしないし、保険適応も当然ありませんが、悪さはしなさそうですので、取り寄せてもらい本日から開始しました。
これで、しばらく様子を見たいが、いつまで腸管の安静を保つべきなのか判断がむずかしいところである。
こういうときにやはり消化器の先生が欲しいのである。
先日は車椅子など乗って、酸素もほとんど必要なくなり、全身の状態は改善傾向に向かってはいるが、腎臓が完全にいかれてしまったことと、熱はないが炎症反応があがってきていることが気に食わないところである。
自分がやっただけに、なんとしても助けたいものである。
保険適応ないことばかりやって、またレセプトで事務に怒られそうである。
でもまー、助かってなんぼである、その分、ほかで稼いでいるし、給料、看護婦より少ないんだから、これぐらいいいだろ。

濃厚に

2009-12-05 19:58:37 | Weblog
という事で、今週は手術がお休みでしたので、重症な患者さんに濃厚なケアができました。みんないろんな形がありますが、それぞれに一歩、二歩は前へ前進できたと思います。
今週は結局、緊急手術も来ず、カテ室でfogartyがあったのみです。
このfogartyがなかなか厄介で、数週間前に他院でカテーテルやってそのときに止血でアンギオシールというゼラチンとセルロースの糸でできた止血デバイスがありまして、ようは内科の先生が穿刺部を圧迫しないで済むように考えられたデバイスなのだが、これが、外れて足にとんでったらしく。
とりあえず、ソケイ部を開けてみるも、そのアンギオシールのため癒着が強くて、まず、そこで気力を半分ぐらい使い果たし、その後、fogartyカテーテルで引っ張ってこようと思ったら、これが血管壁に癒着して取れず、結局、いろいろやって、鉗子で引きちぎるという野蛮な方法でなんとか事なきを得ました。
恐るべし、アンギオシール。まー、ちょっと時間が経ちすぎていたんですな。